モッチリ遅いコメの距離感

オーディオルーム、シアター、注文住宅などに関してのblog。

中域を整える①

2020-01-19 09:53:41 | オーディオ
自分の中では最もアレンジしたかった部分の中域であるが
まずは低域調整の際に設定したリスニングポジションから鏡で確認し初期反射面を確認する。
壁に付けるとよく落ちるのでプラスチック製の割れない鏡使うこと推奨。



800Diamondは350Hzでクロスオーバーしていて、この部屋は300Hz以上を鏡面反射でシミュレーションするので基本的にはミッドレンジを鏡像法で対応すればいいだろう。

初期反射音は正面、スピーカー側側面、反対側側面、背面、床、天井があるが、
確認した結果正面、反対側側面、天井は石井式の吸音部にトラップされるようだ。
天井は確認出来ていないし微妙なところではあるがあまり弄れる場所でも無い。
吸音されている初期反射面を改装して拡散に使うかどうかは今後の結果で判断したい。
背面は吸音材を仕込んだスクリーンで反射する。
そしてスピーカー側側面は粗く数段程度の凹凸があり少しだけ拡散されているがほぼ反射である。
つまり
現時点での反射面:スピーカー側側面、床のはずである。

とりあえず現状でインパルス応答計測。
今回は比較実験のため右のみ駆動のモノラル状態での測定



最小メモリ(1ms→34cmくらい)のディレイで10dBくらいしか減衰してない初期反射が入り、良く見ると次のメモリ(2ms→68cmくらい)に2発目が入っていて、
10ms→3.4m、28ms→9.4m、44ms→14mあたりにすこし減衰量20dB未満の初期反射が計3発入っている。
このあたりが片チャンネル辺りの現状ある初期反射音なのかもしれない。

このまえ作ったPRD風のランダム拡散体を床の反射面に置いてみる(前の計測でも室内に存在していた。床初期反射部に移動させただけ)。こんな20cm四方のものものを置いて音が変わるのか。。。?



なんてことだ。。。これは。。。激変じゃないか。。。。!(オーディオショップレビュー風)
1〜2msの初期反射音は残っていますが、減衰量-20dB前後の初期反射音が何本か新たに出ています。おそらく拡散体で何分割かされた音の数個がダイレクト、または数回反射して50ms以内にマイクに拾われたのでしょう。

じゃあ側面を吸音するとどうなるのか。拡散体を側面に仮固定するのは厳しいので毛布で実験


うーん期待したよりも変わった感ないですね。
20dB以下の小さい初期反射が少しまるまった感じはしますが。
もともとラフな拡散面を吸音しただけなので仕方ないかもですね。

それでは床に拡散体、側壁に布を付けるとどうなるのか





で比較用に一次反射面に何も置いていないもの


50ms以内の数十の初期反射音の数個が残響音(-30dB)まで減衰してくれてるみたいですね。
それでいて2ms以内の初期反射音はあまり減衰していません。

方針としては2ms以内の音は直接音の押し出し感として使いたい。
具体的には床、スピーカー側の側壁、正面壁でないと2ms以内に届かない。
壁の作る芯のある音は好きなので。でも濁りは取りたい。
他の初期反射は吸音させても拡散させるかは手間次第だ。

実測ではなくディレイでの理論値ではあるが、
2msで68cm分のディレイが生まれる。
初期反射音と直接音が干渉してコムフィルタ現象が起こり、ディップとピークを作る。
一番のディップの周波数は252Hzである。
そしてディップは252、252×3、252×5・・・と生じていく
逆にピークは252×2、252×4、252×6と生じる。

では壁に2cm厚みをつけて複雑な計算は省略するが3cm程度ディレイが早くなればどうなるか
65cmのディレイだとディップは264、264×3、264×5・・・と生じていく
逆にピークは264×2、264×4、264×6と生じる。
2cm壁を厚くするだけで周波数が6%も変わる。

そんな感じで少なくともディレイが2ms以内の非常にスピーディーな初期反射音を活用するなら、一番長い物でも数センチ以内でいいので無数のパターンの浅い方向感の無い凹凸(方向性をつけると反射角度が変わるので初期反射音ではなくなる。)を作ればコムフィルタ現象によるディップを分散させて軽減できるのではないだろうか。薄くて粗めのモザイク型PRDでもいいが、異なる大きさの半球を並べてもいいかもしれない。
これがソナのいうところの非相関された有用な初期反射音なのかもしれない。

ただそれでは不十分なのが一番周波数の小さく深い一次ディップである。
この前低域の調整後のf特


250〜400Hzにいくつかあるディップはおそらく床と側壁からの初期反射音の干渉によるコムフィルタ現象の一次ディップである。
それでもって床の1時半斜面に拡散体、側面に吸音のクッションを置いた後のf特はこれ



後者の測定の条件がずれてしまったかもしれないのだが
明らかにコムフィルタ現象の一次ディップは拡散体ではわずかな軽減効果しかないのである。
もともと一次ディップ250〜400Hzだが拡散体は今回のデザインでは1000Hzくらいまでの拡散効果しかないので、まったく手に負えていない(そもそも250~400Hzはおおむねウーファーから出ている音なので今回拡散体を設置した場所はその帯域の反射面ではない。バスレフからは出てこないだろうけれども)
このあたりにはもっと大きくて粗い拡散か位相を変えるものを用意する必要があるだろう。

実測による直接音と一次反射音との距離差
天井のディレイ       2.9m(吸音?)
 ディップ 59Hz 178Hz 297Hz・・・ ピーク119dB 237Hz 356Hz・・・
後壁のディレイ       4.0m(吸音?)
 ディップ Hz Hz Hz・・・ ピークdB Hz Hz・・・
正面壁のディレイ      1.8m(吸音)
スピーカー側側壁のディレイ 1.1m
反対方向の側壁のディレイ  未測定(吸音)
床のディレイ        0.75m

では測定結果の初期反射音でなるべく削除した方がいいものがどこ由来であるのか分析してみる。


なにより潰したいこの初期反射音はドットを読むと0.08〜0.09msの遅延であることがわかる。
音の進行距離で言うと2.7~3.0m。
候補として天井と後壁を疑っていましたがこれは天井からの一次反射音ではないのかなと思っている。
後壁は本当に吸音されていたのだ。(それでも-20dB前後なので厳密には吸音が十分とは言えないがスクリーン部なのでこれ以上の介入は困難)
天井の一次反射音はなんとかしたいところだが、3.5mの天井の一次反射面に拡散体を設置するのは現実的じゃあ無い。
難易度と落下の事故リスクを考慮すると吸音一択だろう。
天井からの初期反射音がなければ上からの圧迫感の減少にもなるので無理に拡散させて活かすメリットもない。

ということで今から4年前に戻れれば石井式の天井の吸音部の位置を変えたいところだがそうもいかないので、
新たに吸音材をピンポイントで設置するか、スピーカーを動かして一次反射面が吸音部に入るようにするか、が現実的な解決策になる。
まあスピーカーを横方向に壁に寄せるのが手軽なのかもしれない。
側壁のコムフィルタ現象の一次ディップ周波数も上の方に行くから対応しやすくなるはず。

では28ms→9.4m遅れてくる初期反射音の正体はというと。
一次反射10mも要する面は自分の部屋にはなさそうなので二次反射三次反射になるがなかなか大変だ。

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