Parkinson's disease protein plays vital 'marshalling' role in healthy brains
September 19, 2016
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/09/160919084606.htm
(α-シヌクレインは健康な脳では細胞内のトランスポーター同士をつなぎ、その流れを調節することによりシグナル伝達プロセスを制御するという役割を果たすことが研究で示唆された
この研究結果は、パーキンソン病でα-シヌクレインが機能しなくなったときに何がうまくいかなくなるのかについて重要な手がかりをもたらす
Credit: Alfonso De Simone)
※marshal「整理整頓する」「配列して結集させる」
ケンブリッジ大学の研究者たちは、パーキンソン病と密接に関連するα-シヌクレインというタンパク質が健康な脳内ではどのようにして働いているのかを立証した
このタンパク質が健康な被験者でどのようにして働くのかを示す今回の研究は、病気を発症した時に何が起きるのかについての重要な手がかりをもたらす
パーキンソン病は『タンパク質ミスフォールディング病/protein misfolding diseases』と呼ばれる疾患グループの一つであり、特定のタンパク質がねじれてdistorted機能しなくなるという特徴がある
そのようなタンパク質はやがて密集して糸threadのようにつながり、他の細胞にとっても有害となる
機能しなくなったα-シヌクレインは長い間パーキンソン病の特徴であると認識されてきたものの、その健康な脳内での役割はこれまで適切に理解されてこなかった
今回のケンブリッジ大学とインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究は、このタンパク質が『シナプス小胞/synaptic vesicle』という細胞内のトランスポーターの流れflowを調節することを示す
これは脳内のシグナルの効率的な伝達にとって根本的なプロセスである
重要なことに彼らはパーキンソン病と関連する変異を生じたα-シヌクレインについてもテストし、それが同じメカニズムに干渉することを明らかにした
それはシナプス小胞の流れを調節するというα-シヌクレインの能力を損ない、ニューロン間のシグナル伝達を弱めていた
今回の研究を支える主な実験を実施したのは、ケンブリッジの学寮の一つであるセント・ジョンズ・カレッジの化学博士課程学生/PhD student、Giuliana Fuscoである
彼女は言う
「α-シヌクレインがシナプス小胞の流れの調節でいくらかの役割を演じることは既に明らかだったが、
我々の研究はそのメカニズムを提案し、どのようにしてそれが為されるのかを正確に説明する」
「早発性early onsetで家族性のパーキンソン病と関連するタイプの変異を持つα-シヌクレインが、このプロセスに影響することを我々は示した
この変異を持つ人々でも実際にその機能は損なわれているのかもしれない」
研究者は今回の結果を現段階では慎重に扱うべきであると強調する
その理由は特にnot least because、パーキンソン病についてはまだ多くが不可解なままだからである
研究の主な執筆者lead authorsの一人であるインペリアル生命科学部のAlfonso De Simone博士は次のように言う
「結論まで一気に飛躍しないよう注意することが重要である
パーキンソン病の発症では非常に多くのことが起きており、その原因は複合的multipleでありうる
しかし、何が起きているのかの理解において我々は一歩前進した」
α-シヌクレインの正確な機能については多くの議論があり、その理由の一部はα-シヌクレインが脳内だけでなく赤血球にすら豊富だからである
このことは、それがかなり奇妙な『変身するタンパク質/metamorphic protein』であり、潜在的に様々な複数の役割を実行していることを意味する
脳内で起きるシグナル伝達を可能にするメカニズムを調節することを今回の研究で証明したことは、大きな進歩の象徴である
「もしマシンの一部を取り除くなら、その除去の結果がどうなりそうかを理解する前に、それが何をすることになっているのかwhat is supposed to doを知る必要がある」
De Simoneは言う
「我々もパーキンソン病で似たような状況になっている
つまり我々はα-シヌクレインが実際には何をするのかを知る必要があった
パーキンソン病への治療アプローチとしてそれを標的とするための、正しい戦略を確認するために」
今回の研究ではラボをベースとした実験を実施し、脳のシナプス小胞のモデルとなる合成した小胞をα-シヌクレインにさらした
そして核磁気共鳴顕微鏡/nuclear magnetic resonance spectroscopyを用いて、このタンパク質が小胞に関してin relation to the vesiclesどのようにして自己を構造化するorganised itself structurallyのかを検討した
この研究結果を確認するため、ラットの脳から得られたサンプル上でさらなるテストを実施した
シグナルが脳を通過するための基本的なプロセスとしては神経伝達物質neurotransmitterがある
それはシナプス小胞によって運ばれ、ニューロンとニューロンの間を接続しているシナプスを通過する
シグナルが伝えられる間、小胞はシナプスの表面へと動いて膜と融合し、シナプス間に神経伝達物質が放出される
その全ては数ミリ秒の出来事であるin a matter of milliseconds
研究者はα-シヌクレインがこのプロセスの間、小胞を結集させて整理整頓するmarshalling the vesicles際に絶対必要な要素として関与することを発見した
このタンパク質には膜と結合する能力を持つ領域が2つ存在し、それはつまり自らを小胞に接着させて、小胞の固定や解放が可能だということを意味する
小胞のいくつかを保持して取っておくhold backことによりα-シヌクレインは極めて重要な調節機能を実行し、一定の期間に通過する小胞が多すぎず、また少なすぎないようにする
Fuscoは言う
「α-シヌクレインは一種の見張りshepherdのような効果を発揮する
これはシナプスそれ自体から離れた場所で生じ、一回の伝達で使われるシナプス小胞の数をコントロールする」
今回の研究は、家族性の早発性パーキンソン病の症例の中には遺伝子の変異の結果としてα-シヌクレインが機能しないためにその整理整頓の役割が弱まっている場合があることを示唆している
例えば、パーキンソン病のトレードマークの一つは脳内の過剰なα-シヌクレインである
そのような状況下ではα-シヌクレインと小胞の接着が多くなりすぎて小胞の流れが制限され、効果的な神経伝達が妨げられるだろう
最後にDe Simoneはこう付け加えた
「現時点の我々には、これらの研究結果が広範囲に関与しているかもしれないとしか考えることはできない
それらの考えのいくつかをテストするためのさらなる研究が必要である
しかしながら、これはパーキンソン病の研究における多くの生化学的なデータを実際に説明するように思われるのだ」
http://dx.doi.org/10.1038/NCOMMS12563
Structural basis of synaptic vesicle assembly promoted by α-synuclein.
Figure 3: Vesicle assembly induced by αS.
(a)
下の小胞 - N末端(赤)- リンカー(26-59,灰色)- α-ヘリックス(65-97,シアンブルー)- C末端(ピンク,98-140)- 上の小胞
Discussion
α-シヌクレインの生理的な活性は様々な脂質膜と結合するその能力と関連することが広く認識されている (48
今回の分析ではα-シヌクレインの2つの重要な領域、つまりN末端にある膜へのアンカーになる領域(アミノ酸残基1から25)と 中央にあるセグメント配列(残基65から97。ここはいわゆるNAC領域と著しく重複する)が独立した膜結合能を持ち、
したがって単一のシナプス小胞(SV)と相互作用することが可能なだけでなく、二つ同時に異なる小胞に結合することを可能にし (Fig. 3a)、それにより相互作用と組み立てを促進することが明らかになった
それはin vitroとin vivoで示された通りである (14, 15, 16
この結果として生じる『ダブル・アンカー・メカニズム』は、なぜα-シヌクレインのNAC領域内にあるセグメントの71から82残基を消去するかまたはN末端アンカー領域の膜への親和性を損なうと小胞のクラスター化に強く影響するのかについて説明する
(これはin vivoでSaccharomyces cerevisiaeの実験で示されている(16
関連記事
https://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140929174413.htm
α-シヌクレインは通常の濃度ではマルチマーmultimerとなってシナプスに集まり、シナプス小胞のクラスター化を促進し、その動きを制限している
シナプス小胞をシナプスでクラスター化することにより、α-シヌクレインは神経伝達を根本的fundamentallyに制限する
それは信号に似ていなくもない--自動車を交差点に集めて交通の流れを遅くし、全体の流れを調節する
「通常の濃度でα-シヌクレインは神経伝達を阻害せずむしろ管理しているが、
疾患ではそのレベルが異常に上昇することにより神経伝達が強く抑制されてシナプス毒性につながる」
http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2014.08.027
α-Synuclein Multimers Cluster Synaptic Vesicles and Attenuate Recycling.
関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/4489cc5b1e62d53015ae6308cff85370
健康な細胞内のα-シヌクレインは構造化されていない状態だった
September 19, 2016
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/09/160919084606.htm
(α-シヌクレインは健康な脳では細胞内のトランスポーター同士をつなぎ、その流れを調節することによりシグナル伝達プロセスを制御するという役割を果たすことが研究で示唆された
この研究結果は、パーキンソン病でα-シヌクレインが機能しなくなったときに何がうまくいかなくなるのかについて重要な手がかりをもたらす
Credit: Alfonso De Simone)
※marshal「整理整頓する」「配列して結集させる」
ケンブリッジ大学の研究者たちは、パーキンソン病と密接に関連するα-シヌクレインというタンパク質が健康な脳内ではどのようにして働いているのかを立証した
このタンパク質が健康な被験者でどのようにして働くのかを示す今回の研究は、病気を発症した時に何が起きるのかについての重要な手がかりをもたらす
パーキンソン病は『タンパク質ミスフォールディング病/protein misfolding diseases』と呼ばれる疾患グループの一つであり、特定のタンパク質がねじれてdistorted機能しなくなるという特徴がある
そのようなタンパク質はやがて密集して糸threadのようにつながり、他の細胞にとっても有害となる
機能しなくなったα-シヌクレインは長い間パーキンソン病の特徴であると認識されてきたものの、その健康な脳内での役割はこれまで適切に理解されてこなかった
今回のケンブリッジ大学とインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究は、このタンパク質が『シナプス小胞/synaptic vesicle』という細胞内のトランスポーターの流れflowを調節することを示す
これは脳内のシグナルの効率的な伝達にとって根本的なプロセスである
重要なことに彼らはパーキンソン病と関連する変異を生じたα-シヌクレインについてもテストし、それが同じメカニズムに干渉することを明らかにした
それはシナプス小胞の流れを調節するというα-シヌクレインの能力を損ない、ニューロン間のシグナル伝達を弱めていた
今回の研究を支える主な実験を実施したのは、ケンブリッジの学寮の一つであるセント・ジョンズ・カレッジの化学博士課程学生/PhD student、Giuliana Fuscoである
彼女は言う
「α-シヌクレインがシナプス小胞の流れの調節でいくらかの役割を演じることは既に明らかだったが、
我々の研究はそのメカニズムを提案し、どのようにしてそれが為されるのかを正確に説明する」
「早発性early onsetで家族性のパーキンソン病と関連するタイプの変異を持つα-シヌクレインが、このプロセスに影響することを我々は示した
この変異を持つ人々でも実際にその機能は損なわれているのかもしれない」
研究者は今回の結果を現段階では慎重に扱うべきであると強調する
その理由は特にnot least because、パーキンソン病についてはまだ多くが不可解なままだからである
研究の主な執筆者lead authorsの一人であるインペリアル生命科学部のAlfonso De Simone博士は次のように言う
「結論まで一気に飛躍しないよう注意することが重要である
パーキンソン病の発症では非常に多くのことが起きており、その原因は複合的multipleでありうる
しかし、何が起きているのかの理解において我々は一歩前進した」
α-シヌクレインの正確な機能については多くの議論があり、その理由の一部はα-シヌクレインが脳内だけでなく赤血球にすら豊富だからである
このことは、それがかなり奇妙な『変身するタンパク質/metamorphic protein』であり、潜在的に様々な複数の役割を実行していることを意味する
脳内で起きるシグナル伝達を可能にするメカニズムを調節することを今回の研究で証明したことは、大きな進歩の象徴である
「もしマシンの一部を取り除くなら、その除去の結果がどうなりそうかを理解する前に、それが何をすることになっているのかwhat is supposed to doを知る必要がある」
De Simoneは言う
「我々もパーキンソン病で似たような状況になっている
つまり我々はα-シヌクレインが実際には何をするのかを知る必要があった
パーキンソン病への治療アプローチとしてそれを標的とするための、正しい戦略を確認するために」
今回の研究ではラボをベースとした実験を実施し、脳のシナプス小胞のモデルとなる合成した小胞をα-シヌクレインにさらした
そして核磁気共鳴顕微鏡/nuclear magnetic resonance spectroscopyを用いて、このタンパク質が小胞に関してin relation to the vesiclesどのようにして自己を構造化するorganised itself structurallyのかを検討した
この研究結果を確認するため、ラットの脳から得られたサンプル上でさらなるテストを実施した
シグナルが脳を通過するための基本的なプロセスとしては神経伝達物質neurotransmitterがある
それはシナプス小胞によって運ばれ、ニューロンとニューロンの間を接続しているシナプスを通過する
シグナルが伝えられる間、小胞はシナプスの表面へと動いて膜と融合し、シナプス間に神経伝達物質が放出される
その全ては数ミリ秒の出来事であるin a matter of milliseconds
研究者はα-シヌクレインがこのプロセスの間、小胞を結集させて整理整頓するmarshalling the vesicles際に絶対必要な要素として関与することを発見した
このタンパク質には膜と結合する能力を持つ領域が2つ存在し、それはつまり自らを小胞に接着させて、小胞の固定や解放が可能だということを意味する
小胞のいくつかを保持して取っておくhold backことによりα-シヌクレインは極めて重要な調節機能を実行し、一定の期間に通過する小胞が多すぎず、また少なすぎないようにする
Fuscoは言う
「α-シヌクレインは一種の見張りshepherdのような効果を発揮する
これはシナプスそれ自体から離れた場所で生じ、一回の伝達で使われるシナプス小胞の数をコントロールする」
今回の研究は、家族性の早発性パーキンソン病の症例の中には遺伝子の変異の結果としてα-シヌクレインが機能しないためにその整理整頓の役割が弱まっている場合があることを示唆している
例えば、パーキンソン病のトレードマークの一つは脳内の過剰なα-シヌクレインである
そのような状況下ではα-シヌクレインと小胞の接着が多くなりすぎて小胞の流れが制限され、効果的な神経伝達が妨げられるだろう
最後にDe Simoneはこう付け加えた
「現時点の我々には、これらの研究結果が広範囲に関与しているかもしれないとしか考えることはできない
それらの考えのいくつかをテストするためのさらなる研究が必要である
しかしながら、これはパーキンソン病の研究における多くの生化学的なデータを実際に説明するように思われるのだ」
http://dx.doi.org/10.1038/NCOMMS12563
Structural basis of synaptic vesicle assembly promoted by α-synuclein.
Figure 3: Vesicle assembly induced by αS.
(a)
下の小胞 - N末端(赤)- リンカー(26-59,灰色)- α-ヘリックス(65-97,シアンブルー)- C末端(ピンク,98-140)- 上の小胞
Discussion
α-シヌクレインの生理的な活性は様々な脂質膜と結合するその能力と関連することが広く認識されている (48
今回の分析ではα-シヌクレインの2つの重要な領域、つまりN末端にある膜へのアンカーになる領域(アミノ酸残基1から25)と 中央にあるセグメント配列(残基65から97。ここはいわゆるNAC領域と著しく重複する)が独立した膜結合能を持ち、
したがって単一のシナプス小胞(SV)と相互作用することが可能なだけでなく、二つ同時に異なる小胞に結合することを可能にし (Fig. 3a)、それにより相互作用と組み立てを促進することが明らかになった
それはin vitroとin vivoで示された通りである (14, 15, 16
この結果として生じる『ダブル・アンカー・メカニズム』は、なぜα-シヌクレインのNAC領域内にあるセグメントの71から82残基を消去するかまたはN末端アンカー領域の膜への親和性を損なうと小胞のクラスター化に強く影響するのかについて説明する
(これはin vivoでSaccharomyces cerevisiaeの実験で示されている(16
関連記事
https://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140929174413.htm
α-シヌクレインは通常の濃度ではマルチマーmultimerとなってシナプスに集まり、シナプス小胞のクラスター化を促進し、その動きを制限している
シナプス小胞をシナプスでクラスター化することにより、α-シヌクレインは神経伝達を根本的fundamentallyに制限する
それは信号に似ていなくもない--自動車を交差点に集めて交通の流れを遅くし、全体の流れを調節する
「通常の濃度でα-シヌクレインは神経伝達を阻害せずむしろ管理しているが、
疾患ではそのレベルが異常に上昇することにより神経伝達が強く抑制されてシナプス毒性につながる」
http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2014.08.027
α-Synuclein Multimers Cluster Synaptic Vesicles and Attenuate Recycling.
関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/4489cc5b1e62d53015ae6308cff85370
健康な細胞内のα-シヌクレインは構造化されていない状態だった