入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’24年「夏」(13)

2024年06月11日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 一晩眠れば、また牧守の日常に帰る。誰もいない山の中の暮らしが戻ってきて、昨日は小入笠の頭まで電牧の支柱を立ち上げ、午後はいつ降り出すか分からない気紛れな雨を案じながらキャンプ場の草刈りに精を出した。
  
 毎年の秋、牛が山を下りてから、急な斜面の支柱はそのままでは雪で折られてしまうから抜いて仮置きする。通電を止めたアルミ線は鹿に切られないよう地面に落とす。
 翌年、牛が来る前にそれら仮置きしておいた支柱は立て直し、アルミ線は張り直す。こうやって、第4牧区のAとBの放牧地を二分するのだが、この区画割も、10数年前に支柱やアルミ線を他所から持ってきてやり直したものだ。
 急がずに、慌てずに、次第に視界の拡がる景色の中を根気よく作業を続けながら登っていく・・・。そして終了点の小入笠の頭が迎えてくれる。
 
 夕暮れ時、一人鍋を作り一日を閉じるいつもの小宴を張る。窓の外は18年間ずっと眺めてきた景色だが、それだけに酒と馴染む。深い味わいのある時間だというか、いや、この平安のために一日があるようなものだ。
 
 そういえば、第4牧区の電気牧柵はもうすでに一カ所が鹿に切られていた。早い。もしかすればあれを知らない若い鹿の仕業かも知れないが、電圧が9000ボルトくらいはあったはずだから、充分な衝撃を受けてしっかりと学んだだろう。
 これからはこの脆い柵を保守するために苦労する。それでも、あそこにはとっておきの自然があるから、報われるものは大きく、多い。
 
 午前2時半を少し回った夜中、目が覚めてウイスキーを飲んでいる。昨夜も8時ごろまでは起きていたが、いつの間にか寝てしまった。
 この時間になると物音が消えて、電気牧柵の規則正しいパルスの音しか聞こえてこない。パチン、パチン、静寂が深まり、眠気を誘う。 何も考えていない自分がいる。一眠りすれば、朝が来ているだろう。

 午前6時、濃紺の空に鋭い日の光が眩しい。期待以上の好天だ。きょうは刈り払い機(草刈り機)の歯を新しいのと換えよう。
 
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 小屋の電話(0266-62-4122)がようやく復活しました。留守電予約の場合はこちらから確認の電話をしますので、ゆっくりと電話番号、氏名をお知らせください。本日はこの辺で。
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