スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

Team Osaka、やりきった!

2018-06-04 22:51:57 | お知らせ

全身疲労と筋肉痛でリビングでぶっ倒れていて(正確には爆睡)先ほど起き上がりました。こういうのは、旬なうちに書いておくべきだよなーと思い、重い足を引きずってパソコンの前に座りこの3日間のことを思い出しています。

今まで、日本で沢山すばらしいイベントがありました。関わってもきました。でも、こんなに「泣きそう!疲れた!立ち上がれ!やりきった!」という充実した日々を過ごしたのは、一体いつが最後だったか。何年も前、毎年、毎年、スウェーデンに行って、倒れそうになりながらやりきっていたあの時以来かもしれません。

連日、阪急の北欧フェアに出勤していました。出勤というように、朝から夜まで、弾き通しで。いつもは冬の北欧フェアでしっとりした雰囲気でしたが、今年は初めての試みということで、夏の北欧フェア、夏至祭をイメージしたイベントです。長い冬を終えて生命が輝く白夜の夏、北欧の夏は色とりどりの色彩にあふれ、それを再現しています。そこで今回、ダンスのHiromiさんにフォーク関係の(このブログでいう「フォーク」は、スウェーデンの伝統的な音楽とダンスのことです)とりまとめ依頼が来て、珍しい展開となったのでした。HiromiさんとEva(前にブログでも書きました)のお二人は私とスウェーデンを結び付けてくれた一番最初の要の人です。

今回のイベント、フォーク的にすごく良かったです。今回の北欧フェアでの私たちの働きが商業的な成功につながったのかどうかは分かりません。また、参加する人により受け止め方は違ったと思います。でも、私の個人的な体感としては、ヤッホゥ!!でした!スウェーデンでの経験が豊富なhiromiさんのおかげで、私が現地で体験したそのままソックリが再現されたのです。さらりと自然体でこれをやってしまうhiromiさん、信じられない貴重な人です。

まず、現地のフォーク・イベントでは何が重要か説明すると、こういうことなんです。

1.ダンスと音楽に優劣をつけない。二つは対等。

2.皆で一緒に楽しむ、皆を巻き込む。皆と一緒に、は義務ではなく、自分が楽しめないならしない。

3.音楽とダンスの両方ともに、ショーとしてスポットを当て、「見せる」、そして「魅せる」機会がある。

1についていうと、日本では、スウェーデンという遠い国の文化をやっているので人の数やレベルなどバランスが難しい気がします。例えば、音楽の次にダンスが位置づけられる内容だったり(ダンスは添えものではないのです)、ダンスが主役のイベントでは音楽がおろそかにされたり(ダンスに合わせる選曲の自由がミュージシャン側になく弾き映えしない)等、色々な事情が絡むのです。ですが、スウェーデンでは音楽とダンスはいつも対等に扱われます。踊りたいダンスをダンサーが決め、曲をミュージシャンが決め、ミュージシャンがリズムを与え、ダンサーは躍動感で返し、キャッチしたミュージシャンはメロディで盛り上げ、ダンサーがエキサイトしていく、みたいな感じでしょうか。(聞かせる音楽とダンスの伴奏は違うという意見もありますが、本来であれば、聴かせるために音楽を変えたのならダンスのために本筋に戻すことができるはず)

2については、いつも説明しても説明しても、伝えきれたのかよく分からないことの一つに「皆で楽しむ」ということがあります。これは、初心者のためにお膳立てをするものではなく、上級者が閉鎖的に遊ぶのでもないのです。誰かに合わせるのではなく、目的に合わせます。「皆が自分の能力や立ち位置を理解して能動的に参加する」というのが近いイメージかな?日本だと、フォークの愛好家の人口が少ないので状況的にどうしようもないことも。でも、どちらかに寄せるともう一方はつまらないと感じてしまうものなのです。(また、ダンスの伴奏に限っていえばちょっと特殊で、段取りが必要なので仲間内でやることが多いです。私がスウェーデンで飛び込みでダンスの伴奏に入れてもらう時は、リーダーとメンバーのOKをもらってから、でした)

3は、1とも関係するのですが、音楽を見せること、ダンスを見せること、カッコイイと思ってもらうには、それぞれがスポットを浴びる場があったほうが良くって。2の「皆で楽しむ」内向きの内容と、外に向けて発信する内容と性質が違うからかと思います。

そして、こういう視点で見ると、今回は全てがそろっていたんです!

・来日したスウェーデン人ダンサー(若手で、ダンス・チャンピョンの実力派カップル)は、高い技術とフレッシュで躍動感あるダンスを見せてくれました。フェア中、何回見てもあきません!ステキすぎる!

・ダンスの伴奏は、ダンス伴奏に慣れた人、大森さんや私(すみません!私ではすごぉーく頼りないのですが…)がリードしました。そして、リーダーを設定したので、誰でも一緒に演奏に参加できる状況に(知り合いの範囲だったから「誰でも」と言うと誤解がありますが)。

・「皆でフォークダンスを踊ろう!」という、お年寄りも子どもも参加できる場を別に設けていました。ヘルプのダンサーも呼んでさらににぎやかに。

・音楽にもスポットをあて、ステージライブもありました。プロ、アマ関係なく両方のステージ。(アマチュアと呼べないくらいレベル高かったです!)

そして、この3日間のレポートを書きたいと思います。

水曜から始まりましたが、私は金曜が初日で、その日は本番が4回。前日に猛練習したこともあって、初日からクタクタのヨレヨレのボロ雑巾です。正午の回は大森さんがダンス伴奏リーダーで、フィドル曲の選曲だったんです。私のニッケルハルパでは弾きにくくって。夕方は私がリーダーにチェンジするので自分の弾きやすい選曲にしたかったんですが、お昼に一緒に弾いていた皆さんが参加できなくなる!と思って、ひたすら必死に練習‥。

そんな中、その日の本番2回目は、大森さんのソロライブでの共演。やばいです、既に腕が痛いし、そもそも選曲もリハもしてません。私は、昔、大森さんのフィドルの生徒だったので、偉大なる大先生のソロライブですよ~。私が台無しにしたら、もう穴ほって雲隠れしかないです!打合せは口頭で。「夏のワルツ弾きましょうか」「そうですねぇ」「しっとり?軽快?」「軽快で」「何回弾きます?」「適当についていきます」「わかりました(わかるんかい!)そんなこんなで2-3曲決めて。で、本番はじまりました。そして…事故もなく無事に終えました!優雅で繊細な大森さんのステンマ(伴奏)で!やっぱり、先生は偉大です。すばらしい。

そして、次は私のソロライブ。いつもなんですがソロは重圧で直前に「もうソロなんてしない」とグチグチが始まります。言って発散してるんですが、周囲はいい迷惑ですよね(反省)。今回の音響でお世話になった貴瀬さんに「いつもの調子で大丈夫だから!」とリングに上がる前のプロレスラーみたいに励まして(なだめて?)もらって、テンション上げてソロも無事終了。気持ちよく演奏できました!あー、皆さま、ありがとう。チーン。

そして、そんな疲労に追い打ちをかけるように夕方のダンスの伴奏は私がリーダーということで、練習、練習。足も腰も、指も腕も痛い。うーっと唸っていると、大森さんから「夕方行けます」とメッセージが。やったー!偉大なる大先生!ということで、解放感で、どっと疲れました。でも、リーダーを大森さんがリードしてくれたので、初日はダンスを余裕の気持ちで見れました。

ほんとに、ほんとにすばらしかったです。ダンサーもマイクを持ってしゃべったので、お人形的なダンサーではなく、ぬくもりある温度感、人柄も伝わります。(楽屋では、Davidはほっといたら死ぬまでしゃべってるんだろうなっていう底抜けに明るい子。Annikaは、朗らかでしとやかで女性の鏡みたいな子。編み込んだ髪が美しくて写真をパシャパシャ取らせてもらいました。「子」呼ばわりしてますが、私のほうがずぅぅっと年上なんでね!)今回、ワルツもショティスも見ていて面白くて、ダンスにひねりがあったんですが、特にRörospolsとSenpolskaは何度見ても飽きない、素晴らしかったです。RörosはHallingのようにアクロバティックなジャンプも加わり、女性はスピンします。Senpolskaは男性が女性を持ち上げてターンする様が、ふわふわ浮いている浮遊感というか、宙を漂うようなダンスでうっとりします。でも男性は相当疲れて汗をかいて、正装の男性のロングコート(ウールで4kgくらいある!!)を、この後必ず脱いでいました。後ろから見ていると、優雅なターンの後に汗がきらきらしていて大変そう。

終わってから、フェアですんごい派手なタトゥーのコックがいるお店のサーモンスープを胃袋におさめて、帰って、うつぶせに大の字に倒れこむと、そのまま動けなくなりました。(サーモンスープおいしかったけど、ミルキー感が薄かった!なんであんなにミルク感が薄かったんでしょう?)

そして2日目は、朝から行ってLirica&michikoのデュオライブのリハを阪急の控室でさせてもらいました。二人ともダンスの伴奏をすることになっていたので、ダンサーと打合せしたりするのに都合がよく。その日の正午はCDで踊ることになっていて、Liricaさんと一緒に客席でみました。実は、ダンスをいつ終えるか、ダンサーはミュージシャンに合図をしているんです。ミュージシャンのリーダーがサインを読んで、他のミュージシャン達に伝達しながら曲を弾き終えます。

その日はCDだったので、CDをフェイドアウトで終えてほしいというサインを出すことになっていました。先ほど書いた、女性を持ち上げる浮遊感あるSenpolskaになりました。曲がかかると、あれ??って私が聞いて分かるくらいゆっくりです。あんなにゆっくりだったら演奏も手がぷるっぷるに震えるけど、あんなスローでダンスは大丈夫??と思ったら…。ああ、かわいそうに。Davidのさわやかな笑顔が引きつっています。やっぱり、あの速度しんどいんだ!見ていてハラハラしてきました。でも、さすが、笑顔が引きつっているけど、ダンスは全然いつもと変わりません。すごいなー!あれはすごい筋力いるわー!と感心していたら、ものすごく早いタイミングで「CD消して」のサインが。やっぱり、きついよね!と思っていたら、サインに気づいてもらえません。あーかわいそう、もう一周曲がはじまった。次のメロディの区切りで、またサインが‥!そうそう、この辺で終わってね。すると、またもやサインがスルー。もう1周曲が始まりましたー。うわー、大丈夫かな!?と思ったら、目が笑っていない笑顔で、今度はハッキリと手をバイバーイって振っています。それでやっと気づいてもらえたけど、曲はもうほぼ最後まで。その後の休憩室の会話はご想像通り。「サインだしたのにぃーー!」「気持ちよく踊ってるんだなって思ってた!!」「2回もだしたのにぃぃぃ!」「ごめえええぇん!」

そして、その日の夕方の回は、CDより生演奏が良いとのことで、私がイントロの出だしとテンポ担当、サインを読んで終わらせる係がLiricaさん、と分担にしてダンスの伴奏をしました。(サイン読み取ったら、目でOKって返事してあげたらいいよ、安心するからっていうのも押し付けて)そして、本番。Lirica、サインキャッチ、上手~!Davidも、サインを的確に読んでサイコ~って大喜び。良かった、良かった。この日は練習中心でやっぱり疲れ果てて、帰りは電車乗り間違えて、家についてばったり倒れました。

そしてイベント最終日。朝起きると、ベッドの上で指がパンパンにはれています。背骨はバキンバキン。アーモンドと甘いイリコの小袋のおやつ、ありますよね。あのイリコになった気分。シャワーで体を温めると少しほぐれます。阪急に着いたら、Liricaさんはアンメルツを腕にぬりぬりしています。今日はLiricaさんとデュオライブです。同じスウェーデンの学校にいったので、OG2人組!とか、Old ESI-girls!、Tobo flickorna!とか言ってるうちに楽しくなってきました。先生も一緒だったせいか、レパートリーも呼吸も合いやすく。Liricaさんはニッケルハルパも弾くけど、フィドル(バイオリンのこと)がメインです。彼女のフィドルの音色、すごく好きです。以前、スウェーデンの音色は、自然派ですっぴんでも美しいみたいな音と書きましたが、まさにそんな風で澄み切った空気に広がる音なんです。そのフィドル、共鳴弦ついてる!?って一瞬思わせるような不思議感があって、その楽器がそういう響きなのか、弾き方なのか、と聞いたら、やはり弾き方でコントロールしているそうです。まだ聞いたことない方はぜひ!

皆でフォークダンスのコーナーは、いつものブローゲーテンの皆さんの顔ぶれで民俗衣装も艶やかで、にぎやか!疲れはたまる一方だけど、ダンスの伴奏もすごくすごく楽しくなってきました。伴奏チームは、アコーディオンのWさん、ニッケルハルパのKさん、Hiromiさんに私たち。

最終日なのでDavidもAnnikaも「なんか泣きそう」って。「そんなん言ったら私も泣くやんかー」と皆しんみり。なんかね、Davidってほんと良いやつなんです。リーダー素質のあるタイプなのに強引な感じはなくて。そして、ダンスの後、お客さんと写真など終えてからミュージシャンチームに合流し必ずスピーチでしめるんですよ。「いやー、みんなホントに良かった。ビングシューでは鳥肌がたったし、あの時ダンスではなんちゃら~で、そして、本当に本当に皆よかった」みたいな。そして解散。初日から「サッカーのコーチの試合終了後みたい」って吹き出しそうで(我慢できなくて最後の日に「サッカーのコーチ」って言いました)。「私らTeam Osakaだね!」って、なんだか気分も盛り上がってきました。ダンスって、ミュージシャンとダンサーと大勢でやるから、自然とチーム感が生まれやすいのかもしれません。最後の曲はとめなくていいよ、踊りたいだけ踊って!とHiromiさん。Davidも大きくうなずきます。そして、皆でサッカーチームのように手を重ねます!

実は事故と呼んでいいくらいの演奏ミスもやってしまいましたが、最後まで全力でやりきって終わると、ステージ背後のショップからもアンコールの拍手が。いつもダンスが終わると(私達に締めのスピーチを終えたら)DavidとAnnikaが「じゃあ、ジン飲んでくる」って一杯やってたスタンドです。あのキャラで、皆と仲良くなって色んなところで連帯感が生まれていたようです。

やりきった!終わった!

終わってから、フェアで売っていた、白樺の樹液入りビール(フィンランドのものだそう)でブローイェテ・ダンサーの皆さんと乾杯。おいしいー。ヘロヘロで一気にまわります。

この達成感、この楽しみ、今は亡きあの友人にも伝えたかったな。そして、今、目の前にいる皆さんにも伝えくって長々と書きました!Team Osakaバンザイ。では、寝ます!


 

6月16日(土) Spel och dans 1曲覚えて、覚えた曲で踊ってみるワークショップです。15:00- 参加費:1500円、ダンス、演奏どちらか一方参加(一方は見学)の場合1000円。

6月17日(日)Lirica&michiko 詳細後日。(一般公開ではないかも?)

6月22日(金) keitto Ruokala 北欧食堂ケイットルオカラ 19:30- 3800円(ディナー・1ドリンク付き)ハープの奈未さん、ダンスのhiromiさんも一緒に。演奏とダンスで北欧の夏至祭の雰囲気を!ハープの奈未さんとの共演は1年以上ぶりです!ルオカラも楽しみです。

7月1日 東京 レソノサウンド(巣鴨駅徒歩3分)13:30open 14:00start 予約2800円 当日3000円 かっこいいアレンジが得意の野間さんとのデュオで、初・東京です!ニッケルハルパの聖地、噂のレソノサウンドも初で楽しみ!

7月21日 Allihop!Sommarfest ♫ 〜夏の北欧音楽パーティ〜(リンク先のweb告知ページはまだ未完成です) とき:2018年7月21日(土) 箕面市西南生涯学習センター内 ホール 大阪府箕面市瀬川3丁目2−5 時間:11:00 open 12:00start※18:30終了予定 20:00までフリーセッション予定 参加費:1500円 小学生以下無料 中高生800円 北欧スープ食堂ケイット・ルオカラ提供、スペシャル北欧スープランチ1500円(要予約) 会場で、ルオカラのパンやドリンクの販売有・持ち込みもOK。チケット発売日:6月1日 7/21は、関西の北欧音楽好きが一堂に会す、交流パーティを開きたいというハープの奈未さんの熱い想いで実現しました。私は実行委員のような形で関わっています。

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