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遺伝子の『スイッチ』はアルツハイマー病の潜在的な標的

2016-09-27 06:06:11 | 
Genetic 'switch' identified as potential target for Alzheimer’s disease

September 20, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/09/160920115633.htm


(ヒトの脳内でのニューログロビンの発現。Allen Human Brain Atlasより)

インペリアル・カレッジ・ロンドンを拠点とする医学研究会議/Medical Research Council (MRC) 臨床科学センター/Clinical Sciences Centre (CSC) の研究チームは、『アルツハイマー病から保護することが知られている遺伝子』のスイッチを入れる仕組みの重要な部分を明らかにした

香港大学/Hong Kong University (HKU) とエラスムス大学/Erasmus University(オランダ・ロッテルダム)との共同研究により、CSCの準教授のRichard Festensteinはニューログロビン遺伝子が上方調節される過程を調査した(上方調節up-regulatedとは徐々にスイッチが入ることである)
ニューログロビンはアルツハイマー病に対して保護的であることが以前マウスで示されている
このマウスはニューログロビンを過剰に作るよう遺伝子操作したものだった


この遺伝子はアルツハイマー病の早期に保護的な役割を演じると考えられているが、疾患が進行するにつれて下方調節down-regulatedされていくようだ
したがって、その上方調節についての今回の研究は、アルツハイマー病を防いだり治療しようとするための新しい方法の開発において役立つことがわかるかもしれない
痴呆症の一般的な原因であるこの疾患には現在のところ治療法は存在しない

CSCのFestenstein教授とHKUのTan-Un博士はエラスムスのSjaak Phillipsen教授の助力を受けて、ニューログロビンが細胞内でどのようにして『つぶれる/fold up』のかを調査した
染色体構造捕捉/chromosome conformation capture(3C)という技術を使った分析による結果、ニューログロビン遺伝子の遺伝子コード領域の外側にある『DNAの特定の領域』が輪を描くようにループして、ニューログロビン遺伝子が始まる場所と接触していることが示された

この新たに突き止められたDNA領域が実際にニューログロビン遺伝子のスイッチを入れることができるのかどうかを確認するため、彼らは二つのアプローチを用いた
まず初めにこのDNA領域を別の遺伝子、いわゆる『リポーター遺伝子』に直接つなげたところ、上方調節を引き起こす『アップレギュレーター』として働くことがわかりやすく実証されたdemonstrated simply
次に『CRISPR』という技術を使って遺伝子を編集し、このDNA領域を細胞から完全に取り除くと、ニューログロビン遺伝子はもはやスイッチが入らなかった

これらの結果から研究チームは、この新たに突き止められたDNA領域が実際にニューログロビン遺伝子の強力なスイッチ・メカニズムであるという確信confidenceを得た

ニューログロビンはアルツハイマーで保護的であると考えられているため、将来この『スイッチ』を使った新しい治療法、例えば遺伝子治療が開発されるかもしれない
そのような治療アプローチを最も効果的にするためには、DNAがコンパクトな『かたまりchunk』である必要がある
重要なことに、研究チームはこの新たな調節領域の位置を特定し、それがニューログロビン遺伝子そのものからはいくらか離れていることを明らかにしている
治療用の効率的な遺伝子治療ユニットを形作るために、ニューログロビン遺伝子とその調節領域との間にあるDNAのあまり関係がない部分less relevant sectionsを取り除けるかもしれない
アルツハイマー病だけでなく他の神経変性疾患、例えば視神経萎縮症optic atrophyでもこの標的が有用であると判明する可能性がある


http://dx.doi.org/10.1093/nar/gkw820
Identification of a novel distal regulatory element of the human Neuroglobin gene by the chromosome conformation capture approach.

Abstract
ニューログロビン/Neuroglobin (NGB) は主に脳と網膜で発現する
過去の研究でNGBが神経細胞に保護的な効果を発揮することが示唆されており、脳卒中やアルツハイマー病の重症度の低下と関連付けられているimplicated
しかしながら、その細胞タイプ特異的な遺伝子発現のメカニズムについてはほとんど知られていない

今回の研究で我々は、NGB遺伝子の適切な発現に関与するのは遠隔調節配列/distal regulatory element (DRE) であるという仮説を立てた
我々は染色体構造捕捉/chromosome conformation captureを使い、2つの新たなDREがNGB遺伝子の-70kb上流と+100kb下流(7万塩基上流と10万塩基下流)に位置することを確認した

※kb: kilo base pair

ENCODEデータベースでは、これらの領域に『DNaseIに特に感度の高い箇所/DNaseI hypersensitive sites』と『転写因子が結合する箇所/transcription factors binding sites』の存在が示された

ルシフェラーゼリポーター/luciferase reportersとクロマチン免疫沈降/chromatin immunoprecipitationを使ったさらなる分析から、上流の−70 kb領域には『ニューロン特異的なエンハンサー』ならびに『GATA転写因子の結合箇所』が含まれることが示唆された
GATA-2のノックダウンがNGBの発現を劇的に低下させたことから、GATA-2はNGBの発現を活性化させるために必須の転写因子であることが示された

NGB発現の活性化におけるDREの決定的に重要な役割は、CRISPRを介するDRE消去後のNGBレベル低下によってさらに確認された

まとめると、NGB遺伝子はそのプロモーターと新規DREとの間に形成される細胞タイプ特異的なループによって調節されることを我々は示す



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