日本の伝統芸術と芸能
能面と能楽・佛像と佛像彫刻
<その033>
「仏像の名品巡礼」
近畿地方-002
吉祥天-002
浄瑠璃寺・吉祥天 -001
先回は吉祥天についてご紹介しました。法隆寺の吉祥天と同じように有名な吉祥天と言えば、京都の木津川沿いの山中にある、浄瑠璃寺の吉祥天が揚げられます。九体阿弥陀が安置されております阿弥陀堂のご本尊の左隣の厨子の中に居られます。
一般的には吉祥天というと、浄瑠璃寺の吉祥天の方が良く知られていると思います。阿弥陀堂の九体阿弥陀の本尊も共に有名ですね。
浄瑠璃寺 山門
阿弥陀堂の前の池が手前を此岸 阿弥陀堂を彼岸とを分けております。三重塔が池の手前にあり、東方浄土(浄瑠璃浄土)の教主・薬師如来を祀って居ります。
阿弥陀堂
ご本尊の阿弥陀如来坐像の向かって左に厨子が置かれております。
九体阿弥陀佛
厨子を開いたところ
吉祥天 厨子
鎌倉時代の作で、像高90cmと小ぶりな像。 全身が艶やかで豪華な服装は、古代中国で成立した服装です。肩には背子(ハイシ)を掛け、手には「宝珠」を持ち、
吉祥天
頭上には「宝冠」を被り、
吉祥天 頭部・・宝冠
佛顔には胡粉が塗られ、伸びやかな眉、赤い唇(臙脂?)の彩色。 白い帯の結び目の上には、「瓔珞」が見えます。
瓔珞
帯の八の字の間には古代中国で高貴な人物が腰から下に付けたエプロン状の衣・蔽膝(へいしつ)が見えます。
↑ 蔽膝
この蔽膝には3本の鰭状の飾りが付いております。下の法隆寺の吉祥天の蔽膝は少し形態が違います。
↑ 蔽膝
いずれにしても華やかな感じのする仏像です。次回は浄瑠璃寺の名宝をご覧ください。
それでは<青い眼の人形>に移りましょう。
先回から新しい企画として、「青い眼の人形」を全国津々浦々に追ってみようと言う企画を立てました。 現在全国には327体が記録として残されております。若干新しい発見があれば、数体の増加はあるかもしてませんが、兎に角HPをPCで探し回って、資料を引っ繰り返して捜してみましょう。
北の北海道からから九州・宮崎まで、何回で踏破できるでしょうか。
「青い眼の人形」-001
北海道編
北海道には1927年に643体の青い眼の人形が贈られましたが、現在 25 体の人形の所在が確認されております。全国でも2番目の所在数です。 (長野県は第1番で26体です。最小は各県1体6県です)南に下がるにしたがって、数が少なくなってきております。
北海道・稚内市・稚内中央小学校所蔵-001
ジェンナー
日本が戦争に突入し、各地で『青い目の人形』の処分が進む中で当時、同校の教師であった酒井芳先生がそっと保管し、当時父親が経営していた公益質屋の倉の奥へしまい込みました。その後、公益質屋からも転居しましたが、家財道具の中に大事にしまわれていました。昭和54年夏、実弟である淳之助氏が物置を整理していたところ、この人形が発見されました。当初、由来等は分からなかったのですが人形を修理し、人形展示会に出品したことを契機に、由来を確認し、戦禍を免れるためにとった姉の意思をくみ、昭和55年4月22日に39年ぶりに学校へ戻ることとなりました。それ以来、稚内中央小学校に大切に保管されています。(稚内観光協会稚内学より・・HPより掲載)
非常に理解のある人達に守られた、幸運なケースの人形でしたね。修復済みですので非常に状態が良いですね。
それでは<答礼人形>に移りましょう。
「答礼人形」
Miss 三重・瀧澤 光龍斎
所蔵場所・ネブラスカ州リンカーン ネブラスカ大学州立博物館人類学部
人形の紋 |
三蔓河骨 |
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道具の紋 |
丸に三階松 |
現在は Miss 三重 となっておりますが、調査の結果この人形は下の写真のMiss 兵庫が本来のMiss 三重であることが分かりました。アメリカで取り違えがあったようです。ということになりますと、この現在のMiss 三重は誰なのか?今のところ分かりません。
日本出発前の写真の中にMiss 茨城のものや、日本の子供たちからの手紙が17通もありました。でも、Miss 茨城は後で紹介する通りMiss 栃木が本当かもしれません。では何故此処にあるのでしょうか?
Miss 兵庫(元・Miss 三重)
人形の紋 |
三つ寄せ松 |
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道具の紋 |
牡丹唐草 |
日本に里帰りして、東光工房にてリニューアルされたMiss 三重
それにしても、現Miss 三重はどこの県から贈られたものか、分からないなんて可哀想ですね。何か手掛りがないのでしょうか。
調度品
兎に角 アメリカで人形が複雑に取り違えられているので、正確な所在がなかなか分からないのが現状です。ただ、行方不明の中には他の博物館で別な県の名前で所蔵されているのも有るかも知れません。
次回は「Miss 福岡」をご紹介しましょう。(これまた取り違えがあったようです)
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