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2015年2月19日

2015-02-26 23:13:52 | 

DNAの『ワームホール』と関連する癌リスク
Cancer risk linked to DNA 'wormholes'



Institute of Cancer Researchの新しい研究によると、かつて『ジャンクDNA』として片づけられたゲノムの中のたった一文字の遺伝子変異は、はるか彼方の遺伝子に対してワームホール(wormhole; 虫食い穴)のような効果により癌リスクを増す可能性がある。

遺伝子が全く存在しない『遺伝子砂漠』 と呼ばれる中のDNA配列は、比較的遠い距離を越えてDNAループ(DNA loop)を形成することにより異なる場所の遺伝子活性を調節することが可能である。Institute of Cancer Research(ロンドン)の科学者たちを中心とする今回の研究は、あまり役に立っているようには見えないゲノムの遺伝子変異がどのようにして癌リスクを増加するのかについての謎を解決するのを助ける。

研究者たちはDNAの環状化による相互作用(looping interactions)を研究する新しい技術を開発し、DNA環状化を含むゲノム領域の単一のDNA変異が結腸直腸癌の発症と関連することを発見した。本日Nature Communicationsで発表される研究は、これらのDNA相互作用、特に腸の癌細胞における相互作用に目を向けた最初の包括的研究であり、他の複雑な遺伝子疾患とも関連がある。

彼らはキャプチャHi-C(cHi-C)と呼ばれる技術を開発し、拡散したDNA同士の物理的な長距離相互作用を調査した。それにより染色体の特定の領域が物理的に相互作用する方法を以前にもまして詳しく観察できるようになった。長距離の(long-range)DNA相互作用を調べるためにこれまで用いられてきた技術は、決定的な結果をもたらすには感度が不十分だった。

研究者は以前腸癌リスクと関連づけられた変異を含むDNAの14の領域を評価し、それら14の領域すべてに著しい長距離の相互作用を検出した。これは遺伝子の調節における長距離相互作用の役割を示す。この相互作用が重要である理由は遺伝子のふるまいを制御できるためであり、遺伝子のふるまいの変化は癌につながる可能性がある。実際、癌リスクと関連づけられてきたほとんどの遺伝子変異は遺伝子それ自体の中にではなく、それらを調節するゲノム領域の中に存在する。



研究のリーダーでありInstitute of Cancer Researchの分子集団遺伝学の教授でもあるRichard Houlston教授は以下のように言う:

「我々の新しい技術は、遺伝子の変異がDNAループによりゲノムの他の場所にある発癌遺伝子と長距離の相互作用をすることで、癌リスクを増加させる可能性を示す。
それは時にワームホールと同じように説明される。ワームホール理論では、宇宙の遠い場所を空間と時間の歪みが結びつける。」

「長距離の遺伝子の調節についての理解は、癌がどのように生じるかについて理解するために重要である。そしてそれは癌の治療のために新しい方法を発見する際に重要であるかもしれない。」

Institute of Cancer Researchのチーフ・エグゼクティブであるPaul Workman教授は以下のように言う:

「すでに癌と関連づけられてきた多くの遺伝子のバリアントは遺伝子砂漠(gene deserts)において生じる。遺伝子砂漠はしばしばきわめて長く、そして非常に不可解なDNA塩基配列である。実際のところ、砂漠には『遺伝子』が存在しない。しかしそれは、我々がまだ完全には理解していないやり方で癌の発症に関与する。」

「よく言われるようにDNAの環状化は研究が困難である。しかし今回の研究は、DNA砂漠の遺伝子変異が腸癌の発達を促進するために何をしているのかについての理解へ向けて重要な一歩を踏み出した。」

記事出典:
上記の記事は、Institute of Cancer Researchによって提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.キャプチャHi-Cは、結腸直腸癌リスク遺伝子座のクロマチン・インタラクトームを特定する。

Nature Communications、2015;

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/02/150219090349.htm

<コメント>
ジャンクDNAと思われていたゲノムの多型は、DNAの環状化によりゲノムの遠い箇所と相互作用して結腸癌などのリスクにつながるという記事です。

以前にもDNAの立体構造を推定するために3Cを用いてマラリア原虫の核を捉えたという記事がありましたが、今回使われたのは3Cを発展させたHi-Cをさらに改良したcHi-Cというものです。本文によると「Hi-Cはゲノム全体スケールでの長距離相互作用の検出には使えるが、その有効な解像度は限定フラグメント(制限酵素による断片化?)ならびに実験の感受性に依存しており、特定の相互作用を説明することはできない」とのことです。

記事中にある「cHi-Cを適用した14の領域」というのは、論文によると1q41, 3q26.2, 8q23.1, 8q24.21, 10p14, 11q23, 12q13, 14q22.2, 15q13, 16q22.1, 18q21.1, 19q13.1, 20p12.3, 20q13.33という14箇所で、その内の一つ8q24.21にあるSNPのrs6983267は下流のMYCと相互作用し、さらに上流の調節因子としてCCAT1を同定したとあります(MYCCCAT1は50万塩基以上離れている)。



本文にはこうあります。

>These observations are concordant with recent data from Xiang et al.26 showing the role of ​CCAT1-L, a CRC-specific isoform of the ​CCAT1 lncRNA, in intra-chromosomal looping with the ​MYC gene promoter regulating ​MYC transcription.
(これらの観察は、[26]のデータとも一致している。CCAT1というロングノンコーディングRNAの結腸直腸癌CRC特異的アイソフォームのCCAT1-Lは、MYCの転写を調節するMYC遺伝子のプロモーターとの染色体内ループ形成において役割を果たすことを[26]は示した。)

染色体内のループというのは、[26]によれば具体的にはこのような形になっているようです。2つのループにより結果的にMYCプロモーターを含む3つ目のループが形成されています。




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