キヤノンの偽装請負が世間に知れ渡り、汚れた評判を挽回しようと思っているのか! 一方で、格安賃金の外国人労働者を合法的に国内で働かせようと画策しているのも彼。
所得倍増するのはキャノンの正社員だけの話なんだろうな。
7月4日、読売新聞に「福井県知事 西川一誠氏」の論文が載っていた。
一部を抜き出すと、
「地方圏では、若い人材を育てようと教育や医療、子育てなどに力を入れ、高校卒業までに1人当たり約1800万円の予算を使っている。
だが、育てた子どもたちの多くは進学や就職を機に都会に移り、税金は都会の自治体に納める。生涯の中で行政サービスを受ける場所と税を負担する場所が異なっている。
このままでは、ふるさとの自治体は生き残れず、都会に出て活躍する人材もいなくなる。1人当たり税収額でみた格差は最高の東京都と最低の沖縄県で3.2倍に広がった。
東京都と区には1.4兆円の財源超過あり、福井県の税収の14倍。豊かな財源を
使った東京の福祉サービスの水準は驚くほど高い。.....」
以上の主張は私が「出生率にも地域格差が生じている ~少子化対策~」で記したことを、行政機関からの立場から実感に基づいて説明している。
これに対し、「公共サービスの受益者がその対価として居住する自治体に納税をする受益者負担の原則」に反すると、怒り狂ったのが石原慎太郎都知事である。
確かに「税源の偏在是正」を行うには「ふるさと納税」というシステムではお話しにならないと思うので、私も反対なのであるが、石原慎太郎都知事の場合、そもそもが自分さえ良ければよいというご発想。
国政に関与してきた政治家とは思えない、一経営者レベルの人間なのである。
「共存共栄」という言葉を忘れた松下電器産業の経営者と同じレベルである。
「東京さえ発展すればよい(東京だけが発展出来る)」と考えているこのご老体も、日本をダメにした人の一人として後世に名を残すのだろう。
格差社会に関しての関係者の発言である。
それぞれ、発言者自身の利益に沿った発言ということで見ていくと面白い。
「格差が出ることは悪いとは思わない。成功者をねたんだり、能力の
ある者の足を引っ張ったりする風潮を慎まないと社会は発展しない」
(小泉純一郎 第89代内閣総理大臣)
「競争が進むとみんなが豊かになっていく」
(竹中平蔵 第3次小泉改造内閣総務大臣)
「格差があるにしても、差を付けられた方が凍死したり餓死したりはしていない」
(奥田碩 元日本経団連会長・トヨタ自動車会長)
「パートタイマーと無職のどちらがいいか、ということ」
(宮内義彦 規制改革・民間開放推進会議議長 オリックス会長)
「格差論は甘えです」
(奥谷禮子 人材派遣会社ザ・アール社長 日本郵政株式会社社外取
締役 アムウェイ諮問委員)
「フリーターこそ終身雇用」
(南部靖之 人材派遣会社パソナ社長)
2月18日、違法な「偽装請負」の是正策の一環として、請負・派遣労働者の一部を正社員に採用すると昨夏に表明していたキヤノンが、その後半年間の検討を経て、当面は高校新卒者らの正社員採用を優先する方針に転換したことが判明した。
さすがに、経済財政諮問会議の民間議員を務める、「御手洗冨士夫」(日本経団連会長、キャノンの会長)の会社のやりそうなことである。
偽装請負をめぐっては、民主党が、日本経団連会長でもあるキヤノンの御手洗冨士夫会長を国会に参考人招致するよう求めている。
【キヤノングループの偽装請負について】
キヤノングループでは、他社に雇われた非正規労働者を派遣契約なしで直接使う偽装請負が各地の工場で発覚し、労働局の指導を受けている。
国内では、昨年6月時点で製造にかかわる請負労働者が約1万5000人、派遣労働者が約7500人いたとのこと。
その後偽装請負解消に伴い派遣を増やしたため、昨年12月には請負が約1万2000人に減り、派遣が約1万2500人に増えた。
昨年は、大手請負会社コラボレートが偽装請負で事業停止処分を受けて製造請負から撤退したことなどもあって、製造にかかわる派遣労働者のうち約200人を期間従業員として直接雇用したという。
大田弘子経済財政担当相は15日の「成長力底上げ戦略」の会見で、「ワーキングプア(働く貧困層)」の定義や実態把握について「やらない」と話したとのこと。
これまでの会見では前向きに取り組む姿勢を示していたのだが、
経財相は「いろいろ調べたが明確な定義が出てこない。この言葉は米国でしか使わ
れていない。あまり明確でないものを政策の対象にするのは望ましくない。新聞やテ
レビもどういう意味で使っておられるのかつかめなかった」とし、これまでの発言や方
針を大幅に修正したものである。
何を言ってるんだ?
師である「竹中平蔵」から「小泉構造改革を否定するようなことはするな!」とストップがかけられたのだと思わざるをえない。
「ワーキングプア(働く貧困層)」の定義なんて、「一生懸命働いても生活保護以下の
水準にしかないこと」、これだけのことです。
そう言えば「フリーターの国家公務員雇用対策」というのもあったけど、フリーターの定義が出来ないという理由で見送りされたね。
自民党の青木幹雄参院議員会長が代表質問で「格差が存在することは紛れもない事実だ」と指摘したことには呆れるばかりだ。
コイツは参院の勢力維持に目がくらんで、小泉改革に手を貸した陰の「格差製造者」と言って良い政治屋である。
橋本派の仲間を裏切り、地方(出身の島根)を切り捨てた政治屋といってもよい。
また、勝手なヤツで小泉構造改革により、ご当地の大幅な公共事業削減計画を発見した際には、関係官僚を呼び出し一喝して撤回させるという政治家らしい一面も見せている。
地元の発展というよりも自分の選挙が大事だっただけなんだろうが。
いずれにしても、自分が格差を生みだしておいて、今さらよくそんなことが言えるなあと呆れたよ。
よっぽど面の皮が厚いんだな。
辛坊 治郎。
読売テレビの報道局局次長兼解説委員で、関西学院大学、立命館大学、早稲田大学などで非常勤講師として教壇に立ったり、芦屋大学客員教授の肩書きも持っている。
いつも、「ズームイン!!朝」でニュース解説をしているが、いつも、上っ面の格好いいことしか言わないので取り上げてみる。
今朝のテーマは「実感なき景気回復」
企業が空前の利益を出す中で、サラリーマンの年収はダウンしているというデータをまず紹介。
景気回復により失業者は減ったという成果はものの、年収300万円以下の層が100万人単位で増える一方で、2000万円以上の年収層が4万人増えたことを「格差社会だ、問題だ」と言っていた。
そして企業に対し(主に中小企業に対しということになります)、給与を上げよ!!とアピールしていた。
格差社会を目指した「小泉・竹中路線」を持ち上げ、「公共事業悪論」「競争社会」をさんざん格好良くアピールしておいて、社会問題化すれば、今度は、地方を中心とした中小企業に賃上げを要求する。
「公共事業を減らし、税の平均化などを行い、競争社会を目指す」ということは「東京」と「地方」の格差が大きくなり、東京に集中する「大企業」と地方にある「中小企業」との格差も大きくなるのは明らかなこと。
まったく、浅はかな人間と言わざるを得ないコメントである。
こんなヤツの講義をたくさんの学生が受けているということが悲しい。
格差社会のシワ寄せをもろに受けたもう一つは「若者」である。
不良債権処理と言えば「従業員のリストラ」が頭に浮かぶが、そう簡単に従業員のクビは切れないため、多くの企業は希望退職を募る一方で、新規採用を手控えるといった行動にでた。
民間企業は採用を手控えざるを得ず、公務員も行財政改革ということで採用枠を絞り、いわゆる就職氷河期となったのである。
このキッカケとなったのは、平成10年(1998年)の橋本内閣の経済失政である。
平成6年に引き続き、経済企画庁(現内閣府)の景気回復宣言を信用しての失政であった。
ここ数年の経済運営と同じく、橋本内閣が増税その他、財政健全化策に走ったお陰で世は不況一色となり、金融機関がバタバタと倒れ、不良債権処理の一つの方策として、人件費の削減や採用の抑制が行われたわけである。
結果、就職氷河期と言われる時代が始まった。
不幸なことに当時の世界経済は今ほど絶好調ではなかったので、官も民も徹底した節約を実行した悪影響がストレートに現れた。
国全体の需要は大きく下がり、そのしわ寄せが若者にいったのである。
この時は、後の小泉内閣時代と違って外需が振るわず「合成の誤謬」がわかりやすく証明されていた。
被害を受けたのは若者達。
彼らは、まともに就職できず、仕方なく「大学院」にいったり「フリーター」「派遣労働者」「請負労働者」になった。
また、特に「青森」「沖縄」に代表される雇用環境の厳しい「地方」の若者は、「派遣労働者」「請負労働者」の仕事しかないだけでなく、勤務地までもが「トヨタ、松下、キャノンといった大手企業の工場」がある場所、例えば「愛知県」にならざるを得なかった。
「若者」に、しわ寄せを与える一方で、「フリーター」「ニート」問題とかいって、対策を講じ始めていますが、何かおかしいと感じるのは自分だけか。
「再チャレンジ」させる前に、そもそも谷底に落とさない様にすれば良い。その方がコストは掛からないのだ。
「ニート問題は教育問題だ」と「和民」の「渡邊美樹」社長が読売新聞にインタビューで答えているが、まったくピントはずれである。
たまたまの成功者がすべてを知り尽くしているがごとく、知識人扱いされるのは危険である。
熱意と幸運だけでたまたま成り上がった者が、政府の諮問会議の委員として参画することは若者にとって不幸なこと、迷惑なことである。
ここ10年で積み上がった「ニート」の問題は「経済問題」の要素が大きいのである。
どうして「東京」と「地方」の格差が問題となるほど大きくなったか。
理由は
1 不良債権処理を急いだこと
2 やみくもに規制緩和したこと
3 財政再建に走ったこと
4 市町村合併を推進したこと
にある。
1 不良債権処理について
「バブル経済崩壊と財政赤字と恐慌」で考察したように 不良債権処理は急ぐべきではなかった。
「北海道拓殖銀行」が破綻した北海道経済がこのことを訴えている。
他にも「地方」では不良債権を急ぐ余り、心臓とも言える「地方銀行」が致命的に傷ついた。
その後、「東京」と違って、「地方」は民間主導、輸出主導の景気回復に取り残されたため、「地方銀行」には厳しい経営が続くこととなった。
したがって未だに銀行整理の話がでるのは「地方銀行」である。
2 やみくもに規制緩和したこと
規制緩和といっても「地方」や「弱者」に対して厳しい内容の規制緩和ばかりが実施された。
まず、大型店舗参入の規制緩和(大規模小売店舗法の施行)により、どこの地方都市にも中心市街地に「シャッター通り」という名称の廃墟が誕生した。
このことは地方銀行の不良債権をさらに大きくした。
また、労働者派遣法の規制緩和(製造業)により「労働者の所得減少」と「地方の若者の流出(トヨタ、松下、キャノンといった大手企業の工場へ)」を引き起こすこととなった。
そして「地方」として重要である「農業部門への株式会社参入」といった雇用が生まれる可能性のある「良い規制緩和」は行われなかった。
3 財政再建に走ったこと
追い打ちを掛けたのが、公共事業の削減、地方交付税の削減等による地方経済の縮小であった。
橋本内閣の大失政の後始末など、国は需要喚起施策として、公共事業をやらざるを得なくなり、地方公共団体を巻き込んで事業を実施したわけである。
当然、国は「地方」に赤字公債が積み上がることを容認していたのである。
ところが、ある時点で急に「財政危機だ」「構造改革だ」「景気が良くならないのは財政赤字が原因だ」「地方公共団体にも破産制度を導入する」とむちゃくちゃな方針転換をしたわけである。
もともと自主財源のある「東京」などの都市部と、自主財源の少ない「地方」の事情を無視して財政再建に走れば、「地方」が落ち込んでいくのは自明の理と言えよう。
加えて、地方自治体は赤字の穴埋めで公有地の処分まで行っている。
これは国が率先して行ったことだが、デフレ対策と言いながらさらにデフレを振興している訳で、地価の下落を一層進めていったのである。
財産収入以上に、地価デフレの影響から税収が落ち込み、何をしたやら意味がない行動であった。
それから忘れてはならないのが、農業補助金の削減により「地方」のさらに中山間は過疎化が加速化しているということである。
「地方」は工場の中国移転や公共事業の削減と併せてトリプルパンチを受けたのである。
4 市町村合併を推進したこと
これは、国が「地方交付税の特例」を餌にというか、脅しに使って、合併を強要したと言える悪政である。
市町村合併は確実に、地方の需要を引き下げることとなる。
中には、どさくさに紛れて施設を建設する市もあったが、基本的には効率化(議員数 ・職員・会議の数の減)=需要の削減を図るわけでデフレ要因となる。
これではお金の回りは確実に減ることになる。
いつも思うことだが、お金の回りを悪くしても税収は不変という仮定での「行財政改革」は間違っているのである。
せめて削減した予算を公共事業費に振り替えれば、「マクロ経済」的には変わりはないのだが...
地方は既に死んだか、死にかけている。