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抗血管新生薬とミトコンドリア阻害剤を組み合わせて癌を殺す

2016-06-19 06:06:55 | 癌の治療法
Researchers discover a mechanism that reverses resistance to antiangiogenic drugs

Antiangiogenics like TKIs are one of the most widely used cancer treatments but patients eventually develop resistance.
Adding an antidiabetic to the drug regimen eliminates resistance to TKIs and inhibits tumor growth up to 92 percent in animal models

June 9, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/06/160609134303.htm

スペイン国立がん研究センター(CNIO)の乳癌臨床研究ユニットは、癌の治療で広く使われる薬の一つである抗血管新生薬antiangiogenic drugに関する重要な発見をCell Reports誌で発表した
彼らはこれらの阻害剤に対する抵抗性のメカニズムと、それを無効化する方法について記述する
乳癌と肺癌モデルのマウスに対して抗血管新生薬に加えて抗糖尿病薬を足すことで、腫瘍の増殖は92パーセント阻害されたという


抗血管新生薬への抵抗性は上皮性腫瘍epithelial tumourに共通の問題であり、それが乳癌、肺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、腎臓癌、肝臓癌など癌の治療で広く使われていることを考慮すれば、抵抗性についての研究は特に有意義である
チロシンキナーゼ阻害剤/Tyrosine Kinase Inhibitors (TKIs) は抗血管新生薬の一つであり、ソラフェニブsorafenibやスニチニブsunitinibよりも効果が高いとされる新しいTKIのニンテダニブnintedanibが、進行した肺癌の治療用としてFDAとEMEAによって最近承認された
ゆえに、治療が患者の利益になる時間を延ばすために「TKIへの抵抗性を獲得するメカニズムを明らかにすることは重要である」と著者は言う


細胞の代謝の変化
Changes in Cell Metabolism

異常な血管は腫瘍の発達を支え、組織に酸素の不足(低酸素hypoxia)を引き起こす
酸素の欠乏は細胞代謝の変化の引き金となる(ワールブルク効果として知られる現象)
癌細胞は通常の細胞よりも最大で20倍も多くグルコースを消費し、したがって通常の細胞がエネルギーを得るための『発電所』であるミトコンドリアよりも優勢になる

CNIOの乳癌臨床研究ユニットの所長であるMiguel Quintela-Fandinoによると、TKIによる治療は癌細胞の制御不能なグルコース代謝を阻害するという
しかしながら、癌細胞が飢えて死ぬはずのTKIの治療では望んだような致死的効果が常に得られるわけではなく、腫瘍の多くは抵抗性を獲得する

それがどのようにして起きるのか?
今回の論文はそれに答える
『エネルギー源を変更してミトコンドリア呼吸に逆戻りrevertすることによる』

しかしながら、腫瘍が生き残るために使うこのような適応メカニズムは癌細胞を攻撃するための機会をもたらすことをCNIOの研究者は発見した


癌と戦うために糖尿病の薬を使う
An Antidiabetic Agent to Combat Cancer

「エネルギー源の一つである解糖系glycolysisを薬理学的に制限すると、腫瘍はもう一つのエネルギー源であるミトコンドリア代謝に依存するようになり、その阻害に対して脆弱になる」と論文で著者は指摘する

仮説をテストすべく乳癌のモデルマウスにTKIのニンテダニブを投与したところ、癌細胞によるグルコースの消費は激しく低下した一方で、ミトコンドリアの呼吸から生まれる代謝産物が増加した

彼らが次にミトコンドリアの阻害剤であり糖尿病薬として使われるフェンホルミンphenforminを処方に加えると、マウスの腫瘍の成長は最大で92パーセント低下した
特にフェンホルミンをTKIと同時simultaneouslyではなく、TKIの次に順を追ってsequentially投与した時に強い効果が見られた

彼らが『代謝性合成致死/metabolic synthetic lethality』と名付けたこのような効果は、他のタイプのTKIであるレゴラフェニブregorafenibとミトコンドリア阻害剤ME344を組み合わせた時にも生じた
この治療は肺癌モデルで全生存中央値median overall survivalを40パーセント以上も延長した


このプロジェクトの最も興味深い側面は、それが即座に応用可能だということである

「フェンホルミンは糖尿病患者に対してまれに副作用を引き起こすために市場から回収されたが、この薬は糖尿病ではない患者には安全である」
Quintelaは言う
彼のグループはこの相乗的な薬剤の組合せが抗血管新生薬に対する抵抗性を反転できるかどうかを研究するために独立した/独自independentの臨床試験を6ヶ月以内に始める予定である


http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2016.05.052
Targeting Tumor Mitochondrial Metabolism Overcomes Resistance to Antiangiogenics.
腫瘍のミトコンドリア代謝を標的にすることで抗血管新生薬への抵抗性を克服する


Highlights
・抗血管新生薬は乳癌と肺腫瘍の低酸素hypoxicを修正する
・酸素が正常normoxicな腫瘍は解糖系を停止させてミトコンドリアの代謝に依存する
・ミトコンドリア代謝は正常な酸素下での腫瘍の生存に必須である
・ミトコンドリア代謝を標的にすることは抗血管新生と相乗作用を示す

Summary
上皮性の悪性腫瘍epithelial malignanciesには抗血管新生薬による治療が効果的だが、抵抗性の獲得が治療上の大きな問題である
上皮性腫瘍は一般にMAPK/Pi3K-AKT経路に突然変異を持ち、結果として高速high-rateの好気的解糖aerobic glycolysisにつながる

今回我々はマルチキナーゼ阻害による抗血管新生薬(TKI)がどのようにして突発性spontaneousの乳癌モデルならびに肺腫瘍モデルにおいて低酸素を修正correctするのかを示す
低酸素が修正されると、腫瘍は解糖系を下方調節し、スイッチを切り替えてミトコンドリア呼吸に長期にわたって依存するようになる

トランスクリプトーム、メタボローム、ホスホプロテオミクスを組み合わせた研究から、この代謝的な切替えはHIF1αとAKTの下方調節ならびにAMPKの上方調節によって仲介されることが明らかになった
それにより脂肪酸とケトン体の取り込みと分解が可能になる

この切替えはミトコンドリア呼吸を腫瘍の生存に必須にさせる
フェンホルミンやME344のような薬剤はTKIと組み合わせた時に相乗作用的な腫瘍コントロールをもたらし、代謝性合成致死metabolic synthetic lethalityにつながる

我々の研究はTKIに対する腫瘍の抵抗性プロセスにおける機構的な洞察を明らかにするとともに、臨床的な実用性applicabilityを持つ可能性がある



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参考サイト
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3545.html
>実は、がん細胞はブドウ糖しかエネルギー源として使えないことがわかっているのです。

は?
 

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