入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’18年「秋」 (33)

2018年09月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

風雨を避けていた牛たち

          「来るな」と言っても聞かない
 またきょうも雨。昨日遅くに来たO氏と氏の友人は、すでにテントを片付けタープの下で、お得意の七輪の上に薬缶を置いて湯を沸かすなど、それなりに秋霖に煙るこの季節の山の雰囲気を楽しんでいるようだった。小屋に誘ったがまだ来ないところをみると、彼らはああしている方がいいみたいだ。魚釣りは9月一杯で禁漁に入るので、今年最後の釣りが、ここへ来た主な目的だったのだろう。
 このO氏ともう一人I上氏は本当に自然が好きで、山が好きで、魚釣りが好きだ。I上氏などは「山に来れば何かいいことがありそうだから」などとよく言ったものだが、心からそう思っているようだった。ご両人とも東京生まれ、60歳を過ぎているはずだ。
 きょうはそのN上氏がなぜいないかというと、氏は日本を離れ、釣りの病が高じてか今はカナダにいる。最終的にはアラスカへ行くつもりのようだが、とりあえず英語学校へ潜り込み、しばらくは彼の地で魚釣りに興じるつもりらしい。結構なことだ60ウン歳。アラスカに落ち着いたら沙汰が来ることになっているが、O氏にはすでにカナダで大きなキングサーモンを釣ったなどという報が届き、氏の気持ちを複雑なものにさせてもいるようだった。

 大型の台風が接近しつつあるようだから仕方ないが、雨は一向に止みそうもない。雨脚は強まるばかりだ。囲い罠の牛たちもこの長雨に慣れたのか、諦めたのか、普段と変わらぬ様子で草を食んでいる。権兵衛山は灰色の空と変わらぬ雲だか霧に隠されてしまい、ここからは渋く変色した落葉松の林だけが見えている。背後の景色が隠されてしまうと、その向こうにも平坦な草原がずっと続いているような錯覚に陥るのだが、やはり権兵衛山がなければ主役を欠いたような物足りなさを、ここの眺めからは感じる。

 第1牧区の牛たちの様子を見たら、きょうは早めに山を下りようと思っている。そこまで歩いて行くか、車で行くか、迷っている。今、O氏と彼の友人を見送った。初めて来た彼も、ここが気に入ってくれたらしい。

 F破さん、通信拝読。勝頼やその婦人もそうですが、武将の敢え無い最後を考えるに、きょうは相応しい雨です。

 秋風が旅に出ろと言ってませんか。小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。

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