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興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

膵臓癌はグループで協力して転移する

2015-08-22 06:31:34 | 
Pancreas cancer spread from multiple types of wayward cells

August 12, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150812104322.htm


(腹膜表面の赤と黄の蛍光を発する複数色の細胞からなる転移は、異なる細胞グループの相互作用を通じて膵臓癌は転移することを明らかにする)

ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院の新しい研究によると、膵臓癌と関連する腫瘍細胞は一緒に働くことによりしばしば共同体/コミュニティcommunitiesのようにふるまい、他の臓器への腫瘍の転移と増殖を増大させるという
この癌細胞のグループは単一の癌細胞よりもうまく腫瘍の転移を促進する


癌のゲノム研究によると、ほとんどの腫瘍内には多くの異なるタイプの細胞が存在し、生理学的性質の違いにつながる独特の変化をそれぞれの細胞が持つことが示されている
腫瘍の細胞系統を使った以前の研究では、これらの異なる腫瘍細胞は互いに相互作用して、より悪性のタイプの癌を作り出すことが示唆された
しかし腫瘍細胞が相互作用して転移を促進するメカニズムは不明のままだった


以前の別の研究で、ペンシルベニア研究チームは原発腫瘍の細胞が独力よりもグループの方がうまく増殖して生き残ることを知った
ここから、研究者は癌の転移が主に単一の細胞からなのか、それとも異なるタイプの癌細胞の相互作用に由来する細胞クラスターからなのかを研究した

ペンシルベニアの研究者はマウスモデルを開発し、膵臓癌の異なる細胞が血流に入って遠隔臓器に転移するのを複数の蛍光タンパク質で標識をつけてtag追跡した

このマウスモデルでは、Krasとp53の変異から、異なる色で標識づけされたlabeled別々のindividual腫瘍細胞集団が形成される

ヒトと同様にこのマウスでは肝臓、肺、腹膜peritoneum、横隔膜diaphragmに転移が起きた
そして研究者は、この転移がしばしば少なくとも2つの異なる色の腫瘍細胞集団から形成されることを観察した

このマウスの血流を調べると、腫瘍細胞が異なる色の癌細胞から構成されるクラスターとして出現するoccurことがわかった


さらに、いったんこれらの複数色からなる細胞クラスターが二番目の箇所に到着すると、その後の増殖の正確exactな性質はその腫瘍細胞がその時存在する臓器に強く依存することが判明した
腹膜と横隔膜では複数の色のまま増殖したが、肺と肝臓では単一の色の集団だけ育つことができた
これはそれぞれの臓器の特異的な要素も転移の発展evolutionに影響することを示唆する


「もし癌細胞が転移の間協力しているなら、そのコミュニケーションの分子的な基盤は何なのか? そして我々はそれに打撃を与えることができるのか?」
Stangerは問う

今回の研究は癌の転移をより早期に検出するメカニズムとして腫瘍細胞クラスターを血液中で発見する重要性を強める


http://dx.doi.org/10.1158/2159-8290.CD-15-0120
Pancreatic Cancer Metastases Harbor Evidence of Polyclonality.
膵臓癌の転移はポリクローナル性のエビデンスを持つ


precursor lesions
 significant clonal heterogeneity

during pre-malignant progression
 diversity decreases

metastases
 polyclonally seeded by distinct tumor sub-clones



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150814075755.htm
The protein that keeps cells static is found to play a key role in cell movement

(発達中のショウジョウバエの胚。上/ E-カドヘリンは細胞を共に調和してcoordinated移動させる。下/ E-カドヘリンがない細胞はまとまりがなくなるdisorganized)

細胞を静止させるタンパク質は細胞の移動にも関与する

E-カドヘリンは細胞を静的な状態に保つと考えられてきたが、E-カドヘリンは不均一なheterogeneous細胞グループの動きを促進する
不均一な細胞グループでは様々な遺伝子が活性化している
分裂するものもいれば、ホルモンを分泌したり細胞膜と相互作用するものがいる


Casanovaによると、中間intermediaryレベルのE-カドヘリンはしばしば悪性腫瘍と関連するという
それはまさにprecisely、転移する能力がある細胞である
転移について研究するほど、個々の細胞ではなく細胞のグループから形成されるというより多くの証拠が現れる

E-カドヘリンは、非常に多様で不均一な細胞のグループが一緒に原発腫瘍から移動するよう促進する


http://dx.doi.org/10.1038/ncomm8998
A role for E-Cadherin in ensuring cohesive migration of a heterogeneous population of non-epithelial cells.
 


脳腫瘍の「ハイジャック」を止める

2015-08-22 06:01:08 | 
Target healthy cells to stop brain cancer 'hijack'

August 12, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150812103652.htm

ブリティッシュコロンビア大学の新しい研究は、神経膠腫を御するreinための別ルートを明らかにした

神経膠腫gliomaは、星状膠細胞astrocyteと交際するmingle with
星状膠細胞は環境を調節して脳が機能するために好ましい状態を作る細胞である

新しい研究によると、神経膠腫細胞は星状膠細胞をマイクロRNAにより再プログラムして、マスタースイッチとして特定の遺伝子セットをオンまたはオフにする
それにより環境を変化させて腫瘍の増殖と浸潤を刺激する

「我々は腫瘍周辺の星状膠細胞を一時的に調整して癌細胞がそれらを乗っ取ることができないようにする治療開発の可能性を考慮すべきである」



http://dx.doi.org/10.1038/onc.2015.210
Astrocytes promote glioma invasion via the gap junction protein connexin43.
星状膠細胞はギャップジャンクションタンパク質Cx43により神経膠腫の浸潤を促進する

Cx43をshRNAで干渉すると神経膠腫の浸潤が低下したが、
Cx43のチャネル機能を阻害しても効果はなかった


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25978028
Gap junctions modulate glioma invasion by direct transfer of microRNA.
ギャップジャンクションはマイクロRNAの直接伝達により神経膠腫の浸潤を促進する

miR-5096は、ギャップジャンクションを通じて、神経膠腫gliomaから星状膠細胞astrocyteへと移される
これは浸潤を促進する一因である


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25926558
Reduction in gap junction intercellular communication promotes glioma migration.
ギャップジャンクションによる細胞間コミュニケーションの低下は神経膠腫の移動を促進する


Figure 13.
Cx43が発現している→集団的移動collective migrationを促進する
Cx43の発現が低下する→神経膠腫は個別に移動する



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150727130818.htm
In lab tests, new therapy slows spread of deadly brain tumor cells

コネキシン46/connexin 46は、ギャップ結合の一部
癌幹細胞CSCsでギャップ結合を止めると、腫瘍形成能力が減少した

ギャップ結合gap junction阻害剤の1-octanolと、化学療法のテモゾロミドtemozolomideを組み合わせると、マウスで腫瘍の増殖は遅くなった

阻害されたマウスは100日たっても全て生きていたが、阻害されないマウスは2ヶ月で全て死んだ


http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2015.04.021
Differential Connexin Function Enhances Self-Renewal in Glioblastoma.


膠芽腫の癌幹細胞CSCsはコネキシン46/Cx46を発現するが、それ以外の膠芽腫はコネキシン43/Cx43を主に発現する
CSCsが分化する間にCx46は減少してCx43が増大する
Cx46を標的とすることでCSCの維持を抑制した


Cx46とCx43の違いは、
CSCの
 細胞間コミュニケーションの上昇
 休止状態の膜電位の低下
によって反映される


我々の研究は、ギャップ結合の発癌を促進する役割を明らかにする
そしてギャップ結合はコネキシンの発現に依存する
 

MPCは癌で機能しているか

2015-08-21 06:50:30 | 
Observing live energy production by malignant cells

Biosensor developed that detects an abnormal activity of cell 'fuel' carrier

August 6, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150806133050.htm

「我々は遺伝子を修飾することでミトコンドリアピルビン酸担体/Mitochondrial Pyruvate Carrier/MPCをバイオセンサーに変えて、蛍光シグナルを発してそれ自体の活性を示すことができるようにした」

「すべての腫瘍細胞系統でMPCの活性は非常に低かった。ミトコンドリアの燃料であるピルビン酸へのアクセスは担体carrierのレベルで既に阻害されている」


強制的に癌細胞にミトコンドリアを使わせるためには、MPCが機能しているかどうかを調べる必要がある
研究者は癌細胞の細胞質にピルビン酸を増加させた

「それにより悪性細胞で正常なMPCの活性は回復した。このことは担体の異常ではなく『燃料の不足』がプロセスに影響していることを示す」
筆頭著者のVincent Companは説明する


http://dx.doi.org/10.1016/j.molcel.2015.06.035
Mitochondrial Pyruvate Carrier Activity in Real Time Using a BRET-Based Biosensor: Investigation of the Warburg Effect.

※BRET/ bioluminescence resonance energy transfer: 生物発光共鳴エネルギー移動法

Summary
MPC活性を調べる方法はこれまで限られていたが、担体の構成要素が分子的に明らかになったことにより遺伝子工学でバイオセンサーを組み込んでMPC活性をリアルタイムでモニターすることができるようになった
MPCの活性は癌細胞で低く、それが細胞質のピルビン酸濃度の増加により回復して酸化的リン酸化を増加させることを我々は示す



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/5495bb3a734b73e3b641d4d782426afc
>癌の少なくとも18種類(結腸、脳、乳、肝臓など)では、正常な細胞と比べて著しくMPCが少ない。いくつかの癌は単純にMPC遺伝子の内の1つを含むゲノムの領域を削除し、他はそれぞれMPC発現を低下させるような方法を見つける。実際、癌患者の生検による分析ではMPCの量が少ないほど悪性化することが示されている。
>今回の報告によれば、癌細胞はMPCを抑制することによってその「ドア」を閉めているという。MPCの再導入によってドアを実験的に開くと癌の成長は阻害され、ピルビン酸は正常な細胞で用いられる代謝経路に切り替わった。

miR-7は胃癌を抑制する

2015-08-19 06:57:01 | 
miR-7 suppresses stomach cancer

August 10, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150810091857.htm


(胃細胞の調節回路がピロリ菌による炎症で阻害されて胃癌につながる)

miR-7は胃癌を抑制するが、その保護的なメカニズムはピロリ菌によって阻害される

miR-7はしばしば胃癌で減少している

miR-7はIGF-1受容体を特に阻害することで転移を防ぐことができる


miR-7は、直接RELAとFOSを標的にする
RELAはNF-κB、FOSはAP-1に関与するタンパク質をそれぞれコードする
NF-κBとFOSはどちらも腫瘍形成を促進するpro-oncogenicシグナル伝達経路である

 miR-7─┤RELA→NF-κB

 miR-7─┤FOS→AP-1


ヒトの胃癌サンプルでは、miR-7レベルの低さはRELAとFOSタンパク質の上昇と関連し、患者の生存の悪化と関連した
マウスでは、miR-7レベルの増大はRELAとFOSレベルを低下させて腫瘍の増殖を阻害した

miR-7は、RELA-NF-κB経路の上流のキナーゼであるIKKεの活性も制御する

 miR-7─┤IKKε→RELA→NF-κB


NF-κB経路はそれ自体がmiR-7発現を抑制する
これはNF-κBが強く活性化されるとmiR-7はRELAの活性を抑制できないことを示す

ピロリ菌の慢性感染は胃癌の主なリスク要因だが、その理由の一部はピロリ菌がNF-κB経路を過剰に活性化するためである

 ピロリ菌→NF-κB経路↑↑─┤miR-7↓↓─┤NF-κB経路↓


http://dx.doi.org/10.1083/jcb.201501073
MicroRNA-7/NF-κB signaling regulatory feedback circuit regulates gastric carcinogenesis.
 


Let-7の抑制は結腸癌につながる

2015-08-19 06:42:25 | 
Powerful molecular promoter of colon cancers

Findings show how suppression of microRNA family of molecules leads to intestinal tumors

August 5, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150805144827.htm



今週のPLoS Geneticsで発表された研究は、
2013年のGenes and DevelopmentでのRustgiらによる研究を基にしている
その研究によると、腸の細胞でLIN28BはLet-7ファミリー分子を抑制することにより癌の増殖を促進するという

 LIN28B↑─┤Let-7↓─┤増殖↑


通常、LIN28BはLet-7分子を抑制して、胚幹細胞embryonic stem cellsを幹細胞様の状態stem-like stateに保つのを補助する
それはヒトや哺乳類だけでなく、進化的に遠い種でもそうである
Let-7分子が機能していると、細胞は幹細胞様の状態から移行して特定のタイプの細胞に成熟しやすくなり、そして無制限に増殖する能力はずっと低くなるwith much less capacity for uninhibited growth

 LIN28B─┤Let-7→成熟

この相互作用は正常な発達にとって重要だが、
LIN28BによるLet-7の抑制は多くの癌で異常を起こして、スイッチが入ってしまっている

今回の研究でRustgiのチームはLIN28B/Let-7相互作用の下流を調査し、どのようにLet-7が腸の細胞を癌化しないよう正常に保っているのかを確かめようとした


Let-7はタンパク質ではなくマイクロRNAである
Rustgiらは腸の内層intestinal liningにLet-7マイクロRNAが無いトランスジェニックマウスを作成した

その結果、典型的なヒトの結腸腫瘍と似た腺腫adenomas、腺腫様ポリープadenomatous polyps、腺癌adenocarcinomasが観察された
それらはLet-7がないマウスのすべての腸で成体中期mid-adulthoodまでに生じてsprouted死亡率が通常のマウスと比較して上昇した


腫瘍ならびに三次元培養した"tumoroid"を分析したところ、腫瘍の増殖の主な要因としてHmga2が示された

Hmga2は通常は胎児の成長が早い時期に産生され、その後はthereafter、Let-7 miRNAにより抑制される

 LIN28B─┤Let-7─┤Hmga2→増殖

Let-7が無いマウスの腸の内層、腫瘍、腫瘍様/tumoroidsではHmga2遺伝子が並外れてunusually高いレベルで発現していた
Hmga2への抗体を使うと、それは特に腸の内層を越えて転移を始めた腫瘍に多かった

 LIN28B─┤Let-7↓↓─┤Hmga2↑↑→増殖↑↑

実験的にHmga2の発現を抑制すると、Lin28b/Let-7抑制による腫瘍は著しく抑制された
腸上皮からの培養細胞でHmga2産生を低下させると細胞の増殖傾向は低下し、
Hmga2レベルの増加は増殖を加速した

 LIN28B─┤Let-7─┤Hmga2↓↓→増殖↓↓


http://dx.doi.org/10.1101/gad.224659.113
LIN28B promotes growth and tumorigenesis of the intestinal epithelium via Let-7.


http://dx.doi.org/10.1371/journal.pgen.1005408
Let-7 Represses Carcinogenesis and a Stem Cell Phenotype in the Intestine via Regulation of Hmga2

古典的Wnt経路 (Tcf4/β-catenin) の標的遺伝子Axin2, CD44, cMycが上方調節されている
 

ファンコーニ貧血とDNA修復経路

2015-08-18 05:48:41 | 
Mutations linked to genetic disorders shed light on a crucial DNA repair pathway

August 7, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150807220752.htm

DNA損傷の一つ、鎖間架橋interstrand crosslink/ICLについて

※DNA損傷には「鎖間架橋」の他に「二本鎖切断」「ミスマッチ」「シクロブタン型ピリミジンダイマー」などがある



細胞がどのようにして鎖間架橋を発見して修復するのかを調べるため、
ロックフェラー大学の研究者は修復プロセスに欠陥がある患者のゲノムを調べた


そうして発見された2つの新しい遺伝子のうち、Molecular Cellの8月6日号ではRAD51について報告する
RAD51とUBE2Tという2つの遺伝子の変異はまれな遺伝子疾患であるファンコーニ貧血を引き起こす

「我々は患者のサンプルと病歴を調べるところから始めた。その2人はファンコーニ貧血の症状はあるが、遺伝子の原因がわかっていなかった」
首席著者のAgata Smogorzewskaは言う
「研究により一人からはRAD51タンパク質に欠陥が見つかり、 もう一人からは同様にUBE2Tタンパク質に異常があった」

※ファンコーニ貧血は8つの亜群(A-H群)に分けられ、原因遺伝子としてA群(FANCA)、C群(FANCC)、G群(FANCG)、F群(FANCF)の4つが同定されている



RAD51とUBE2Tは鎖間架橋修復interstrand crosslink repairという修復プロセスに関わり、それにより二本鎖間の間違った位置での結合は修復される


鎖間架橋/ICLは、
 シスプラチンのような化学療法、
 アルデヒド、
 硝酸nitrateを食べた後に生じる亜硝酸nitrous acid
によって引き起こされる
ICLはDNAの複製を阻害し、細胞分裂時のゲノムの正確な複製が不可能になる

ICLの修復プロセスは非常に複雑でありsophisticated、多くの酵素を使ってDNA鎖間のつながりを切り離す
それにより細胞は増殖できるようになる

ゲノムは常にICL形成のリスクがあり、ICL修復経路の欠陥はファンコーニ貧血と関連する様々な症状a constellation of symptomsを生じる
それは例えば癌になりやすかったり、骨髄で血球を作る幹細胞の欠陥、不妊、成長不全などである


Smogorzewskaラボのpostdoctoral fellowである筆頭著者のAnderson Wangたちはファンコーニ貧血のような症状の少女のゲノムを配列決定し、RAD51をコードする遺伝子の2コピーの1つに変異を発見した
これは驚くべき「犯人」だった
RAD51はDNA修復プロセスの一つである相同組換えhomologous recombinationにおいて重要であることは既に知られていたが、相同組換えはICL修復の最後の段階(架橋crosslinkが切断された後)で使われると考えられていた
しかし、RAD51遺伝子の1コピーにのみ異常がある状態で少女の細胞はまだ相同組換えが可能だったが、ICL修復はできなかった


RAD51の1コピーの異常が症状の原因かを調べるため、研究者たちが彼女の細胞から異常を取り除いたところ、細胞はICLを修復する能力を回復した
共著者のカリフォルニア大学デイビスのStephen KowalczykowskiラボはRAD51が相同組換え以外での役割があると考えており、それは2つの酵素、DNA2とWRNを抑制することによるという
それらはICLでDNAを分解し、RAD51に異常があるとそれらは過剰に破壊的になる



Cell Reportsで7月7日に報告されたUBE2Tの研究では、
Smogorzewskaラボの筆頭著者Kimberly RickmanはUBE2Tの変異が別の患者の症状を説明できることを発見した
UBE2Tは既にICL修復の活性化に関与することが知られている
この発見によりUBE2TはICL修復経路で置き換えることのできないタンパク質であることが明らかになった


http://dx.doi.org/10.1016/j.molcel.2015.07.009
A Dominant Mutation in Human RAD51 Reveals Its Function in DNA Interstrand Crosslink Repair Independent of Homologous Recombination.


Highlights
・RAD51のT131P変異を発現する細胞はICL修復に失敗するが、相同組換えは問題なくできる

・RAD51のT131P変異はATPアーゼ活性の調節を狂わせて野生型RAD51を阻害する

Summary
RAD51/FANCR


http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2015.06.014
Deficiency of UBE2T, the E2 Ubiquitin Ligase Necessary for FANCD2 and FANCI Ubiquitination, Causes FA-T Subtype of Fanconi Anemia


ファンコーニ貧血は原因遺伝子として17の変異が知られている(FANCA-FANCS)

ユビキチン結合酵素E2であるUBE2Tが新しくFANCTとして加わる

UBE2TはE3ユビキチンリガーゼ複合体の構成要素であるFANCLと相互作用し、UBE2TはFANCD2とFANCIのモノユビキチン化に必須である


ほくろが少ないほどメラノーマは悪性

2015-08-17 06:45:04 | 
Fewer moles may mean more aggressive melanoma

August 20, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150820082139.htm

ほくろの数が50を上回る人は、メラノーマを発症するリスクが上昇する
しかし、ほくろが50未満の人もなおメラノーマに警戒するべきである

事実、American Academy of Dermatology's 2015 Summer Academy Meeting in New Yorkの新しい研究によると、
ほくろが少ない人ほど、より悪性のメラノーマと診断される可能性がある


両者の違いを調べるため、Harvard Medical SchoolのCaroline C. Kimたちは
メラノーマ患者281人のカルテthe charts of 281 melanoma patients who visited BIDMC in 2013 and 2014をreviewした

そのうち89人はほくろが50を上回り、残りの192人はほくろが50未満だった

Dr. Kimが考えていた通り、ほくろが少ないほどthickerでmore aggressiveなメラノーマだった
ほくろと非典型的ほくろatypical moles(メラノーマリスクである)が多いと、メラノーマは薄く悪性度はより低かった
さらに、50を上回るほくろのある人は、より若い年齢でメラノーマと診断される可能性が高かった


Dr. Kimはこの結果が複数の要因に起因attributableしうるという
Health care providersは50以上のほくろがある患者をメラノーマリスクがあると容易にreadily同定するかもしれず、
患者をそのリスクについて教育する
結果としてほくろの多い患者はregular skin examsのために皮膚科を訪れる可能性が高くなる


さらに、生物学的な違いが存在するとKim博士は言う
「メラノーマは全て遺伝的に同じではないことを我々は既に知っている」
「2つのグループではメラノーマを促進する異なる経路が存在する可能性があり、それが悪性度の異なる結果になる
もしほくろが少ないほど悪性度が高くなるなら、彼らを教育してスクリーニングするよう念を押すmake sure必要がある」


メラノーマの自己チェックテストABCDE
・非対称性Asymmetry: One half of the mole is unlike the other.
・境界Border: The mole's border is irregular, ホタテガイ状scalloped or poorly defined
・色Color: The color of the mole varies from one area to another.
・直径Diameter: The mole's diameter is larger than 6 mm (the size of a pencil eraser).
・変化Evolving: The mole's size, shape or color changes over time.

ABCDEに加えて
keep an eye out for any spots on your skin that 他と異なるように見えるappear different from the others, またはor anything changing, かゆみitching or 出血bleeding
も重要である
 


ほくろがメラノーマにならない理由

2015-08-17 06:06:42 | 
Scientists identify key genetic factor that keeps moles from turning into melanoma

Research also yields realistic new model of melanoma for testing therapies

August 5, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150805191736.htm

「BRAFの変異はほくろmolesの最初の増殖を刺激するが、腫瘍抑制タンパク質のp15も作るよう刺激する。これは強力なブレーキとして働いてそれ以上細胞が分裂しないようにする」
首席著者senior authorであるペンシルバニア大学皮膚科学科のTodd W. Ridky博士は言う

「ほくろからp15というブレーキがなくなると、細胞は再び分裂を始めて癌に成長することができる」


彼らは今回の研究のために、生体組織工学tissue engineeringを使ってp15を除去したヒトのほくろの細胞を含む皮膚を移植するという新しいメラノーマモデルを開発した
メラノーマの発症にとって重要であることが知られている他の変異と組み合わせてマウスに移植すると、p15を持たない細胞はメラノーマに進行した

「このモデルの組織は医学的に適切であるrelevant
なぜなら、生きた皮膚の三次元環境で自然に生じたヒトのほくろの細胞を使ったからである
それにより詳細な機能研究が可能になった
この分野ではこれまでこのような実験系がなかった」
筆頭著者でありRidkyのラボで研究専門医research specialistのAndrew McNealは言う


良性のほくろと正常なメラノサイトを比較すると、ほくろのメラノサイトはp15が140倍になっていた


以前良性のほくろだったものが元になったメラノーマから得られた細胞を比較すると、
ほくろの組織では全体的にp15レベルが高く、メラノーマではp15レベルは低いか検出できなかった


Ridkyのチームは、BRAFの過剰な活性化はほくろの増殖を促進するが、ほくろ細胞にTGF-βを分泌させることを示した
これはほくろ細胞にp15を作るようシグナルを返すsignals back

この発見は、興味深い事実への「考えられなくもない説明possible explanation」のヒントを与える
その事実とは、ほとんどのほくろは成長が止まるまで少なくとも直径数ミリまで到達しなければならないということだ
TGFBは十分なレベルまで作られなければならず、ほくろの細胞の集まりが小さいと細胞増殖を止めるほど十分なTGFB産生に至らない



見逃されてきた要素
An Overlooked Factor

p15の重要性は、これまで一般に正しく評価されてこなかったunderappreciatedとRidkyは言う
多くの研究者は、p15とは異なるが関連のある腫瘍抑制タンパク質p16が、ほくろの成長を阻害するという同じはたらきをしていると憶測していたassumed
p16は核のDNAで物理的にp15と近く、ほくろにも存在し、メラノーマや多くの癌で失われる
2つは通常は一緒に働いてほくろの細胞増殖にブレーキをかけるが、
Ridkyたちはp15が独特の機能を持つことを示唆するエビデンスを発見した
例えばp15を正常な細胞に挿入することは完全に細胞増殖を止めるのに十分だが、p16の挿入は増殖を遅くするだけだった

「p15は明らかにp16とは違うことをしているが、ほとんど見過ごされてきた」


http://dx.doi.org/10.1158/2159-8290.CD-15-0196
CDKN2B loss promotes progression from benign melanocytic nevus to melanoma.
 


メラノーマを致死的にするトリガー

2015-08-17 06:00:50 | 
Trigger of deadly melanoma discovered

Study pinpoints cause of melanoma transformation within the epidermis

August 3, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150803102952.htm

メラノーマがいったん浸潤を始めて血流に入り転移するようになると、強力な治療が必要になる
いつ、そしてどのようにして悪性の浸潤が起きるのかはこれまで謎だった


「メラノーマを理解するために、私は正常な肌の構造と機能について深く理解しなければならなかった。」
テルアビブ大学のLevy博士は言う

「メラノーマは上皮由来の癌であり、悪性化すると真皮へ浸潤して血流かリンパ管に入る。しかし真皮に浸潤する前のメラノーマは驚くべきことに上へ向かって広がり、スイッチが切り替わって浸潤するようになる。そこで、肌の微小環境にはメラノーマを浸潤させるようにするトリガーがあるに違いないという考えが私に浮かんだ」

研究者たちが正常な肌とメラノーマの肌を分析した結果、微小環境だけがメラノーマの浸潤を促進することを発見した
それは変異の獲得からは完全に独立していた

メラノーマが遠く離れた上皮の層と直接コンタクトすると、Notchシグナル伝達の活性化により浸潤が引き起こされることがわかった
Notchシグナルのリガンドがメラノーマと接触することで複数の遺伝子のスイッチが入り、メラノーマの変化を促進して浸潤させる


http://dx.doi.org/10.1016/j.molcel.2015.06.028
Interactions of Melanoma Cells with Distal Keratinocytes Trigger Metastasis via Notch Signaling Inhibition of MITF.


Highlights
・Notchリガンドがない微小環境では、MITFは(RBPJK依存的に)miR-222/221プロモーターを抑制している

・活性化したNotch細胞内ドメイン/NICDは、MITFのmiR-222/221プロモーターへの結合を阻害する

・miR-222/221の上方調節はメラノーマの浸潤を開始させる




関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/e1d70315a10ea3278dbd4ca84ea77481
メラノーマは進行するにつれてリゾホスファチジン酸(Lysophosphatidic acid; LPA)を分解し、LPAが枯渇するとすぐに移動を始める



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/04/150409102106.htm
メラノーマは様々なタイプから構成されていて、メラノーマを悪性化させて浸潤と転移を引き起こすのはその中の一部の集団の存在による
そのような細胞は抗癌剤への抵抗性も増大させるが、その集団は変異ではなくエピゲノムの変化によって生じる

http://dx.doi.org/10.1038/ncomms7683
増殖 SOX10/MITF
浸潤 AP-1/TEAD
Hippo経路のTEADは浸潤状態/表現型の調節因子である



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/04/150406152826.htm
メラノーマ上のCXCR3の発現は転移と相関する
メラノーマは栄養欠乏などのストレスによりCXCR3を上方調節し、移動を始める

http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0121140
内因性CXCR3の誘導はin vitroの環境ストレスまたは栄養欠乏の状態でBRAF野生型とBRAF V600Eの両方で起きる
内因性CXCR3シグナルはBRAF野生型においてIL-8発現につながった
CXCR3の異所的な過剰発現ectopic overexpressionは、
in vitroではリガンドにより仲介されるphERKの増大、細胞の移動、IL-8の発現につながり、
in vivoでは発癌tumorigenesisの増加と、リンパ節への転移につながる



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/d287b9a616a4bac3a810337ec4f5b1ac
V600E変異メラノーマはIL-1β、IL-6、IL-8、MMP-1の発現が高く、さらに周囲のストロマ線維芽細胞を活性化してSDF-1とその受容体のCXCR4を発現させる
 

細胞を癌化させる最も単純なタンパク質

2015-08-16 06:20:47 | 
New simple proteins play active role in cellular function

August 11, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150811140354.htm

ロイシン/Lとイソロイシン/Iだけから構成される26個の疎水性アミノ酸は、
PDGFβ受容体と相互作用して、細胞を形質転換させる

「我々は最も単純なタンパク質を作った
それは活性があるだけでなく特異的でもある
細胞でただ一つの標的を見つけて活性化し、結果として細胞の増殖が制御不能になる」
エールがんセンターの代表者であるDiMaioは言う

「このような単純さゆえに見過ごされてきた同様のタンパク質が他にも存在するのではないかと我々は思っている
そのうちいくつかはがんを引き起こす可能性がある
活性のあるタンパク質とは何なのかを考えなおす時かもしれない」


http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1514230112
Biologically active LIL proteins built with minimal chemical diversity.

メチオニンから始まりロイシンとイソロイシンからのみ構成される膜貫通ドメインのタンパク質は、
PDGFβ受容体/platelet-derived growth factor β-receptorの膜貫通ドメインと相互作用して活性化させ、形質変換/癌化させるtransform


p53が細胞質でアポトーシスを促進するようになるスイッチ

2015-08-15 06:32:40 | 
Newly identified mechanism of p53-induced cell death could aid cancer therapy

July 30, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150730121136.htm

p53は細胞の核で転写因子としてはたらき、特定の遺伝子の発現を制御することによりアポトーシスを調節することはよく知られている

p53は細胞質にも存在する
このp53はBAXを通じてはたらき、アポトーシスを引き起こすことがSt. Judeや他の研究者らにより示唆されている
しかしこれまでそのメカニズムは不明だった


p53は他の多くのタンパク質のように構造化されたstructured領域と、無秩序なdisordered領域の両方を持つ
その両方が細胞質でのBAX活性化に関わることを研究者は示した


このプロセスは、p53の構造化された領域(つまりDNA結合領域)が、BAXに結合するところから始まる
これは無秩序領域が二番目の結合を形成するための舞台作りをする
そして二番目の結合がBAXを活性化してアポトーシスを引き起こす

p53の無秩序領域disordered regionは、
一つの形を取ることなく、柔軟性を維持しremains flexible、
BAXのようなパートナーに出会うまでは常に異なる形に切り替わっているconstantly switches between different shapes


p53の無秩序な部分disordered segmentにはアミノ酸のプロリンが存在する
このプロリンは2つの形に切り替わることが可能だが、
それは特にPin1という酵素が存在する時である

NMR spectroscopyにより構造を分析することで、研究者は
プロリンの形の変化が、p53のBAXへの結合と活性化を促進することを示した


http://dx.doi.org/10.1016/j.molcel.2015.06.029
Pin1-Induced Proline Isomerization in Cytosolic p53 Mediates BAX Activation and Apoptosis.

p53の47番目のプロリン残基(プロリン47)で、シス-トランス異性化isomerizationが観察された

プロリルイソメラーゼのPin1は、p53のプロリン47のシス-トランスの相互変換を触媒することにより、p53依存的なBAX活性化を促進する



・BH3活性化剤
1. BH3はBAXのα1とα6に結合し、α9が解放される
2. α9の開放でα3-α5により溝grooveが形成され、そこへBH3が結合し、α6-α8の掛け金が外れるunlatch

・細胞質p53
1. プロリン47がシス状態のp53がBAXに結合する
2. プロリン47のシス-トランス切り替えswitchが、α6-α9の掛け金を外すunlatch

癌の転移に関係する2つの分子の新しい機能

2015-08-14 07:06:56 | 
New function of two molecules involved in metastasis

November 14, 2013

http://www.sciencedaily.com/releases/2013/11/131114122057.htm

上皮間葉転換/EMTには、転写因子SNAIL1と、酵素LOXL2が必要

LOXL2は核内にあり、癌の発症に関与することが以前の研究で示されている


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24239292
Regulation of heterochromatin transcription by Snail1/LOXL2 during epithelial-to-mesenchymal transition.


Highlights
・ヘテロクロマチンからの転写は微細にfinely調節されている

・Snail1とLOXL2は、ヒストンH3の酸化を通じてヘテロクロマチンの転写を抑制する

・ヘテロクロマチンの転写はEMTの間に調節される


Summary
ヘテロクロマチンは抑制的な性質repressive traitsが強いが、
活発に転写もされていて、大量のノンコーディングRNAを生じる
これらのRNAsはヘテロクロマチンを形成して維持する原因である


Snail1転写因子は、マウス染色体の動原体周辺pericentromericの転写を抑制し、
それはH3K4デアミナーゼdeaminaseのLOXL2を通じてである

※LOX: lysyl oxidase/リシルオキシダーゼ。コラーゲン中の特定のリシル基を酸化してアリシル基にする等の反応を触媒する


EMTが起きる時、
主要な「ヘテロクロマチン構造タンパク質structural heterochromatin proteins」であるHP1αは、Snail1/LOXL2に依存的に、一時的にヘテロクロマチンから解放releaseされる
それにはメジャーサテライトの転写の下方調節が伴うconcomitantly with a downregulation of major satellite transcription

メジャーサテライト転写の下方調節を妨害すると、
間葉系mesenchymal細胞の移動/浸潤的ふるまいは障害されたcompromised

Snail1はヘテロクロマチンの転写をLOXL2により調節し、そうしてEMTを完了するために好ましい転写状態を作ると我々は提案する



http://www.cell.com/action/showImagesData?pii=S1097-2765%2813%2900757-0

Figure 7
(C) Working model.
(C) 実用モデル

TGF-βが誘導するEMTでは、Snail1が急速に上方調節される
Snail1は動原体周辺pericentromericの領域に結合し、LOXL2をリクルートする
LOXL2はヒストンH3を酸化oxidizeし、メジャーサテライトmajor satelliteの転写を抑制する

結果として、HP1αはヘテロクロマチンheterochromatinから解放されreleased、
クロマチンの再編成reorganization、ならびに間葉系の特徴mesenchymal traitsの獲得を可能にする


このSnail1の作用は一時的transientである
24時間で、メジャーサテライトのレベルならびにヘテロクロマチンへのHP1α結合は回復した


※サテライトDNA
マウスのサテライトDNAには、メジャーサテライトとマイナーサテライトの2種類がある。マイナーサテライトの繰り返しはセントロメアを構成し、メジャーサテライトの繰り返しがセントロメア周辺領域(ぺリセントロメリック)を構成する

※ヘテロクロマチン/heterochromatin
染色体で間期においても凝縮した構造を維持している部分。自身や周辺の転写を抑制するが、今回の記事ではノンコーディングRNAが転写されるとある
 




腎臓病を回復する新しい治療アプローチの可能性

2015-08-14 06:13:10 | 
Potential new therapy approaches to reverse kidney damage identified

August 3, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150803111210.htm

テキサス大学のM.D.アンダーソンがんセンターで、がん生物学長のRaghu Kalluri博士は言う

「損傷した腎細胞は、それ以上の損傷を受けないように『上皮間葉転換/EMT』というプロセスを起こすことにより反応する
しかしこのプロセスでは、慢性的な傷の治癒である線維形成fibrosisが生じ、長期にわたって損傷long-term damageが生じる」


「腎臓の線維化では、EMTが尿細管上皮細胞tubular epithelial cells/TECsに強い影響を与える」

「EMTが起きると成人の腎細胞は胎児の細胞のようにふるまい、臓器が機能するように保つ重要な仕事をする能力を失う」


「2003年、我々はEMTが腎疾患と線維症の標的となりうることを実証した。今回の研究は、腎臓で慢性的に傷害が起きている間の尿細管上皮でEMTを阻害することが線維化に対する治療の代表となることを明らかにする」


Kalluriたちは、傷ついたinjured尿細管上皮TECsがTwist1とSnai1のような遺伝子を使ってEMTを誘導し、それが修復能力を制限することを発見した

胎児の成長に重要な遺伝子であるTwist1とSnai1をマウスで削除すると、TECの健康状態は回復した


http://dx.doi.org/10.1038/nm.3902
Epithelial-to-mesenchymal transition induces cell cycle arrest and parenchymal damage in renal fibrosis.
EMTは、細胞周期の停止を誘導し、腎臓の繊維化において実質損傷を引き起こす

線維化損傷が起きている間during fibrotic injuryのEMTプログラムの機能的結果は、
細胞周期のG2期での停止ならびにいくつかの溶質と溶媒の輸送体の発現低下である


Twist1 (encoding twist family bHLH transcription factor 1, known as Twist)

Snai1 (encoding snail family zinc finger 1, known as Snail)
のどちらかのトランスジェニックな発現は、
TGF-β1により誘導されるTECsのG2期での停止を延長を促進し、
細胞の修復と再生能力を制限するのに十分だった




関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/11/131114122057.htm
New function of two molecules involved in metastasis
「転写因子SNAIL1と酵素LOXL2は、EMTに必須である」


BPAへの曝露はどのように前立腺癌のリスクを上げるか

2015-08-12 06:42:25 | 
Prostate 'organoid' hints at how early BPA exposure may increase cancer risk

July 29, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150729155150.htm



ヒトの胚性幹細胞から育成した前立腺「オルガノイド」をビスフェノールA/bisphenol A/BPAに曝露させると、
特にnestsで、前立腺の幹細胞の過剰な産生を引き起こした

したがって、ビスフェノールAは前立腺癌のリスクを増加させる可能性がある

「発達中のオルガノイドに非常に低濃度のBPAを投与すると、大量の幹細胞が観察された。これはBPAが前立腺癌のリスクを増す根本的なメカニズムなのかもしれない」
イリノイ大学シカゴ校医学部の生理学教授であるGail Prinsは言う

Prinsによれば、正常な前立腺ではほんのわずかの幹細胞が散らばってdispersed存在するだけだが、どんな組織や臓器でも幹細胞が異常に多いと発癌のリスク要因になりうるという
幹細胞は滅多に分裂しないが、死ぬまで存在し続けて、あらゆる異常を繰り越して持っていくcarrying forward any abnormalities
理論上では、幹細胞が多いほど組織に癌化を引き起こしうる変異のリスクは大きくなる


今回の研究結果は、Prinsの以前の研究を裏づける
BPAは内分泌かく乱物質endocrine disrupterであり、エストロゲンを模倣する
発達中の前立腺が早くからBPAに曝露すると、幹細胞は「男性が年を取るとともに体内で自然に作られるようになるエストロゲン」に対して影響を受けやすくなる


http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0133238
Directed Differentiation of Human Embryonic Stem Cells into Prostate Organoids In Vitro and its Perturbation by Low-Dose Bisphenol A Exposure.



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/01/140107135759.htm
BPA increases risk of cancer in human prostate tissue, study shows

死亡したdeceased若い男性から得られた前立腺をオスのマウスに移植して、BPAを2週間与えた
それを1ヶ月成熟させた後に、エストロゲンを与えた
これは、老いた男性で自然に見られるエストロゲンの上昇を模したものだ
年を取ってエストロゲンが上がるのは前立腺癌のドライバの一つであることが知られている

2ヶ月から4ヶ月後に組織を採集したところ、BPA群は3分の1が前癌または前立腺癌で、オイルを与えたグループは12%だった
幹細胞を移植前にBPAに曝露させると45%が前癌または癌だった

Prinsは言う
「我々はBPAが実際に幹細胞を再プログラムし、一生涯throughout lifeエストロゲンの影響を受けやすくsensitiveすると考えている。その結果、生涯にわたってlife-long癌などの疾患への感受性を上昇させる」


3つのタンパク質の尿中レベル計測で膵臓癌を検出

2015-08-08 06:57:43 | 
Urine test for early stage pancreatic cancer possible after biomarker discovery

August 3, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150803083345.htm

イギリス、ロンドン大学クイーン・メアリーのバーツがん研究所による研究

LYVE-1, REG1A, TFF1を組み合わせることで
ステージI、ステージIIの膵管腺癌を90%の正確さで尿検査により検出できる


http://dx.doi.org/10.1158/1078-0432.CCR-14-2467
Identification of a Three-Biomarker Panel in Urine for Early Detection of Pancreatic Adenocarcinoma.

膵管腺癌
pancreatic ductal adenocarcinoma (PDAC)


LYVE-1
細胞膜に存在し、ヒアルロン酸(hyaluronic acid/ hyaluronan)と結合する。パラログとしてCD44が知られている


REG1A
膵臓外分泌によって分泌されるタンパク質をコードする。膵臓の細胞の再生などに関与


TFF1
本来は胃腸の粘膜の安定や粘膜上皮の修復に関わる



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http://www.sciencedaily.com/releases/2015/06/150624132431.htm
血液中のエクソームに存在するGPC1により膵臓癌をスクリーニング


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http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141028114718.htm
マイクロRNA(miR-10b, miR-155, miR-106b)により膵臓癌を検出


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http://www.sciencedaily.com/releases/2014/01/140121164754.htm
マイクロRNAの組み合わせで膵臓癌を検出