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興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

膵臓癌とストロマの新しいサブタイプ

2015-09-16 06:47:31 | 
Pancreatic cancer subtypes discovered in largest gene expression analysis of the disease to-date

September 8, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150908104016.htm

膵管腺癌pancreatic ductal adenocarcinomaの分類


2011年、カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部のEric A. Collisson, MDによる研究で膵臓癌のサブタイプが同定されたが、
研究者はこれらの試みが周囲の大量のストロマによって混乱confoundedさせられると考えている
ストロマは正常な膵臓組織でも膵臓癌でも大量に混ざっているintermixed

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21460848
"Subtypes of pancreatic ductal adenocarcinoma and their differing responses to therapy."


この問題を解決するため、ノースカロライナ大学ラインバーガーのRichard Moffitt, PhDは、
ブラインド信号源分離/blind source separationという数学的アプローチを用いて癌組織とストロマを分離しようとした

彼らは次に、5つの研究所の組織サンプルでそれぞれのタイプの遺伝子発現を調べた
145の原発腫瘍と61の転移腫瘍、17の細胞系統、46の正常な膵臓サンプル、88の正常な膵臓外の癌化していない組織を分析した

分析の結果、『正常normal』『活性化activated』という膵臓ストロマの2つのサブタイプが発見された
『活性化』したサブタイプのストロマを持つ患者は予後が悪かった

「我々の研究はストロマについての矛盾する発見、つまりストロマは腫瘍の転移を促進するのか、それとも阻止するのかについての理解を助ける」
Yehは言う

分析ではさらに、膵臓癌腫瘍の2つのサブタイプが明らかになった
一つは『基底細胞様basal-like』で、悪い予後と関連する
このサブタイプの患者が手術の1年後に生きている割合は45%だが、もう一つのサブタイプの『古典的classical』では70%が生存する
また、basal-like tumorsはadjuvant therapyへの反応がより良い傾向があった

「もし腫瘍が悪性であるとわかっていれば、ただ腫瘍を取り除こうとするのではなく、最初にネオアジュバント化学療法neoadjuvant therapyで治療するのが重要かもしれない」
Yehは言う

※ネオアジュバント化学療法: 手術や放射線後のような主治療の後に行われるアジュバント療法に対して、主治療前の化学療法を意味する

「さらに、基底細胞様サブタイプは乳癌や膀胱癌の基底細胞型と非常に似ていて、それらは他の腫瘍サブタイプとは反応が異なる
我々はこれが膵臓癌でも真であるかどうかに非常に興味がある」


http://dx.doi.org/10.1038/ng.3398
Virtual microdissection identifies distinct tumor- and stroma-specific subtypes of pancreatic ductal adenocarcinoma.
 

DNA編集が的を外れてリンパ腫が生じる

2015-09-13 06:49:26 | 
Blood cancers develop when immune cell DNA editing hits off-target spots

Team urges consideration of cutting-and-pasting errors when using enzymes for gene modification

September 10, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150910164235.htm

V(D)Jリコンビナーゼは、B細胞やT細胞のような免疫細胞の成熟の初期段階でのみはたらく

V(D)Jリコンビナーゼに関するDNA鎖の切断は、通常は、精密に調整された分子機構によって正確fidelityに修復されるが、
ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院のRothのラボによる以前の研究では、
V(D)Jリコンビナーゼ (RAG1とRAG2から構成される) は
他の不適切な修復メカニズムへのアクセスを妨げることによりDNAの切断を正確な修復経路の下に送ることが示された

この監視プロセスshepherding processは、Rag2タンパク質C末端サブユニットが取り除かれると機能しない
監視プロセスの機能不全により発達中の免疫細胞のゲノムは不安定になり、
p53のような腫瘍抑制タンパク質が機能していないと悪性のリンパ腫がマウスにおいて生じる

Rag2タンパク質が短いtruncatedこれらのマウスで胸腺のリンパ腫をゲノムワイドに分析したところ、多くの的外れoff-targetなDNA再編成が欠失を引き起こしていた
以前の研究では、異なる間違い、つまり染色体の転座chromosome translocationがこれらのマウスのリンパ腫発症の根底にある可能性が示唆されていたが、
全ゲノムシーケンシングによって欠失deletionsがこれらのマウスリンパ腫の主なドライバであることが明らかになった

この再編成は、いくつかの既知の癌遺伝子ならびに腫瘍抑制遺伝子に影響を与えていた
(Notch1, Pten, Ikzf1, Jak1, Phlda1, Trat1, Agpat9)


また、クロマチンchromatinのゲノムワイド分析では、
Rag2タンパク質C末端サブユニットと染色体修飾との間の正常な相互作用が、酵素によるDNA標的認識の正確性fidelityの維持を助けることが示唆される

遺伝子発現はクロマチンchromatin、つまりDNAときつく結合しているヒストンタンパク質のメチル化やアセチル化のようなエピジェネティックな化学修飾によって調節される
あるヒストンの修飾はDNAを開き、別の修飾はクロマチンを閉じる
そうしてavailabilityを形成してDNAからタンパク質を発現させる


さらに、今回の研究で示唆されたV(D)Jリコンビナーゼによって間違って生じる的外れの消去ががんを引き起こす影響は、
ゲノムの特定箇所を特異的に修飾するための酵素(TALENS、CRISPR、ジンクフィンガーヌクレアーゼのような)をデザインする際に考慮される必要があると研究者は言う


http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2015.08.034
Off-Target V(D)J Recombination Drives Lymphomagenesis and Is Escalated by Loss of the Rag2 C Terminus.


References
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24753404
RAG2 mutants alter DSB repair pathway choice in vivo and illuminate the nature of 'alternative NHEJ'.
Roth DB.

>DNA double-stranded breaks (DSBs) can be repaired by several mechanisms, including classical NHEJ (c-NHEJ) and a poorly defined, error-prone process termed alternative NHEJ (a-NHEJ). How cells choose between these alternatives to join physiologic DSBs remains unknown.
DNA二本鎖切断はいくつかのメカニズムによって修復されうる
それには古典的NHEJ/c-NHEJと、オルタナティブNHEJ/a-NHEJが含まれるが、細胞がどのようにしてこれら2つを選ぶのかは不明だった

>Here, we show that deletion of RAG2's C-terminus allows a-NHEJ to repair RAG-mediated DSBs in developing lymphocytes from both c-NHEJ-proficient and c-NHEJ-deficient mice, demonstrating that the V(D)J recombinase influences repair pathway choice in vivo.
今回我々は、c-NHEJが熟達した/c-NHEJが欠損したマウスの両方において、RAG2のC末端の欠失が、RAGを介した二本鎖切断を、オルタナティブNHEJに修復させることを示す
このことはV(D)Jリコンビナーゼが修復経路の選択にin vivoで影響することを実証する



関連サイト
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26234156
RAG Represents a Widespread Threat to the Lymphocyte Genome.




関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/1524a2901f5928ca17d0ccf185865a87
B細胞が急速に増殖するにつれてAIDの発現も増大するが、AIDは的外れoff-targetの損傷を引き起こして癌を引き起こす遺伝子をごちゃまぜにする



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/04/150420154925.htm
Hsp90はAID/activation-induced deaminaseを安定化させる
Hsp90が存在するとAIDは増加し、Hsp90が存在しないとAIDは減少する
AIDが多すぎると発癌性がある
eEF1aは、AIDが核に入らないように止める
 

変異したp53は癌の増殖を促進する

2015-09-12 06:19:08 | 
Mutated p53 tumor suppressor protein uses epigenetics to drive aggressive cancer growth

September 2, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150902134929.htm

p53の機能獲得変異体/GOFは、重要なエピジェネティック酵素であるMLL1, MLL2, MOZに直接結合する

通常、MLL1はヒストンにメチル基を付け加えて、転写と細胞の増殖を促進する
ペンシルベニア大学の研究者は、変異したp53タンパク質がMLL1経路を利用tap intoしてゲノム全体のメチル化を変化させ、細胞の増殖を制御不能にすることを明らかにした
今回の発見はGOF変異p53がエピジェネティックな要素を直接調節するという初めての証拠となる


http://dx.doi.org/10.1038/nature15251
Gain-of-function p53 mutants co-opt chromatin pathways to drive cancer growth.

Abstract
p53をコードするTP53遺伝子は、ヒトの癌で最も頻繁に変異する遺伝子である
一般的なp53ミスセンス変異は、その腫瘍抑制機能を阻害して『機能を獲得gain-of-function/GOF』させて癌を促進する

今回我々は、p53のGOF変異体は染色体を調節する遺伝子chromatin regulatory genesの
 methyltransferases MLL1 (also known as KMT2A)、MLL2 (also known as KMT2D)
 acetyltransferase MOZ (also known as KAT6A or MYST3)
に結合して上方調節することを報告する
その結果、ゲノムワイドにヒストンメチル化とアセチル化が増加する

TCGAの分析では、p53 GOFの患者由来の腫瘍においてMLL1, MLL2, MOZの特定の上方調節が示されたが、
p53野生型/p53 nullの腫瘍では見られなかった


MLL1の遺伝子ノックダウンまたは薬理学的なMLL1 methyltransferase複合体の阻害により、癌細胞の増殖は著しく低下した



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/54d48391924d6eb528dd139546a5f981
>染色体を調節する遺伝子のMLL1、MLL2、MLL3、ARID1Aに変異があると予後が良い
 

メラノーマの4%は変異が通常の4倍

2015-09-12 06:13:14 | 
Rare melanoma carries unprecedented burden of mutations

September 7, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150907101450.htm

「我々のラボの研究は、メラノーマは一つではなく多くの異なるタイプがあることを示してきた」
UCSFで癌研究のGerson and Barbara Bass Bakar Distinguished Professorである首席著者Boris Bastian博士は言う

「我々は既にそれらの遺伝子プロファイルを発見し、グループに分類してそれぞれ個別に研究することが可能になっている
しかし、線維形成性黒色腫/desmoplastic melanoma/DMはこれまで手付かずのまま残されていた」


ダークブラウンに変色discolorationしていて急速に増殖する多くのメラノーマとは異なり、DMには色がなくunpigmented増殖も遅い
時々ちくちく痛むのを伴うきずあとのようなでっぱりbumpsという通常のメラノーマとは違う外観のために発見が遅れるか誤診され、肺に直接転移しやすい傾向があるため致死的になりうる


DMはメラノーマの4%を占めるが、
これまで十分な数の生検試料が得られなかったこともあって、遺伝子的な基礎は知られていない
少数の標本を基にした以前の研究では一般的なメラノーマと関連する変異を探したが成果はなかった

今回の研究でカリフォルニア大学サンディエゴ校、ニューヨークメモリアルスローンケタリングがんセンター、オーストラリアメラノーマ研究所から62人のDMサンプルを次世代シーケンサーにより配列決定したところ、
その非典型的な臨床的徴候atypical clinical presentationと同じく、DNAも非常に風変わりoddballであるようだ

サンプルからは他のメラノーマで見られる一般的な変異は検出されず、代わりに、他の癌としばしば関連する経路での変異が同定された
そして、その変異に対する標的治療は既にいくつか存在する


他のニつの発見は、どのようにしてDMが発症するのか、そしてどのようにして治療するのかについて興味深い説明を示唆する

一つ目の発見は、DM腫瘍が驚くほど多くの変異を持つということだった
ほとんどの充実性腫瘍solid tumorsは100万塩基対ごとに約2つの変異を持ち、一般的なメラノーマは約15の変異を持つ
しかしDM腫瘍は100万塩基対ごとに約62の変異を持つことが今回の研究でわかった

「我々がこれまで見てきた未治療でDNA修復系の異常がない腫瘍では、最も変異が多いものだった」
UCSFのHelen Diller Family Comprehensive Cancer Centerの一員であるBastianは言う


二つ目の重要な発見は、DM腫瘍で最も広く見られる変異の一つだった
それはNFKBIE遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の変異であり、これまでどんな癌細胞で見られなかったものだ
NFKBIEは免疫応答の抑制に重要な役割を演じる遺伝子である

※NFKBIE: NF-Kappa-B Inhibitor Epsilon

「この遺伝子が癌で現れたpop upのは今回が初めてだ」
Bastianは言う

「しかも、既知の変異は、タンパク質をコードするエキソン内ではなくゲノムの調節領域という『ダークマター』に存在することはめったにない
このような調節性の変異は最も包括的なゲノム分析を除いては日常的に見逃されている」


変異の多い癌は制御を失って増殖する前に循環免疫細胞によって迅速に検出されて破壊されると多くの研究者は考えている
しかし、NFKBIEプロモーターの変異は、他の多くの変異が蓄積するのに十分なだけ長く免疫監視網のレーダーをかいくぐることを可能にする
それが最終的に細胞を癌の状態へと駆り立てるのだとBastianは推測している


このDM増殖メカニズムはまだ証明されてはいないものの、
免疫チェックポイント阻害療法がDMに対して特に有効なファーストラインになりうることを示唆する

Bastianは言う
「変異を多く持つ他のメラノーマは免疫チェックポイント阻害療法に感受性が高い傾向がある
『成功』した腫瘍はどうにかして免疫応答を抑圧するが、
この技術によりその制に干渉して免疫系を解放し、腫瘍をほとんど完全に縮小させることができるだろう」


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26343386
Exome sequencing of desmoplastic melanoma identifies recurrent NFKBIE promoter mutations and diverse activating mutations in the MAPK pathway.

>Newly identified alterations included recurrent promoter mutations of NFKBIE, encoding NF-κB inhibitor ɛ (IκBɛ), in 14.5% of samples.

14.5%にNFKBIEプロモーター変異

>Common oncogenic mutations in melanomas, in particular in BRAF (encoding p.Val600Glu) and NRAS (encoding p.Gln61Lys or p.Gln61Arg), were absent.

BRAF V600Eのような変異は見られなかった

>Instead, other genetic alterations known to activate the MAPK and PI3K signaling cascades were identified in 73% of samples,

代わりに、MAPKならびにPI3Kシグナル伝達カスケードを活性化させることが知られている変化が73%で確認された

>affecting NF1, CBL, ERBB2, MAP2K1, MAP3K1, BRAF, EGFR, PTPN11, MET, RAC1, SOS2, NRAS and PIK3CA, some of which are candidates for targeted therapies.


乳癌幹細胞は正常な幹細胞からは生じない

2015-09-07 06:02:04 | 
Variations in cell programs control cancer and normal stem cells

September 3, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150903121944.htm

(乳腺を再構成する際に乳腺幹細胞と乳癌幹細胞が利用する『上皮間葉転換(EMT)を誘導する転写因子』は異なっていて、
しかも両者は異なる細胞状態で存在する
正常な乳腺幹細胞は、幹細胞性stemnessを維持するためにSlugというEMT誘導転写因子に依存し、細胞の状態は上皮細胞でもあり間葉系細胞でもある
対照的に乳癌幹細胞は、原腸形成gastrulationのEMT誘導転写因子であるSnailを発現し、ずっと間葉系に近い状態である)


ホワイトヘッド研究所によると、乳癌幹細胞と正常な幹細胞は異なるタイプの細胞から生じる
それらが利用するtap into幹細胞プログラムは、異なってはいるが関連するものであるという


腫瘍の源となる細胞tumor-initiating cellsは、転移の種を体中にまいて再発を引き起こす
この源の細胞が、幹細胞、特に癌幹細胞と言われるものであるかどうかが議論されてきた
この疑問は純粋に意味論である
つまり、それら細胞のアイデンティティと細胞内部の活動についての科学者の理解を表している

「我々の研究は、正常な幹細胞プログラムと癌幹細胞プログラムとの間の関係を初めて確定した
乳腺の状況に限ってではあるが」
ホワイトヘッド研究所の設立関係者Founding MemberであるRobert Weinbergは言う

「少なくとも乳腺においてはこの関係は十分確実なものであり、乳腺は他の上皮組織にとって非常に良いモデルであると思われる
腫瘍の源となる細胞は実際に癌幹細胞であるが、癌幹細胞は正常な幹細胞からは生じない」
Weinbergラボの発見はNatureで発表される


ラボの以前の研究で、
 癌幹細胞は上皮間葉転換/EMTを経た後に現れるものであり、
 EMTは新しい腫瘍の種をまくために必要な運動性motilityと柔軟性flexibilityを細胞に与える
ことが証明されている
さらに、EMTは細胞に通常の化学療法に抵抗する能力をもたらす


筆頭著者のXin Yeはマウスモデルを使って、正常な乳腺と癌の乳腺の中でどの細胞が、
互いに関連するマスター調節因子のSnailとSlugを発現するのかを示した
どちらも幹細胞の性質を乳腺細胞にもたらすが、
Slugは、その(乳腺の)部分に関しては、悪性度の高い癌と関連する間葉系細胞的な性質を特に強力に誘導する


Yeは、乳腺組織の異なる層で異なるタイプの細胞が発現し、これらのマスター調節因子によって影響されることを確定した

Slugは乳房組織において乳腺の再構築活性を調節するが、
Slugは乳管mammary ductの基底層basal layerで見られる正常な幹細胞において高レベルで発現している

Snailはショウジョウバエの胚発達の状況で初めて発見された因子である
Snailは乳管の管腔層luminal layerの腫瘍の源となる細胞で発現されている
Snailは悪性の性質を癌細胞に与えるが、
Slugは正常な発現レベルの時はそのようなことはできない


「Snailが陽性の癌幹細胞は、正常な幹細胞を内部に持つ細胞とは異なる細胞集団において生じる」
Weinbergは言う
彼はMITの生物学の教授であり、MIT/ルートヴィヒ分子腫瘍学センターのディレクターでもある

「正常な幹細胞は乳管の層の一つに存在するが、癌幹細胞は別の層から生じる
それが意味するのは、癌幹細胞は正常な幹細胞から生じるのではないということだ
これはずっと論議の焦点だったが、我々はついに証拠を得たのだ!」


この癌幹細胞の源についての根本的な洞察insight、そして正常な幹細胞と癌のそれとの間の違いは、新たな癌の治療へとつながる可能性がある

「正常な状態と癌の状態では多くの事柄が異なって調節されることを我々は認識し始めている」
Yeは言う

「癌幹細胞と正常な幹細胞である必要すらまったくない
実際、癌と正常では本当に異なっている
もし違いをうまく認識できれば、この疾患を治療するチャンスを我々は手に入れるだろう」


http://dx.doi.org/10.1038/nature14897
Distinct EMT programs control normal mammary stem cells and tumour-initiating cells.

この考えを支持するように、
我々や他の研究者は
 SlugというEMT誘導転写因子/EMT-TFが、正常な乳腺幹細胞の乳腺再構築活性のマスター調節因子として作用し、
 SlugをSox9とともに乳癌細胞で強制発現させると効率的にTIC/Tumour-initiating cellsの状態への開始を誘導する
ことを確定した(8

※8)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22385965


しかし、これら以前の研究は異種移植モデルと培養細胞系統に焦点を当て、異所性ectopicにEMT-転写因子を発現させたもので、しばしばそれは生理学的レベルではなかった
今回我々は遺伝子工学によるノックインレポーターマウス系統を使った
 


関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/e16429384871b143627248cedd6ad0b3
インテグリンβ3サブユニット(CD61)は、αv(CD51)と会合することで(αvβ3)、転写因子Slugを誘導して幹細胞化を促進し、妊娠中の乳腺発達と乳癌の悪性化の両方と関連する
 

腫瘍ではトランスポゾンが活性化している

2015-09-04 06:40:21 | 
'Jumping genes' unusually active in many gastrointestinal cancers, studies find

Rogue gene insertions could one day speed diagnosis

August 17, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150817181306.htm

胃腸の癌では、トランスポゾンのLINE-1が異常に活性化している

LINE-1は挿入により癌抑制遺伝子を不能disableにすることが以前報告されたが、トランスポゾンの癌発症への関与がどれぐらい一般的なのかは不明だった


Genome Researchの研究
・結腸癌、膵臓癌、胃癌では、癌の早期からLINE-1の挿入が生じていた

http://dx.doi.org/10.1101/gr.196238.115
Widespread somatic L1 retrotransposition occurs early during gastrointestinal cancer evolution.


Nature Medicineの研究
・膵臓癌ではLINE-1の挿入が生じていたが、健康な膵臓には存在しなかった
・転移した腫瘍では挿入の多い傾向が存在した

http://dx.doi.org/10.1038/nm.3919
Retrotransposon insertions in the clonal evolution of pancreatic ductal adenocarcinoma.


Proceedings of the National Academy of Sciencesの研究
・食道癌とバレット食道を比較した

http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1502474112
LINE-1 expression and retrotransposition in Barrett’s esophagus and esophageal carcinoma.


「これらの挿入が、癌の発症を促進するのか、癌の副産物なのかは重要な疑問である」という
それがどうであれこれは早期検出の強力なツールとなりうるだろう



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150710080316.htm
'Jumping genes' may drive esophageal cancer

トランスポゾンのL1因子は、自らを引っこ抜いてuproot移動するが、それがたまたま細胞増殖を制御する遺伝子の中に移動することがある
研究者は、これがそれぞれの腫瘍サンプルごとに100回起きるという証拠を発見した
腫瘍の中には700回起きるものもある

http://dx.doi.org/10.1186/s12864-015-1685-z
Mobile element insertions are frequent in oesophageal adenocarcinomas and can mislead paired-end sequencing analysis.

関連サイト
http://ta4000.exblog.jp/19133502/
※Long INterspersed repetitive Element (LINE): 長い散在性反復配列。転移因子 (トランスポゾン) の一つ。LINEの代表はL1因子
 

AAV2ウイルスは肝臓癌の発症を促進する

2015-09-04 06:07:48 | 
A new virus in liver cancer

August 27, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150827111637.htm

この患者たちの悪性細胞を詳細に調べたところ、AAV2(アデノ随伴ウイルス2型)がDNAをゲノムに挿入する時に細胞の増殖に重要な遺伝子を標的にすることがわかった
AAV2はこれらの遺伝子の過剰発現につながり、研究者によるとこれは腫瘍の発症を促進する可能性があるという

AAV2はこれまで無害と考えられ、遺伝子治療のベクターとして使われてきた


http://dx.doi.org/10.1038/ng.3389
Recurrent AAV2-related insertional mutagenesis in human hepatocellular carcinomas

These AAV2 integrations occurred in known cancer driver genes, namely
 CCNA2 (cyclin A2; four cases)
 TERT (telomerase reverse transcriptase; one case)
 CCNE1 (cyclin E1; three cases)
 TNFSF10 (tumor necrosis factor superfamily member 10; two cases)
 KMT2B (lysine-specific methyltransferase 2B; one case),
leading to overexpression of the target genes.

※TNFSF10: TRAIL
 


腫瘍の血管細胞は免疫細胞からの回避を助ける

2015-09-03 06:05:06 | 
Blood vessel cells help tumors evade the immune system

August 24, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150824064921.htm

腫瘍の血管の一部である血管周囲細胞/周皮細胞pericyteは、腫瘍の環境を操作して、癌細胞が免疫から逃れるのを助ける


癌細胞が免疫を回避する手段の一つは骨髄由来免疫抑制細胞MDSCのリクルートであり、MDSCはキラーT細胞を抑制する
腫瘍はIL-6を分泌してMDSCのリクルートを助けるが、そのメカニズムは不明だった


カロリンスカ研究所の科学者たちは、周皮細胞の数pericytesが多いほど、腫瘍の環境は「正常」であるように見えることを発見した
反対に、周皮細胞が減少すると環境は変化し、それは悪性細胞からのIL-6の発現の高さならびにMDSCの多さと相関した

科学者たちはさらに、乳癌患者で周皮細胞が少なくMDSCが多いサブセットを特定した
このサブセットは予後がより悪く、腫瘍の性質はより悪性だった


「我々の研究は、周皮細胞の数を増やす方法がIL-6の発現を低下させる可能性を示唆する
これはCTLの活性を改善して抗腫瘍効果が向上する結果になりうる」
Genové博士は言う


http://dx.doi.org/10.1093/jnci/djv209
Role of Tumor Pericytes in the Recruitment of Myeloid-Derived Suppressor Cells.

マウスで実験的に誘導した腫瘍において、周皮細胞の欠如はGr1+/CD11b+マウスMDSCの遊出transmigrationの増加につながることを我々は報告する

ヒトの乳癌患者の遺伝子発現分析では、ヒトMDSCのマーカーであるCD33とS100A9の発現増加とそれに伴う周皮細胞遺伝子の発現低下を明らかにし、それは予後の悪さと関連していた




関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/12/141220233552.htm
Polymorphism, bacteria inside us help dictate inflammation, antitumor activity

http://dx.doi.org/10.1016/j.ccell.2014.11.009
Microbially Driven TLR5-Dependent Signaling Governs Distal Malignant Progression through Tumor-Promoting Inflammation


腸内細菌はTLR5シグナルからIL-6を介してMDCSを動員し、腫瘍の進行を促進する

 [腸内細菌]→TLR5↑→IL-6↑→[MDSC]↑→[γδT細胞]ガレクチン-1↑→腫瘍進行↑

TLR5シグナルが存在せずにIL-6が低いと、IL-17が高レベルで見られ、癌を加速した


卵巣癌は、IL-6の高レベルと関連する
TLR5を欠損する方がより長く生存した

管腔乳癌luminal breast cancerは、IL-6の低レベルと関連し、
TLR5を欠損すると長期の生存の見込みprospectは悪かった


関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/11ca0ead8afd54579013b65b1b2aa772
ナチュラルキラー細胞/NK細胞はほとんどすぐに腫瘍細胞を見つけて殺すが、
腫瘍細胞がガレクチン-1を作ると免疫細胞は癌細胞を認識できない
 


肥満女性の硬い胸は腫瘍を促進する

2015-09-02 06:01:32 | 
Stiffer Breast Tissue in Obese Women Promotes Tumors

August 26, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150826144236.htm


太った女性は乳癌のリスクが高く、予後がより悪い
今月Science Translational Medicineで発表されたコーネル大学の研究は、肥満が腫瘍と同様の方法で乳房組織の硬度consistencyを変化させ、それにより乳癌を促進する方法を説明する

マウスと肥満女性の研究によると、
肥満は胸の脂肪細胞を囲む細胞外マトリックスという『網細工meshwork』の硬直stiffeningにつながり、その生体力学的な変化biomechanical changesが腫瘍の増殖に適した状態を作り出すright conditions for tumor growth


肥満女性の脂肪組織には、筋線維芽細胞myofibroblastが多い

筋線維芽細胞は本来、傷を治す細胞wound-healing cellsである
全ての細胞は細胞外マトリックスを作り出して、この網細工meshworkにつかまって組織を作るが、
筋線維芽細胞が細胞外マトリックスを作ると、細胞はお互いを引っ張る -- この作用は傷をふさぐために必要である -- そして組織を硬くする

そして腫瘍も、筋線維芽細胞をリクルートする


多くの肥満女性はマンモグラフィを受けるが、疾患の徴候ははっきりとは見えないshow up
脂肪細胞間の細胞外マトリックスが密集しているため、検出するためにはより高い解像度が必要である


乳房切除後の再建手術reconstructive surgeryでは、組織再生のために太ったドナーから提供された脂肪ストロマ細胞adipose stromal cellsを注入するかもしれない
「我々のデータが示唆するのは、本当に重要なのはこの細胞がどこから取られたのかということである」
Fischbachは言う
「もし肥満の人の細胞を使えば、実際には悪性化を促進するかもしれない」


http://dx.doi.org/10.1126/scitranslmed.3010467
Obesity-dependent changes in interstitial ECM mechanics promote breast tumorigenesis.
肥満依存的な細胞間質マトリックスの力学的変化は乳癌の発癌を促進する



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/04/150420130555.htm
Breast tumor stiffness, metastasis risk linked by molecule's movement

細胞外マトリックスの硬さと癌

ハイドロゲルで硬さを変化させると、硬くなるほどTWIST1はアンカーのG3BP2から離れて核に移行した
G3BP2を欠損させると浸潤して転移するようになった
ヒトの乳癌サンプルでは、G3BP2が少なく、硬い腫瘍ほど、予後が悪かった
コラーゲンのorganizationが予後を予測する/disorganized collagenであるほど予後は良い

http://dx.doi.org/10.1038/ncb3157
Matrix stiffness drives epithelial–mesenchymal transition and tumour metastasis through a TWIST1–G3BP2 mechanotransduction pathway.
マトリックスの硬さ/剛性は、EMTと腫瘍の転移を促進する
G3BP2は、TWIST1の細胞質での結合パートナー



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http://www.sciencedaily.com/releases/2014/12/141217131441.htm
How breast cancer cells break free to spread in body

卵巣癌の悪性化と硬さ/硬度

過去の研究によれば、卵巣癌はやわらかい組織上で、より悪性化する
それは例えば腸に沿って存在する脂肪組織であり、それはこの環境が持つ機械的性質による
それは、「硬い組織を好む」と思われる他の悪性癌で見られる性質とは異なる

新しい研究では、SNAILが過剰発現すると、EMTにより周囲の組織の構造/力学mechanicsとは独立して行動できるようになる

ただし着いた先では逆にMETをする必要がある
なぜなら、二次腫瘍を形成できるほど頑丈sturdyではないからである



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http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/3a1c961faaef3b083a1550767793e75f
アルギン酸ゲルを使用したモデルがその最も柔らかい状態だったときは、正常で良性の乳房上皮細胞はその中で通常通りふるまった。
しかしゲルがより硬くなると、細胞は癌関連の遺伝子の発現を上方調節し始め、細胞増殖と浸潤を引き起こすPI3K経路の活性が増加した。



選ばれた癌細胞が骨に転移する

2015-08-27 06:58:41 | 
Bad to the bone: Some breast cancer cells are primed to thrive

August 29, 2013

http://www.sciencedaily.com/releases/2013/08/130829123439.htm


(骨髄に転移した乳癌細胞)

2009年、ハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI)のMassaguéラボ研究グループは、遺伝子の特徴を調べることによりどの乳癌細胞が最も骨に転移しやすいかを発見した
骨に転移する細胞ではSrc response signature (SRS) という遺伝子セットのスイッチの入っている頻度が高かったが、その理由は不明だった

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19573813
"Latent bone metastasis in breast cancer tied to Src-dependent survival signals."
Figure 7
 CXCL12/SDF1→CXCR4→Akt ←c-Src
 TRAIL→DR4/5 ├─c-Src


「この経路が最初どのようにして作動し始めるのかはまったくの謎だった」
Massaguéは言う

「なぜなら、このSRSは原発腫瘍の細胞に何ら生存的な利点benefitを生じないからだ。我々は手がかりを求めて途方に暮れたat a loss for clues」


彼らはSRSがオンになっている乳癌を別の観点から見直したtake another look at
同じ細胞内のSRS経路の外で常にオンまたはオフになっている他の遺伝子が存在しないかどうかをテストし、CXCL12とIGF1という2つの遺伝子に注目した
それらはSRS腫瘍で発現が高いだけでなく、どの腫瘍が骨に移動するかを予測する独立した因子でもあった
この両方が強まっている腫瘍は骨へ転移することになる可能性がより高かった


しかし、CXCL12とIGF1のレベルが高い乳癌の腫瘍において、それらは癌細胞が源ではなかった
腫瘍は癌細胞からのみ構成されるのではなく、他のサポートする細胞も腫瘍の構造に統合されているintegrated
この遺伝子の徴候は癌細胞ではなく腫瘍に組み込まれた間葉系細胞に由来するものだった
CXCL12とIGF1はどちらもサイトカインというシグナル伝達分子をコードし、骨の細胞でも発現することが知られている


「これはユリーカな瞬間だったeureka moment」
Massaguéは言う
「原発腫瘍とそれらが好んで転移する臓器との間に『擬態mimicry』が存在したのだ」


生化学的実験により、腫瘍をサポートする間葉系細胞でCXCL12とIGF1がオンになり大量のサイトカインが作られると、すぐ近くnearbyの癌細胞でSRS活性化するものが選ばれる
SRS遺伝子の徴候は原発腫瘍の増殖には影響しないが、間葉系細胞によって作られるサイトカインに対して癌細胞をわずかに敏感にする
その癌細胞は同じサイトカインの発現レベルが高い骨組織に到着するとより激しくaggressively成長するだろう」


http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2013.07.036
Selection of Bone Metastasis Seeds by Mesenchymal Signals in the Primary Tumor Stroma.


Highlights
・原発腫瘍のストロマは、臓器特異的な転移傾向organ-specific metastatic tropismを決定しうる
・乳癌腫瘍の癌関連線維芽細胞CAFsは、骨に転移する細胞について選択する
・CAFリッチrichな腫瘍は、骨髄のCXCL12リッチな微小環境を真似る
・CAF由来のCXCL12とIGF1は、高いSrc活性ならびに骨に転移する特質traitについて選択する


Summary
臓器特異的に転移する特質organ-specific metastatic traitsが原発腫瘍でどのように生じるかは不明である

今回我々は骨へ転移するよう刺激された癌細胞の選択における乳癌腫瘍のストロマの役割を示す

トリプルネガティブ乳癌腫瘍における癌関連線維芽細胞 (CAFs) は、不均一のheterogeneous癌細胞集団を、CAF由来のファクターであるCXCL12とIGF1によって力強く成長するクローンが優勢になるように歪曲するskew

これらファクターの濃度の制限は、高いSrc活性を持つ癌細胞について選択する
Src活性は骨転移を臨床的に予測する既知の因子であり、CXCL12ならびにIGF1によるPI3K-Akt経路活性化のエンハンサーである

このようにして選択された癌のクローンは、骨髄のCXCL12リッチな微小環境に転移するように刺激される


今回のエビデンスは、遠隔臓器のシグナルと似たストロマシグナルは、その臓器に転移するよう刺激された癌細胞を選択することを示唆し、
ゆえに
原発腫瘍とそこから遠く離れた臓器への転移において、転移する特質の『進化evolution』を明らかにする


転移する癌は骨組織を変化させる

2015-08-27 06:52:08 | 
How cancer cells alter bone tissue

August 17, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150817090052.htm



骨へ移動する癌細胞は、カテプシンK/cathepsin Kを発現し始めるというユニークな特徴を獲得する

カテプシンKは主に骨で見られるタンパク質で、破骨細胞osteoclastsによって分泌される
移動する癌細胞によるカテプシンKの産生がなぜ重要なのか?
それはこれまで謎のままだった


フライブルク大学のShastriとChristensenたちは、
移動する癌細胞によるカテプシンK産生が、骨環境で生き残る能力を促進することを発見した
細胞培養実験でカテプシンKはマトリックスメタロプロテアーゼ-9 (MMP-9) を活性化した

 カテプシンK→MMP-9

MMP-9は腫瘍発達の重要な調節因子である
MMP-9は骨のマトリックスを分解して、到着した癌細胞が新しい環境に適応して生存できるようにする

さらに、MMP-9は特定の要素を活性化して新しい血管の形成を活性化し、腫瘍へ栄養をもたらす

こうして癌細胞は骨に到着すると多くの道具を使って微小環境を作り替えて、それはやがて腫瘍になる


http://dx.doi.org/10.1186/s13104-015-1284-8
Matrix-metalloproteinase-9 is cleaved and activated by Cathepsin K.
MMP-9は、カテプシンKによって切断されて活性化される


Background
MMP-9は腫瘍進行において重要な役割を演じ、血管形成angiogenesisを増加させることが示されている [1]

※[1] http://www.biomedcentral.com/pubmed/18328424
Matrix metalloproteinase-9 is required for tumor vasculogenesis but not for angiogenesis: role of bone marrow-derived myelomonocytic cells.
(MMP9は腫瘍の血管形成vasculogenesisに必須だが、血管新生angiogenesisにとっては必須ではない: 骨髄由来の骨髄単球性細胞の役割)

MMP-9は骨の発達と修復にとっても重要であることが示されている
MMP-9ノックアウトマウスは成長板growth plateの血管新生vascularizationの変化ならびに発達中の骨化ossificationの変化を示し、実験的に誘導された骨折の修復は遅れた [11], [12]


乳癌を転移させる血管の「出入口」

2015-08-26 06:31:34 | 
Blood vessel 'doorway' lets breast cancer cells spread through blood stream

Investigators build upon their tumor microenvironment research

August 12, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150812103830.htm



アメリカ国立癌研究所/NCI指定designatedのアルバート・アインシュタインがんセンター (AECC)とモンテフィオーレ・アインシュタインがん治療センターの科学者は、リアルタイムの高解像度画像化技術により血管の壁の「出入口」がどのようにして乳癌を体内の別の場所に転移させるのかを明らかにした
研究ではヒト乳癌マウスモデルならびにヒト乳房組織を移植したマウスが利用された


彼らは以前、3つの特定の細胞が直接接触した時に乳癌が転移することを発見した:
その3つとは、血管上皮細胞、血管周囲マクロファージ/perivascular macrophage、Menaの産生が高レベルな腫瘍細胞である(Menaは癌細胞の浸潤能力を促進するタンパク質)

これら3つの細胞が直接かつ安定して接触する場所を腫瘍転移微小環境tumor microenvironment of metastasis/TMEMと呼び、
そこで腫瘍細胞は血管に入る


「腫瘍の血管は異常に透過性が高いことがしばらく前から知られていたが、何が透過性を調節しているのかは不明だった
最新の画像化研究により、この現象はTMEMのマクロファージによって調節されると我々は言うことができる」
筆頭著者のAllison Harneは言う

今回の新たな研究ではTMEMマクロファージがVEGFを分泌して局所的に血管透過性の増加を引き起こすことが示された
この効果は一時的temporaryだが、癌細胞を血流に入らせるぐらいには長く続く
それにより原発腫瘍primary tumorから逃れて遠い場所に転移する


研究者はまた、一時的transientな血管透過性と腫瘍の血流への進入は同時に生じ、そしてTMEMでのみexclusively起きることも初めて観察した

これらは生体内intravital高解像度二光子顕微鏡を使ってマウスの乳癌原発腫瘍ならびにヒト乳癌組織からマウスへの異種移植xenograftsを画像化することで判明した


関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/83021cab6fae721b9bf8e09b4f0b0d41
>動物モデルとヒト癌細胞による以前の研究で、3つの特定の細胞が直接接触するときに乳癌は転移することが明らかになっていた
>3つの細胞とは、血管内皮細胞、血管周囲マクロファージ、そして高レベルのMenaを産生する腫瘍細胞である
 

腫瘍にならずに肝臓を再生させる細胞

2015-08-24 06:16:52 | 
Newly discovered cells regenerate liver tissue without forming tumors

Hybrid hepatocytes proliferate, replenish liver mass after chronic liver injuries in mice

August 13, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150813130020.htm

肝臓の再生能力は以前、成体の肝細胞であるオーバル細胞oval cellsによるcreditedとされたが、
最近の研究ではoval cellsは肝細胞を生じることはなく胆管になると結論された


カリフォルニア大学サンディエゴ校による最新の研究では、
一般的な環境毒である四塩化炭素carbon tetrachlorideに曝露後の慢性的な肝臓傷害後に肝細胞を置き換える細胞を追跡し、
肝臓の門脈三管portal triadという場所に位置する独特な肝細胞の集団を発見した
この特別な肝細胞は、慢性的な肝臓の傷害後に広範囲に増殖して肝臓を補充するreplenish

この細胞は通常の肝細胞に似ているが胆管bile ductの細胞に特異的な遺伝子も低いながら発現しているため、研究者は「ハイブリッド肝細胞」と呼んでいる


世界中でiPSCが再生医療の有望な治療法として研究されているが、治療の仕事が完了した後に確実に増殖を止めるのが難しいことがありうる
結果としてiPSCsは腫瘍を生じるリスクが高い

ハイブリッド肝細胞の安全性をテストするために研究チームは3つの異なる肝癌マウスモデルでテストし、それらでまったく腫瘍の徴候が見られなかった


http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2015.07.026
Hybrid Periportal Hepatocytes Regenerate the Injured Liver without Giving Rise to Cancer.


Summary
肝三つ組portal triadsに位置する門脈周辺の肝細胞periportal hepatocytesは、Sox9ならびに他の胆管特異的な遺伝子を低く発現し、広範囲に増殖して肝臓を補充したが、肝細胞癌を生じなかった
 



マラリアとバーキットリンパ腫

2015-08-23 06:39:57 | 
New research helps explain why a deadly blood cancer often affects children with malaria

Immune responses to malaria-infected red blood cells appear to sometimes lead to cancer-promoting changes

August 13, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150813130231.htm

アフリカの赤道のequatorial付近ではバーキットリンパ腫が世界の他の地域より10倍多く「リンパ腫ベルト」と呼ばれる
この地域ではマラリアの感染率も高く、科学者は50年を費やしてこの2つの疾患の関連を理解しようと努力してきた

このつながりは謎だった
マラリアは赤血球や肝臓に感染するが、バーキットリンパ腫はB細胞が源である
ロックフェラー大学の研究チームは、その理由の説明を助ける

彼らはマウスの実験により、マラリアを排除する抗体を作るのを助ける酵素AIDがDNAの損傷も引き起こしてバーキットリンパ腫につながることを発見した
この研究はCell誌で8月13日に発表された



研究ではマラリアを引き起こす寄生虫/Plasmodium chabaudiをマウスに感染させた
このマウスでは胚中心germinal center (GC) のBリンパ球が増大した
これはバーキットリンパ腫になりうる白血球の活性化した形である

「マラリアに感染したマウスではB細胞は急速に増殖し続ける」
Robbianiは言う

B細胞が急速に増殖するにつれて、活性化誘導性シチジンデアミナーゼ/activation-induced cytidine deaminase (AID) という酵素の発現も増大する
AIDはDNAに変異を誘発し、結果として様々な種類の抗体を作ることができる
これは様々な感染を撃退するfight offために必須のプロセスだが、
AIDは「的外れoff-target」の損傷を引き起こし、癌を引き起こす遺伝子をごちゃまぜshufflingにする

「マラリアに感染したマウスでは、胚中心のリンパ球にいわゆる染色体再編成が非常に頻繁に生じる」
Robbianiは言う
「そして少なくとも、その変化のいくらかはAIDのせいである」


研究者は次にp53を持たないマウスを育ててAIDを発現させると、すべてのマウスでリンパ腫が発症した
p53はバーキットリンパ腫など多くの癌から保護することが知られている

このp53を持たないマウスをマラリアに感染させると、特に成熟B細胞でリンパ腫が発生した
これはバーキットリンパ腫で起きるのと類似する


リンパ腫は他の感染とも関連があり、そしてそれはアフリカでだけではないとRobbianiは言う
例えばC型肝炎ウイルスやヘリコバクターピロリ菌は非ホジキンリンパ腫が多い
「AIDは他の感染と関連する癌にも関与する可能性がある。これは現時点ではただの推量speculationだが、非常に示唆的suggestiveである」


http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2015.07.019
Plasmodium Infection Promotes Genomic Instability and AID-Dependent B Cell Lymphoma.

 

膵臓癌の転移を促進する神経ガイドタンパク質

2015-08-22 06:47:55 | 
Researchers identify nerve-guiding protein that aids pancreatic cancer spread

August 10, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150810162330.htm

ジョンスホプキンスのキンメルがんセンターの科学者は、膵臓癌の転移の説明を助ける分子的パートナーを発見した

その分子パートナーの一つはアネキシンA2/annexin A2である
これは既に膵臓癌の予後の悪さと関連があることがわかっているという

Science SignalingでのLei Zheng博士たちの報告によると、
annexin A2は、Sema3Dというタンパク質を膵臓癌細胞の外へと導くusherのを助ける
いったん細胞外に出ると、Sema3Dは他の分子と一緒になって癌の転移を促進する
Sema3Dは、神経細胞が成長する際に軸索axonを伸ばすのを導くguide


annexin A2を欠くマウスの実験では、膵臓癌から分泌されるSema3Dの量は70倍低下すると計算された
annexin A2を欠くマウス23匹は転移を生じなかったが、
annexin A2を産生するマウスは17匹中16匹が肝臓か肺または腹腔abdominal cavityに転移した

ヒトの膵臓癌の90%を占めるpancreatic ductal adenocarcinoma/PDACの組織でも同様の結果だった
Sema3Dの存在は膵臓癌切除後の再発とも関連するようだ

研究者は今回の結果を元に、annexin A2とSema3Dによる転移を止めるため3つの標的を追っている
annexin A2を標的とするワクチン、annexin A2への抗体、Sema3D阻害剤である


ZhengたちはSema3Dがどのようにして膵臓癌の転移を促進するのか正確には不明であると強調するものの、
おそらくそれにより癌細胞が元の腫瘍から離れて、神経を取り巻いてsurround追跡するのを助けると彼らは考えている

この『神経高速道路』は膵臓癌において特に重要であるという
なぜなら、膵臓には癌細胞を体内の他の場所に運ぶための血管があまり成長しないからである

「他のいくつかの癌がそうである以上に膵臓癌細胞は『神経向性neurotropic』であり、神経に侵入する傾向がある」
Zhengは説明する


現時点ではannexin A2が膵臓癌細胞のSema3D分泌を促進する方法も不明だが、
おそらくannexin A2はSema3Dの『ボディーガード』としてはたらき、
Sema3Dを細胞表面の出口まで守って導くのだろうと研究者は考えている

または、プロフェッショナルの荷造り業者packerのようであるかもしれないという
それはSema3Dが細胞から分泌される前に小さい分子の泡である小胞で囲むenclose


2011年にGVAXというワクチンの試験が実施された
「我々はワクチン投与後にannexin A2に対する抗体を発見した
彼らはワクチン投与後に長期の無病生存期間disease-free survivalも示した」

「これは膵臓癌進行におけるannexinの役割を研究すべきであることを示唆している」


http://dx.doi.org/10.1126/scisignal.aaa5823
Semaphorin 3D autocrine signaling mediates the metastatic role of annexin A2 in pancreatic cancer.
セマフォリン3Dのオートクリンシグナル伝達は、膵臓癌におけるannexin A2の転移における役割を仲介する


セマフォリンシグナル伝達は発達する神経の移動を導きdirect、新生血管も誘導する

Sema3Dは転移性PDAC患者の腫瘍で増加し、抗annexin A2抗体が患者の血清に存在する

分泌されたSema3Dは、PDACの表面でco-receptorであるplexin D1をオートクリンで活性化する