フェンスの中が囲い罠になる
里から戻ってくれば、また電気牧柵が切られていた。明らかに鹿の仕業で、リボンワイヤー(電線)は並行する有刺鉄線に絡み、こうした場合は電圧はほぼゼロ状態になってしまう。切れたリボンワイヤーを接続し直し、鹿の通り抜けた所に新たに1線、有刺鉄線を張る。前夜の里での酒が残っていて、これだけの作業が結構負担となる。
その後で、また大型の囲い罠のゲートが落ちているのに気付いた。双眼鏡で確認すれば間違いない。しかし、いるはずの鹿の姿がない。
昼になって、気になったので軽トラで中に入り、仕掛けの確認をすれば、どう見てもこれも鹿のやったことに間違いはなかった。入牧を20日に控えて日数的にも捕獲の可能性は低いと見て、仕掛けは外した。これからは罠としてでなく、牛の馴化という本来の役目に戻る。
昼過ぎ、Aサイトの草刈りの後片付けをしていたら、いないはずの鹿が2頭、囲いの中にいるではないか。入り口を開ける音、軽トラのエンジンの音、そして人の姿も見ただろうに、草叢の中にじっと身を隠していたということだろう。
こういう場合もないわけではないが、珍しい。物音を聞けば大体は囲い内を走り出し、逃げ場を必死で探す。中にはフェンスに激しく激突し、脱出を試みようとするのもいる。
その鹿たちは今朝、下から来る鉄砲撃ちによって殺処分されるが、今回は肉の処分を牧場側に任せると言う。今はあまりこういうことに時間を取られたくはないとそう思ってから、キャンパーの中に、鹿の解体に興味のある人がいたことを思い出した。
それで、そのことを話すと、手を上げたのは5人の男のキャンパーに加わった紅一点の女性だった。
くくり罠に掛かった鹿の場合は止め刺しと言って、まず鹿を殺処分しなければならない。これが初心者には精神的な負担となる。それに雄鹿の場合は角で対抗してくる。今は時期的に「袋角」と言って精力剤にはなっても、脅威とはならない。が、秋になれば成長して立派な武器になる。
今回はそうした心配がない。女性でも大丈夫だろう。銃で撃たれた鹿の解体であり、背ロースともも肉を頂戴して終わりにするつもりだ。
それにしても、時代は変わり、大和撫子も変わる。
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