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癌細胞はミトコンドリアで乳酸を使う

2016-09-16 06:06:12 | 
'Tracking bugs' reveal secret of cancer cell metabolism

Instead of throwing away valuable nutrients, the cells wring out every last drop of energy

September 12, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/09/160912161023.htm

癌の特徴の一つは細胞の代謝の変化である
細胞の代謝という一連の化学反応は生命にとって非常に基本的であるため、その変化は癌細胞を『ぞっとするほど邪悪creepily malevolent』にするようだ


健康な細胞は血液からブドウ糖(グルコース分子)を取り込み、それを分解してエネルギーを取り出す
その反応は2つの段階に分けられ、最初の段階は細胞質で生じ、次の段階はミトコンドリアで起きる
癌細胞はミトコンドリアの段階をほとんどスキップしてしまうため、それによって得られるはずだったエネルギーは最初の段階を活性化rev upしてグルコースを急速に分解することによって補われると考えられている
結果としてグルコースが部分的に分解された乳酸が大量に生じ、それは『廃棄物waste product』であると長い間見なされてきた

この『仮説』のいくらかは確かに真実である
なぜなら癌細胞は実際に通常よりも多くのグルコースをがぶ飲みsoak upするからである
このグルコース取り込みの増加は非常に著しいものであり、臨床で癌を診断する際に使われる画像化技術の基盤となるほどである

一方で、癌細胞がどのようにしてグルコースから作られうるエネルギーや物質のほとんどを廃棄discardしうるのかという問題は、理解するのが困難な問題であり続けた
(それはまるで王室の毒見役royal poison testerが料理を一口だけかじるようである)

「癌細胞にはとても無駄が多いというのは、癌の研究において非常に困惑させる論題だった
それは道理に合わないように見えるseemingly paradoxicalからだ」
ワシントン大学セントルイス校の化学部で準教授associate professorのGary J. Patti, PhDは言う

PattiとAmanda (Ying-Jr) Chenたちは2016年9月12日にNature Chemical Biology誌のオンライン先行出版号advance online issueで、一見すると簡単な実験によってもたらされた驚くべき結果を記述する
元々は新しい方法論methodologyをテストするために企画されたundertakenはずだった彼らの研究は、癌の代謝についてのこれまでの考え方に対して意図せずunexpectedly疑いを投げかけるものとなった
彼らは乳酸を研究することにより、癌細胞がこれまで考えられていたのとは異なるやり方でエネルギーを作り出すことを示したのである
癌細胞は『廃棄物waste product』であるはずの乳酸をミトコンドリアに取り込む能力があり、そこでグルコースのエネルギーの残りを取り出すことが可能である

「乳酸について学部学生undergraduateの生化学のテキストで調べると、そこには『乳酸は廃棄物として排泄される』と書かれている」
Pattiは言う
「しかし我々の研究で、必ずしもそうではないことが示された
乳酸は生産的に使われうるのである」


ワールブルクのパズル
The Warburg puzzle

細胞が生きるために必要とするエネルギーのほとんどは細胞の発電所powerhouseと呼ばれるミトコンドリアで作られる
細胞質ではグルコースが持つエネルギーのわずか5パーセントが取り出されるに過ぎず、残りの95パーセントがミトコンドリアで取り出される

ミトコンドリアでエネルギーを作るためには酸素が必要であり、そのことはなぜ運動すると筋肉が疲労するのかを説明する
肺が酸素を供給するのよりも速く筋肉を速く動かすexert musclesと、グルコースからはわずか5パーセントしかエネルギーを取り出せないからである


ドイツの生理学者オットー・ワールブルクは1924年、癌細胞は酸素が存在してもグルコースを乳酸へ発酵fermentさせることを発見した

癌細胞は(表面的には)ミトコンドリアでのグルコースの代謝から細胞質でのグルコースの分解へと切り替わるshift
非常に悪性の癌細胞は、驚くべきことに通常よりも200倍も早く細胞質での代謝を実行する
この観察結果はワールブルク効果と呼ばれ、長い間癌の研究者たちを悩ませてきたpuzzle

なぜ急速に増殖し続ける細胞は、作り出すエネルギーが少ない代謝へと切り替わるのか?
それがどのような利点をもたらすのか?
この問題を解決すべく多くの努力が費やされてきたが、真に解決したとは言えない状況である

「文献で代謝の地図を見ると、たいていは乳酸が細胞の外に出ていくことを示す矢印しかない」
Pattiは言う
「それは一本の矢印に過ぎないが、しかしそれが大きな違いなのである」


行き止まりは行き止まりではない
A dead end that wasn't

バイアスのない方法で代謝を研究すべく、Pattiのラボは栄養素に同位体isotopeの標識labelで目印tagを付けて、栄養素が細胞によって代謝された時にそれがどうなるのかwhat become ofを追跡できるようにした

「我々がこの技術を開発した時、こう考えた
『よし、じゃあテストするためにまず何をしよう?』」
Pattiは言う
「そこで我々は、テストに適した『わかりきった』実験は乳酸だと決めた
乳酸はよく行き止まりdead endと呼ばれる
癌細胞にこの行き止まりの目印tagを与えて、(癌細胞の内部に)目印を付けたものが他に何も見られなくなることで、我々の技術がうまくいくことが実証されるだろうと期待した」

しかし彼らが実験を行うと、期待したようにはならないことがわかった
「我々は標識化されたシグナルlabeled signalsを大量に観察した」
彼女は言う
「癌細胞の中に存在する脂質のほとんど全てが目印のついた状態になっていたend up tagged
これはまったく予想もしなかったこので、そして興奮させるものだった」

細胞は乳酸から余分なエネルギーを取り出しただけでなく、乳酸の原子を使って癌細胞の増殖に必要となる他の重要な構築材料を作り出していたのである


「これは大きな変遷transitionだ」
Pattiは言う
「癌細胞は何かを無駄にしているのではなく、全く新しいクラスの分子を効率的に作っていると言われるようになるだろう」

この発見は非常に驚くべきstartlingものだったため、研究チームは乳酸が実際にはミトコンドリアによって使われるということを確認するために一連の実験を実施した
実験の結果、乳酸がミトコンドリアに取り込まれうることが確認されただけでなく、ミトコンドリア内部の酵素が乳酸を代謝してエネルギーと細胞の構築材料を作り出すことも実証された


ケーキを食べてもケーキがなくならない
Having your cake and eating it too

では、どうせanywayミトコンドリアへと輸送されるしかないのだとしたら、なぜ癌細胞は『グルコースから乳酸へと変換する努力』を無駄にするのだろう?

その答えはこうだ
細胞が細胞質でグルコースを代謝する時、その過程で電子が生まれる

細胞は電子をどこかに置いてputおかなければならない
さもなくば、厳密に調節された代謝反応は継続することが不可能になる

健康な細胞は電子をミトコンドリア内部に移動させるが、癌細胞は電子を作るのが早すぎるために保持しておくことができない
このことが癌細胞に電子を乳酸にくっつけて排出せざるを得ないようにさせるのであると、そう考えられるのである/or so it was thought

「我々が今回発見したのは予備手段work-aroundだと考えている」
Pattiは言う
癌細胞は乳酸に電子をくっつけるが、それは貴重な栄養素を無駄にしなければならないということを意味しない

「ケーキを食べたらケーキはなくなる/you can't have your cake and eat it too
しかし今回の場合、ケーキを食べてもケーキはなくならないのである/it's a case of having your cake and eating it too」


http://dx.doi.org/10.1038/nchembio.2172
Lactate metabolism is associated with mammalian mitochondria.
乳酸の代謝は哺乳類のミトコンドリアと関連する

Abstract
グルコースの発酵後に分泌された乳酸が他の細胞や組織によって酸化されたり、糖新生の基質として利用可能なのは十分確立されている
しかしながら、発酵する細胞の内部それ自体では乳酸がNAD+を補充するために作られて後に外へと分泌されると一般に憶測されている
今回我々は、発酵から生じた細胞質の乳酸が哺乳類の細胞それ自体のミトコンドリアによって代謝される可能性を探求した
その結果、発酵を行うHeLa細胞とH460細胞はその脂質の大部分large percentageを合成するために、外因性の乳酸の炭素を利用することを我々は発見した
高解像度の質量分析を用いることにより、豊富な乳酸からの13Cと2-2H標識labelの両方ともミトコンドリアに入ることを我々は発見した

乳酸脱水素酵素/lactate dehydrogenase (LDH) の阻害剤であるオキサミン酸oxamateは、乳酸中でインキュベートした単離ミトコンドリアの呼吸を低下させたが、ピルビン酸中でインキュベートした単離ミトコンドリアの呼吸は低下させなかった

※乳酸脱水素酵素: NADHを補酵素としてピルビン酸から乳酸を生成する反応を可逆的に触媒する酵素

加えて、透過型電子顕微鏡/transmission electron microscopy (TEM) では 乳酸脱水素酵素B(LDHB)がミトコンドリアに局在することが示された

合わせて考えると、我々の結果は 乳酸の代謝 と 発酵する哺乳類細胞のミトコンドリア との間のつながりを実証する



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http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/41d21c8ebda202f1c0bc582fec4aa5d6
細胞が増殖するためにはアスパラギン酸の合成と、それにより余った電子をミトコンドリアの呼吸で消費しなければならないが、
アスパラギン酸を補うかアスパラギン酸輸送体の過剰発現により細胞はミトコンドリアの電子伝達系がなくても増殖できるようになる



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参考サイト
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3545.html
>実は、がん細胞はブドウ糖しかエネルギー源として使えないことがわかっているのです。



参考サイト
http://blog.goo.ne.jp/kfukuda_ginzaclinic/e/726e3003fb519fcd2cb85f55e86226c9



<コメント>
乳酸からの矢印、細胞外に一本線ですね