格差社会のシワ寄せをもろに受けたもう一つは「若者」である。
不良債権処理と言えば「従業員のリストラ」が頭に浮かぶが、そう簡単に従業員のクビは切れないため、多くの企業は希望退職を募る一方で、新規採用を手控えるといった行動にでた。
民間企業は採用を手控えざるを得ず、公務員も行財政改革ということで採用枠を絞り、いわゆる就職氷河期となったのである。
このキッカケとなったのは、平成10年(1998年)の橋本内閣の経済失政である。
平成6年に引き続き、経済企画庁(現内閣府)の景気回復宣言を信用しての失政であった。
ここ数年の経済運営と同じく、橋本内閣が増税その他、財政健全化策に走ったお陰で世は不況一色となり、金融機関がバタバタと倒れ、不良債権処理の一つの方策として、人件費の削減や採用の抑制が行われたわけである。
結果、就職氷河期と言われる時代が始まった。
不幸なことに当時の世界経済は今ほど絶好調ではなかったので、官も民も徹底した節約を実行した悪影響がストレートに現れた。
国全体の需要は大きく下がり、そのしわ寄せが若者にいったのである。
この時は、後の小泉内閣時代と違って外需が振るわず「合成の誤謬」がわかりやすく証明されていた。
被害を受けたのは若者達。
彼らは、まともに就職できず、仕方なく「大学院」にいったり「フリーター」「派遣労働者」「請負労働者」になった。
また、特に「青森」「沖縄」に代表される雇用環境の厳しい「地方」の若者は、「派遣労働者」「請負労働者」の仕事しかないだけでなく、勤務地までもが「トヨタ、松下、キャノンといった大手企業の工場」がある場所、例えば「愛知県」にならざるを得なかった。
「若者」に、しわ寄せを与える一方で、「フリーター」「ニート」問題とかいって、対策を講じ始めていますが、何かおかしいと感じるのは自分だけか。
「再チャレンジ」させる前に、そもそも谷底に落とさない様にすれば良い。その方がコストは掛からないのだ。
「ニート問題は教育問題だ」と「和民」の「渡邊美樹」社長が読売新聞にインタビューで答えているが、まったくピントはずれである。
たまたまの成功者がすべてを知り尽くしているがごとく、知識人扱いされるのは危険である。
熱意と幸運だけでたまたま成り上がった者が、政府の諮問会議の委員として参画することは若者にとって不幸なこと、迷惑なことである。
ここ10年で積み上がった「ニート」の問題は「経済問題」の要素が大きいのである。