入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     「秋」 (50)

2015年10月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

Photo by Ms.F.R
  
  以前に農業について書きたいと言っておきながら、大分日が経ってしまった。もっとも格別わが国の農業政策や、最近大筋で合意されたTPPについてモノ申そうとしたわけではない。もとよりそんな知識も、能力もない。
 それはともかくあのころ、そう、まだ田圃には取り入れ前の黄金の稲穂が波打っていたころ、農業の世代交代と機械化ということについて考えるともなく考えさせられた。田園に、かって目にしたような、たくさんの働く人の姿を見ることがなくなってしまったからからだ。
 代わって今や60代、いや70代の高齢者が、農業に従事することが当たり前のようになってしまった。元気なうちは少しでも働きたいという気持も分からないではないが、その結果、農業を受け継ごうとする若い世代は減少の一途をたどるばかりで、農業、就中米作りは、とても世代交代が進んでいるとは言えなくなってしまった。
 こうした結果を生んだ原因の一つが、農業の機械化であろう。高齢者でも機械を使えば農業ができるようになり、「猫の手も借りたいくらい」人の手を必要としたかつての農業は、田園から消えてしまった。機械化が進むのに合わせ、耕地が整理・改良されて、3,40年前なら考えられなかったような広い田圃が増えた。それにもかかわらず、以前なら一家総出で何日もかかったであろう農作業が、あっという間に終わってしまう。それも、一人、二人の作業者と機械で。
 しかし、この後どうなるのだろうか。朝早くから働く親たちをしり目に、田畑に出ようとしなかった今の若い世代にお鉢が回ってきたときのことだ。親から受け継いだ機械を使えるうちは、せめて自分たちで食べる米や野菜ぐらいは作ろうとするかも分からない。しかし早晩そうした古い機械は、使用できなくなる。そうなったとき、彼らは何百万もする機械に投資するだろうか。それよりかむしろ、農業を捨てる方を選ぶだろう。古い世代のように、小さい頃から農作業をしてきたわけではない。農業に思い入れも、未練もないだろう。
 かくして日本の農業は、好むと好まざるとにかかわらず、遅かれ早かれ、集約化していくしかないと思う。この狭い国土で、海外から入ってくる米と競い、闘いながら。



 愛知のNさん、コメントありがとうございます。本日お目にかかります。東京のFさん、コメントありがとうございました。HPも拝見しました。是非「野歩の会」のお仲間と冬、お出掛けください。

 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27の営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。
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