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にしみの鉄道情報局付属ブログ

ぐっちーさんの本当は凄い日本経済入門

2013-05-15 | 書評



ぐっちーさんの本当は凄い日本経済入門は以前紹介した日本経済はなぜ最強と言われるのかの続編になる本です。なお今回は出版の名義は本名の山口正洋になっています。
アメリカのシェールガス革命から、中国経済、欧州経済、最後に日本経済について述べています。

中国経済について、ちょっと怖いことを書いていて、中国の現在のビジネスモデルは踏み倒しだと。代金を払わなかったり契約を守らなかったりして、中国の裁判所の訴えても、フェアな裁判は期待できず、国家ぐるみの踏み倒しを行うと書いています。まあ流石にそこまではと思いますが・・・。
アメリカの西海岸の企業が一時期、盛んに中国に進出しました。日本と同じようなものだろうという感覚で中国へ進出したら、他の多くの国、特に日本企業と同じように、踏み倒しの被害に遭って損害を被ったケースが非常に多いということです。今になって中国は日本とは異なるということに気が付いたとのことです。

欧州経済関係でも、少し怖いことが書いてあって、ドイツ州立銀行の円建て債権について紹介しています。ドイツ連邦政府はドイツ州立銀行(州ごとにいくつかある)が破綻しても、一切補償はしないと明言しています。
これが何が怖いかというと、ドイツ州立銀行は南欧の国債を大量に保有し、それを円建て債券で販売しているわけです。円建て債券なので当然日本の金融機関が持っているわけですが、南欧の国債がデフォルトすると、ドミノ倒し的にドイツ州立銀行が破綻して、更に日本の金融機関に影響が及ぶわけです。
このような債権はCSDでリスク低減するのが定石なのですが、その分利益が減るため、大部分は債権をそのまま持っています。となると、いくつかの日本の金融機関は直接被害を被るわけですが、どうやら生保の数社がかなりこの債権を保有しているらしいとの事です。

この本では、経済について、新聞などでは述べないかなり大胆な事を述べており、円高か円安のどちらが良いのかその辺りも考えさせられる内容になっています。


なぜ日本経済は世界最強と言われるのか

2013-03-10 | 書評


なぜ日本経済は世界最強と言われるのかを今回は紹介します。この本は昨年10月頃に出版された本で、基本的に今の円安が進む前の状況を元に書かれていますが、なかなか説得力のある経済についての本です。内容は筆者の有料のメールマガジンを本にまとめたもので、その中の幾つかを簡単に紹介します。

日本にとって、円安の方がメリットが大きいのか、それとも円高の方がメリットが大きいのか、それについて取り上げています。
現在、円安が進んでいますが、その影響もあり、輸入食材や石油価格が上昇しています。筆者は指摘していますが、通貨安で滅んだ国は数あれと、通貨高で滅んだ国は歴史上存在しない、海外から重要部品や資源を輸入する上で、通貨高は有利と述べています。つまり原油や天然ガス、鉱物資源の輸入において、円高のほうが有利に調達出来ます。日本の輸出依存度は2割程度で、同程度の輸入があるため、言われているほど輸出依存体質ではないのです。
現在の家電メーカーの苦境は、どちらかと言うとライバルの実力を見くびっていた面が大きいと筆者は指摘しています。

日本は財政破綻するのか。これは常に議論されている話題なのですが、筆者によると、意外とこれはハードルが高いと言います。
理論的には借金しても返せと言われなければ、貸し手がいれば、担保が十分にあれば、収入つまり税収を超える国債の発行も可能になります。
国内で国債のほとんどを消化している日本の場合、海外から返せといわれる心配も、海外のファンドに国債を売られて暴落する可能性も極めて低いのです。多少金利が変動しても、旺盛な需要も有りすぐに金利が安定します。日本の国債が暴落する可能性があるとしたら、日本人が時間をかけて海外に資産を移すだけだと指摘しています。

ちなみにこの本の中で、韓国経済についても言及していますが、現在の韓国経済は極めて危険な状況にあります。過度の輸出依存体質になっており、通貨安によって輸出競争力を確保していました。日韓通貨スワップ協定によって、ある程度の為替相場の安定は確保していましたが、完全に日本に生殺与奪権を握られています。つまりウオン安によって対外債務の利払いも増えて、経済は破綻寸前という状況のところ、通貨協定によってかろうじて破綻を免れている状態です。
韓国の中央銀行のバランスシートはすごい状態になっているらしいです。

韓国にしろ、ギリシャにしろ、その他欧州の各国にしろ、国債の自国内での消化率が50%を切り、外国に生殺与奪権を握られている格好になっています。外国から借金を返せと言われた瞬間に、外貨準備高が十分にない場合は、デフォルトになります。日本の場合、世界最大の約1兆円の外貨準備高がありますので、外国から借金を返せと仮に言われた場合、すぐに返すことができます。

筆者の言いたいことは、日本は結果的にうまく行っており、ここ10年ほどの経済の勝者は日本だということだそうです。また日本が破綻することもないということだそうです。

プラチナデータ

2012-12-14 | 書評


DNAがメインテーマになった東野圭吾の小説、プラチナデータ。犯罪におけるDNA鑑定は現在では一般化していますが、それが更に進んだ世界の話になります。
刑事ドラマなどで、指紋と前科者の照合が行われますが、同様にDNAもデータベース化されつつあります。
技術がさらに進めば、DNAから身体的特徴やモンタージュが作成可能になるのではという話で、実際にこの2つが小説のメインテーマになっています。

DNAの場合、親から子に受け継がれるので、生き別れの親子のDNA鑑定ではないのですが、近縁者である可能性がDNAから分かります。

この小説の1つのテーマですが、データベース化の中にあるDNAの近縁者を照合して、犯罪捜査に使用するというものがあります。つまり、身内の誰かがDNAのデータベースに登録されていると、自身がデータに入っていなくとも、リストアップされるということになります。
実際に捜査手法として、このようなことを行なっていいのか、法律的に行えるのかかなり疑問なのですが、一つの問題提起をしています。
この作品のもう一つの問題提起が、DNAデータベースの適用除外があるということで、これはネタバレになるので多くは書けません。

さて、この作品で疑問に思ったことですが、技術が進めばDNAから人の容姿は本当に分かるのかということです。まず、当たり前のことですが、人の容姿は後天的要素が非常に大きいということです。食生活で体格は大きく変化しますし、日焼けなどの肌の色もわかりません。
それに根本的問題ですが、一生変化しないDNAからは年齢が分からないため、歳とともに大きく容姿が変化するタイプの人では、かえって捜査の妨げになる恐れがあります。

明治以前の神仏習合の時代・後編

2012-10-14 | 書評
島田裕巳氏の著書、「神も仏も大好きな日本人」の後編になります。

日本の仏教は、密教の影響を強く受けています。真言宗とともに日本に広まった密教は、その圧倒的な魅力によって、真言宗と天台宗以外の宗派にも大きな影響を与えています。
奈良仏教の薬師寺でも護摩を焚くなど密教的な行事が行われていますし、多くの寺院は密教を取り入れることによって、加持祈祷を行い収入を得てきました。
斑鳩の中宮寺の本尊は国宝の如意輪観音ですが、当初は弥勒菩薩として作られたようです。如意輪観音は密教の仏で、中宮寺も密教の影響を受けた時代があったということです。また法隆寺の百済観音は江戸時代は、密教の仏である虚空蔵菩薩と呼ばれていたようです。
このように日本に密教が入ってくる以前からある、奈良仏教の寺院はかなり密教の影響を受けています。

一方、鎌倉仏教でもかなりの宗派が密教の影響を受けています。京都の浄土宗の知恩院では境内に祀られた勧請神の前で、護摩焚きの大祭が行われます。浄土宗にも神仏混合の習慣が入っており、更に密教の習慣が取り入れられています。禅宗の臨済宗や曹洞宗の寺院でも、護摩焚きが行われるところがあるそうです。

日蓮が示した有名な四箇格言というのがあります。「真言亡国、禅天魔、念仏無間、律国賊」(念仏無間とは無間地獄を表す)というもので、要するに他の宗派に対する批判なのです。
その日蓮宗で密教の教えを取り入れることは、宗祖の教えに反して、亡国の振る舞いに結びつく事になるはずです。ところが、日蓮宗にも密教の教えは入り、荒行や護摩焚きが行われる寺院があるそうです。結局、鎌倉仏教で密教の影響を受けていないのは、浄土真宗ぐらいだそうです。

密教は壮大な宇宙観を持ち、日本中に広まりましたが、この宇宙観が神道の世界に大きな影響を与えています。詳しくは省略しますが、密教のもつ呪術的な面が神道との相性が良く、神社の中にあった神宮寺は密教の影響を受けたところが多かったようです。


日本が他の地域と異なっていたのが、仏教が入ってきた時、日本土着の信仰である神道と完全に融合せず、影響をお互いに与えながら独立していました。そのことが明治期に、神仏分離が可能だった背景にあります。また日本人が一つの信仰を絶対視しない思想が生まれた背景になります。ただ、日本人は信仰心は強いものの、結局神道か仏教かどちらかを選ぶことが出来ず、宗教を聞かれた時、無宗教と答える背景にもなっています。

神道からは完全に仏教は排除されましたが、仏教寺院から神道は完全に排除されていません。大寺院の中に神社があるのは今でも違和感を持たない人が多いと思います。しかし、神仏分離から100年以上が経過して、完全に神道と仏教は分離され、それは日本人の思想の中に入っているようです。

明治以前の神仏習合の時代・前編

2012-10-13 | 書評


以前、日本の仏教の宗派で紹介した、「浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか」の著者、島田裕巳氏の同じ宗教関連の著書、「神も仏も大好きな日本人」を今回紹介します。
明治維新後に神仏分離と廃仏毀釈以前、日本の宗教体型はどのようなものだったのかを取り上げています。

江戸時代以前は神社の境内に寺院があり、逆に寺院の中に神社があるのが当たり前でした。この形態を残しているのが、東京の浅草寺で、この境内には三社祭で知られる浅草神社があります。明治初期の神仏分離と廃仏毀釈が関東地方はそれほど激しくなかったため、このような形態で現在まで残っているそうです。

廃仏毀釈の影響をもっとも受けたのが、よく言われているように奈良の寺院でその中でも興福寺がもっとも大きな影響を受けています。
興福寺は摂関家とのつながりが深く、多数の荘園を所有していたため大和一国を支配する力を持っていました。鎌倉室町幕府でさえ大和には守護を置くことが出来ず、興福寺が守護の役割をしていました。さらに興福寺は春日大社との関係が深く、最も神仏混合の習慣が顕著な寺院でした。
このことが興福寺には明治維新後に逆風になり、塔頭が全て廃止され廃寺同然の状態になりました。興福寺の塀が無くなり、公園の中に寺院があるのは、この明治時代の廃仏毀釈の影響によるものです。当然江戸時代後期に放火などで焼失した建物の再建もほとんど出来ず、現在でも興福寺は不完全な状態です。
収入も不足したため、五重塔が250円で売却されかけた話は有名ですし、戦後はかろうじて西国三十三箇所霊場の南円堂に対する信仰で支えられていました。
現在は、阿修羅像に対する信仰が集まり、数年後には江戸時代後期に焼失した金堂の再建も行われるそうです。


仏教が日本に入ってきた時、インド由来の仏教の守護神といわれる明王(不動明王など)や天部(帝釈天など)は、もともとヒンズー教などのインドの神々でした。これらの明王や天部は日本古来の神話の神々と融合していき、それが仏教と神道を結びつけることになります。その後、神社の中に寺が作られる事になり、これが神宮寺と言われる寺院です。神社から分離されていますが、現在も残っている神宮寺もあるそうです。
なぜ神社の中に寺院が作られたかは、本を読んでいただくとして、日光東照宮と輪王寺の関係のように、神宮寺が事実上、神社の管理権を掌握しているケースもあり、一概にどちらが上かは言えない面もあります。

その後、大きな寺院を作るときに、守護神として有力な神社が勧請されることもありました。奈良の東大寺が最初の例で、九州の宇佐神宮から勧請しています。現在も残る手向山八幡宮が鎮守社となっています。京都の東寺にも八幡神が残っているそうです。
明治初期の神仏分離廃仏毀釈の時期、神道家は神社から仏教の痕跡を消すのには熱心でも、寺院には直接介入出来なかったため、先の浅草寺の例もありますが、寺院の中に神社が残ったそうです。

神道の理論の体系化では、仏教が大いなる影響を与え、現在でもその名残は多く残っています。
神道のもともとの考え方では、亡くなった人の霊を弔うというものは無いのですが、戦没者を祭った靖国神社に見られるように相当な影響を与えています。靖国神社は神仏混合や仏教とはもっとも縁遠い神社のように思えますが、仏教の影響を受けていることになります。

後編へ続く