「小さな政府(小泉構造改革)」=格差社会

格差問題を中心とした考察 ※コメント、トラックバックは受け付けません

格差社会の問題点(その1) 「地方」へのシワ寄せ

2006年10月20日 | 格差問題

どうして「東京」と「地方」の格差が問題となるほど大きくなったか。  

理由は
 1 不良債権処理を急いだこと    
 2 やみくもに規制緩和したこと    
 3 財政再建に走ったこと    
 4 市町村合併を推進したこと  
にある。

1 不良債権処理について

バブル経済崩壊と財政赤字と恐慌」で考察したように 不良債権処理は急ぐべきではなかった。
北海道拓殖銀行」が破綻した北海道経済がこのことを訴えている。

他にも「地方」では不良債権を急ぐ余り、心臓とも言える「地方銀行」が致命的に傷ついた。

その後、「東京」と違って、「地方」は民間主導、輸出主導の景気回復に取り残されたため、「地方銀行」には厳しい経営が続くこととなった。

したがって未だに銀行整理の話がでるのは「地方銀行」である。


2 やみくもに規制緩和したこと

規制緩和といっても「地方」や「弱者」に対して厳しい内容の規制緩和ばかりが実施された。

まず、大型店舗参入の規制緩和(大規模小売店舗法の施行)により、どこの地方都市にも中心市街地に「シャッター通り」という名称の廃墟が誕生した。
このことは地方銀行の不良債権をさらに大きくした。  

また、労働者派遣法の規制緩和(製造業)により「労働者の所得減少」と「地方の若者の流出(トヨタ、松下、キャノンといった大手企業の工場へ)」を引き起こすこととなった。
 
そして「地方」として重要である「農業部門への株式会社参入」といった雇用が生まれる可能性のある「良い規制緩和」は行われなかった。 


3 財政再建に走ったこと

追い打ちを掛けたのが、公共事業の削減、地方交付税の削減等による地方経済の縮小であった。
 
橋本内閣の大失政の後始末など、国は需要喚起施策として、公共事業をやらざるを得なくなり、地方公共団体を巻き込んで事業を実施したわけである。

当然、国は「地方」に赤字公債が積み上がることを容認していたのである。

ところが、ある時点で急に「財政危機だ」「構造改革だ」「景気が良くならないのは財政赤字が原因だ」「地方公共団体にも破産制度を導入する」とむちゃくちゃな方針転換をしたわけである。

もともと自主財源のある「東京」などの都市部と、自主財源の少ない「地方」の事情を無視して財政再建に走れば、「地方」が落ち込んでいくのは自明の理と言えよう。

加えて、地方自治体は赤字の穴埋めで公有地の処分まで行っている。
これは国が率先して行ったことだが、デフレ対策と言いながらさらにデフレを振興している訳で、地価の下落を一層進めていったのである。

財産収入以上に、地価デフレの影響から税収が落ち込み、何をしたやら意味がない行動であった。

それから忘れてはならないのが、農業補助金の削減により「地方」のさらに中山間は過疎化が加速化しているということである。
「地方」は工場の中国移転や公共事業の削減と併せてトリプルパンチを受けたのである。

4 市町村合併を推進したこと

これは、国が「地方交付税の特例」を餌にというか、脅しに使って、合併を強要したと言える悪政である。

市町村合併は確実に、地方の需要を引き下げることとなる。
中には、どさくさに紛れて施設を建設する市もあったが、基本的には効率化(議員数 ・職員・会議の数の減)=需要の削減を図るわけでデフレ要因となる。

これではお金の回りは確実に減ることになる。

いつも思うことだが、お金の回りを悪くしても税収は不変という仮定での「行財政改革」は間違っているのである。

せめて削減した予算を公共事業費に振り替えれば、「マクロ経済」的には変わりはないのだが...

地方は既に死んだか、死にかけている。