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興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

2014年11月25日

2014-11-27 23:33:35 | 

癌の『燃料タンク』を枯渇させる新しい方法が発見される
New ways to drain cancer's 'fuel tank' discovered



癌はしばしば再発し、治療薬に対して抵抗する能力がある。そのような癌の潜在的な弱点が発見された。それは癌幹細胞の『燃料』部分である。

マンチェスター大学の科学者はラボ環境で癌幹細胞を観察することにより、特にミトコンドリアが癌幹細胞の増殖と生存にとって重要であることを発見した。癌幹細胞は『腫瘍を開始する細胞』として知られ、治療薬への抵抗性を促進する可能性がある。



癌幹細胞は根絶するのが特に困難であり、癌を効果的に治療するのが非常に難しい理由の中心である。癌幹細胞は治療後も生存して再発を引き起こし、全身に浸潤して、最終的に治療は失敗する。

マンチェスター大学Institute of Cancer Sciencesと、Cancer Research UKマンチェスター研究所(どちらもマンチェスター癌研究センターの一部である)に拠点を置く研究者は、細胞内のエネルギーを生み出すミトコンドリアの役割を調査した。新しく設立されたマンチェスター細胞代謝センター(Manchester Centre for Cellular Metabolism; MCCM)も、本研究において重要な役割を果たした。

ラボ環境で癌幹細胞を観察することにより、彼らはミトコンドリアが癌幹細胞の増殖的な拡大と生存にとって特に重要であり、おそらく治療薬への抵抗性を促進することを発見した。

研究はラボの乳癌幹細胞で実施されたが、理論は患者から提供されたヒト乳癌細胞でも確認された。両方で細胞内のタンパク質を調べたところ、ミトコンドリアと関連する62のタンパク質が著しく増加していた。その変化の状態から、特にケトンとL-乳酸のような燃料が重要であると思われた。それらは過去に腫瘍の成長を加速することが示されていた。

研究を指揮したMichael P. Lisanti教授は以下のように述べた:

「基本的にミトコンドリアは癌幹細胞のエンジンであり、ケトンとL-乳酸は癌の成長を促進するハイオク燃料である。今回の結果は、ハイオクの燃料タンクを枯渇させるという新しい方法を示唆する。それは治療の後に復活する癌の能力を限定する。」

現在、MCT阻害剤による試験がCancer Research UKによって進行中である。MCT阻害剤も癌細胞のミトコンドリアを標的にする。

記事出典:
上記の記事は、マンチェスター大学によって提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.癌幹細胞を根絶するための新しい治療学的な目標としてのミトコンドリア:
MCT1/2阻害による定量的プロテオミクスと機能的な検証。

Oncotarget、2014年11月;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/11/141125074747.htm



<コメント>
癌幹細胞はケトン体や乳酸を使えるという記事です。

癌細胞はケトン体を使えないから安全と主張する人がいるようですが、本当に大丈夫なんでしょうか。

Referenceの19が興味深いです。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21512313

>Ketones and lactate increase cancer cell “stemness,” driving recurrence, metastasis and poor clinical outcome in breast cancer: achieving personalized medicine via MetaboloGenomics.

>The lactate-specific gene profile was most similar to neural stem cells, while the ketone-specific gene profile was most similar to hematopoietic stem cells.
>The genes commonly upregulated by both lactate and ketones were most similar to embryonic stem cells.

2014年11月17日

2014-11-20 06:15:34 | 

石鹸の『汚れた』側面:
個人衛生用の製品として一般的な抗菌物質であるトリクロサンは、マウスにおいて肝線維症と癌を促進する

The 'dirty' side of soap: Triclosan, a common antimicrobial in personal hygiene products, causes liver fibrosis and cancer in mice



トリクロサンは、石鹸、シャンプー、歯みがきなどで広く使われている抗菌物質である。カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部の研究者は、この化学物質への長期の曝露が潜在的に深刻な結果を与える可能性を報告する。PNASの11月17日号で発表された研究は、トリクロサンがマウスで肝線維症と癌を促進することを示す。その分子メカニズムはヒトにも関連がある。

「トリクロサンは環境中のサンプルで検出されることが増えている。その増えつつある消費は利点を圧倒して、肝臓への毒性のリスクを示す可能性がある。マウスではトリクロサンと類似した作用をもつ他の化合物と組み合わせると毒性を示すからである」、化学・生化学・薬理学部の教授であるRobert H. Tukey博士は言う。



Tukeyたちの研究チームは、トリクロサンがマウス・モデルで肝臓の健全性を阻害して、肝機能を損なうことを発見した。6ヵ月間(ヒトのおよそ18年に相当する)トリクロサンにさらされたマウスは、化学物質によって引き起こされる肝腫瘍に対して感受性が増大した。その腫瘍は、トリクロサンにさらされないマウスよりも大きく、そしてより頻度が高まった。

彼らの研究によれば、トリクロサンは構成的アンドロスタン受容体(CAR)に干渉する可能性がある。CARは体内の異質な化学物質を解毒するタンパク質である。このストレスを補償するために肝細胞は増殖し、やがて線維症になる。繰り返されるトリクロサン曝露と継続的な肝線維症は、最終的に腫瘍形成を促進する。

トリクロサンは広く使われている抗菌剤であり、研究では母乳サンプルの97パーセントから、そしとて人々の尿サンプルの約75パーセントから検出された。アメリカの河川で最も検出の頻度が高かった7つの化合物の1つである。

「我々は液体石鹸のように量は多いが有益性が低いトリクロサンの使用を排除することによって、ほとんどのヒトおよび環境への曝露を抑制することができる」、Hammockは言う。

「それでも、歯みがきのように使われる量が少なく、健康的価値を持つことが示されている使用は今のところ維持しても良いと思われる。」

トリクロサンはその広範囲にわたる利用と、ホルモンの作用を阻害しさらに筋収縮を阻害するという最近の報告により、すでにFDAによって詳細な調査が実施されている。

記事出典:
上記の記事は、カリフォルニア大学サンディエゴ校健康科学によって提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.広く使われる抗菌作用のあるトリクロサンは、肝腫瘍プロモーターである。

PNAS、2014年11月17日;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/11/141117154612.htm

<コメント>
トリクロサンTriclosan)は、マウスの核受容体である構成的アンドロスタン受容体(constitutive androstane receptor; CAR)を活性化する(※アンドロスタン: C19ステロイド)ことにより肝細胞の増殖を促進する可能性があるという記事です。

Abstractによれば、前発癌物質(procarcinogen)のジエチルニトロソアミン(diethylnitrosamine)による肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)の発達を促進したということのようです。

ヒトへの発癌性に直接的な関係はほとんど無さそうですが、トリクロサンが使われていると言われるミューズの商品サイトに殺菌成分書かれていないのは何なんですかね。隠してるとは思いたくありませんが。


2014年10月30日

2014-11-04 14:40:09 | 

代謝の再配線は、結直腸癌の成長を遅らせる
Rewiring metabolism slows colorectal cancer growth



癌は進行するにつれて突然変異を蓄積し、最終的には狡猾なパワーを得て、途方もなく成長して転移する。癌の良性の変異とドライバ変異を区別することは標的を限定した癌治療の開発への道を開く。

癌はミトコンドリア・ピルビン酸キャリア(mitochondrial pyruvate carrier; MPC)と呼ばれるタンパク質複合体を妨害する。そして大腸癌細胞におけるMPCの再導入は、癌の成長を含めたいくつかの特性を損なう。

この研究は、代謝(細胞の燃料が利用される方法)における重要なステップの変化が大腸癌の重要なドライバとして関与することを示すものであり、それは他の多くの癌環境でも重要になりそうである。



ユタ大学のJared Rutter博士たちによる研究によれば、癌は炭水化物代謝に関係するタンパク質であるMPC1/MPC2ヘテロ複合体を除去するためには何でもするようである。癌の少なくとも18種類(結腸、脳、乳、肝臓など)では、正常な成人の細胞と比べて著しくMPCが少ない。

いくつかの癌は単純にMPC遺伝子の内の1つを含むゲノムの領域を削除し、他はそれぞれMPC発現を低下させるような方法を見つける。実際、患者の生検による分析ではMPCの量が少ないほど癌は悪性化することが示されている。

「MPCの喪失は、癌の攻撃性と患者の生存のバイオマーカーであるようだ」、ユタ大学の糖尿病・代謝センターの共同ディレクターでもあるRutterは言う。

「それはMPCが重要かもしれないという第1の手掛かりであった。」



さらに印象的なことに、Rutterのグループが大腸癌細胞系統にMPCを再導入すると、それらの細胞を癌として定義する特性は元の状態に戻った。それらの細胞はある状況下での分裂の頻度が低下し、幹細胞マーカーの発現は減少した。幹細胞マーカーはしばしば腫瘍の形成と転移の可能性を定義する初期段階である。

更に、マウスへ注射すると腫瘍を形成するように設計された細胞の能力は、劇的に損なわれる。MPCタンパク質複合体を発現する細胞を含む腫瘍は、MPCを除去した細胞から構成される腫瘍の4分の1程度の大きさであった。



MPCの喪失が癌細胞において果たす役割は、約1世紀前に初めてなされた観察に由来する。生化学者ワールブルクは、癌細胞が自らの代謝を変化させ、それにより異常な成長と増殖を支えることに気がついた。

科学者は後に、ピルビン酸を処理する方法がこれらの代謝性変化の鍵であることを発見した。癌において、ピルビン酸はミトコンドリアから代わりの代謝経路へと進路を変え、細胞を構築する素材を製造する。

科学者たちは長い間、癌で観察されるいわゆるワールブルク効果は、ピルビン酸のミトコンドリアへのエントリーの制御に左右されると考えてきた。しかし、その考えを直接検証する方法は2年前までは存在しなかった。RutterたちがMPCをミトコンドリアに対するピルビン酸の「出入口」と特定するまでは。

今回のMolecular Cell誌の報告によれば、癌細胞はMPCを抑制することによってその「ドア」を閉めており、MPCの再導入によってドアを実験的に開くと癌の成長は阻害され、さらにピルビン酸は正常な細胞で用いられる代謝経路に切り替わった。

言い換えれば、MPCはワールブルク効果とは反対に作用する。

学術誌参照:
1.ワールブルク効果ならびに大腸癌成長のリプレッサーとしての、ミトコンドリア・ピルビン酸キャリア(MPC)の役割。

Molecular Cell、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141030132953.htm



<コメント>
ピルビン酸をミトコンドリアに輸送するために必要なMPCというタンパク質複合体が、癌に広く観察されるワールブルク効果に関与するという記事です。

癌細胞は様々な方法でピルビン酸がミトコンドリアや細胞内へ入ってくるのを阻止しているようです。


2014年10月28日

2014-10-30 23:40:52 | 

食事と炎症と癌の関連: 重要なファクターが発見される
Relationship between diet, inflammation and cancer: Key factor found



Children's Hospital Oakland Research Institute(CHORI)の研究チームは、スフィンゴ脂質として知られる脂質のカテゴリーが、食事と炎症、そして癌という3つの関係を結びつける重要な要素であるかもしれないことを発見した。

今週JCIでオンライン発表される論文でJulie Saba医学博士と彼女の研究チームは、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)というスフィンゴ脂質の代謝産物が、結腸の炎症と炎症性腸疾患(IBD)、そして炎症関連大腸癌に関与するというエビデンスを提供する。

S1Pは哺乳類食品(mammalian food product)に含まれ、ヒトの正常な細胞でも作られているが、それとは反対にスフィンガジエン(sphingadiene)と呼ばれる大豆または植物タイプのスフィンゴ脂質は、これらの病態から保護する可能性がある。



炎症と癌の関係は100年以上前から認識されてきた。この関係は特に結腸発癌において明らかであり、IBD患者は一般集団より大腸癌の罹患率が高い。発癌すなわち細胞の形質転換のプロセスにおいて、炎症がその最も早い段階に関与するというエビデンスが増えつつある。その段階で細胞は癌の特性の多くの面を獲得する。

国が工業化するにつれてIBDと大腸癌の罹患率が上がるという観察は、食事と栄養の変化が大腸炎と大腸炎関連大腸癌に関与することを示唆する。哺乳類食品等に含まれる生理活性(bioactive)スフィンゴ脂質は発癌において基本的な役割を果たし、その理由はプログラム細胞死経路とストレス応答、免疫と炎症を調節するその能力による。



スフィンゴ脂質の代謝の影響は特に大腸癌で密接な関係があるが、その理由は、腸と上皮細胞が食事のスフィンゴ脂質の分解によって産生される代謝産物にさらされるからである。中でも、哺乳類のスフィンゴ脂質の最終的な分解産物であるS1Pは細胞の成長と発癌を促進する炎症誘発性のシグナル脂質である。

悪性の形質転換と大腸癌が進行するにつれて遺伝子の変化が腸の組織で生じ、それにはS1Pを産生する酵素のスフィンゴシンキナーゼ(SPHK)の増加と、S1P分解を触媒する酵素であるS1Pリアーゼ(SPL)の減少が含まれる。これらの変化は腸粘膜でのS1Pの蓄積につながる。

S1P蓄積の炎症と発癌への影響を調べるため、研究者は腸組織でSPLを欠損するマウスを生み出した。彼らは化学物質により大腸炎関連大腸癌を誘発するモデルマウスを用いて、その応答の特徴を記述した。

その結果、コントロールマウスと比較して変異マウスはより多くの炎症を示し、腫瘍の発生率はより高かった。マウスと細胞培養実験の組合せを使用して、科学者はS1Pの下流にあるカスケードを特定した。それは最終的に2つの腫瘍抑制タンパク質、PTENとCYLDのサイレンシングにつながる。

S1Pが癌を促進するのとは対照的に、スフィンガジエンと呼ばれる大豆または植物タイプのスフィンゴ脂質はS1Pに代謝されることができず、代わりに腸組織でSPL濃度を上昇させ、それによりS1Pの代謝・分解を増強することが研究者によって示された。

さらに、マウスへのスフィンガジエンの経口投与は、炎症ならびにIBDの徴候、腫瘍の発生を減少させた。加えて、IBD患者の結腸ではS1P関連の遺伝子発現が増加していることを研究者は示した。



今回の研究では、哺乳類のスフィンゴ脂質が炎症と発癌を促進する可能性が示唆される。また、植物/大豆スフィンゴ脂質はS1Pに変換されず、抗炎症性であり、いくつかの癌シグナル経路の活性を低下させる。食事に含まれるスフィンゴ脂質が結腸発癌を増強するか阻害するかは、それがS1Pに代謝される能力次第であることが示唆された。

今回の発見は、食事と炎症と癌の機械論的な関連を明らかにすると共に、大腸癌リスクが高い患者、例えばIBDの人たちの化学予防的治療薬としてスフィンガジエンをさらに研究することを支持するエビデンスを提供する。

記事出典:
上記の記事は、UCSFベニオフ小児病院オークランドによって提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.スフィンゴシン-1-リン酸リアーゼのダウンレギュレーションは、STAT3により活性化されるマイクロRNAによって結腸発癌を促進する。

JCI、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141028145439.htm

<コメント>
前回に続いて、スフィンゴシン-1-リン酸S1P)についての記事です。

本文によれば、STAT3はmiR-21を介してPTENも抑制することが明らかになっていて、今回の研究ではS1PはSTAT3を活性化させてmiR-181b-1を誘導し、cylindromatosis(CYLD)もサイレンシングすることが明らかになりました。さらに、IBD患者の結腸の生検でもS1PとSTAT3シグナルが促進されていました。

2009年にも同グループによるスフィンガジエン(sphingadiene; -eneは二重結合の意)についての記事が出ていました


2014年10月14日

2014-10-19 11:47:36 | 

分子の『パンくず跡(breadcrumb trail)』は、メラノーマが蔓延するのを助ける
Molecular 'breadcrumb trail' that helps melanoma spread found



英国の癌研究者は、メラノーマ細胞は体で自然に生じている分子の『跡(trail)』に引き寄せられ、追いかけることを発見した。それはこの深刻なタイプの皮膚癌を転移させるように仕向ける。


Cancer Research UKの研究チーム、グラスゴー大学のBeatson研究所によれば、メラノーマ細胞は自分自身に『青信号』を出して移動する。その青信号とはリゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid; LPA)という分子であり、このシグナルは体内の移動と転移を促進する。

研究者は、腫瘍細胞は周囲のLPA分子を分解することで「旅に出かける」ことを癌細胞系統とマウスで示した。いったん近くのLPAが枯渇すると、癌細胞はLPAを捜し求めて腫瘍から血流へと移動する。そうしてメラノーマ細胞は、体の新しい部位へとつながる小道(trail)を作る。

隣にしっかりとくっつく他の癌とは異なり、メラノーマ細胞の構造は初めから転移しやすいことを意味する。そのため、メラノーマはLPAによって与えられた青信号の指示を受けるとすぐに移動し始めた。このことが意味するのは、メラノーマは急速かつ激しく転移するために治療するのが困難な可能性があるということである。

研究者はメラノーマ細胞を撮影して分析することにより、それらが1日1ミリメートルという速さで移動することを発見した。この速度は、数週以内に体のどこにでも到着することができることを意味する。

学術誌参照:
1.メラノーマ細胞はLPAを分解して局所的な濃度勾配を生じ、化学走性の分散を引き起こす。

PLoS生物学、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141014142746.htm

<コメント>
メラノーマは進行するにつれてリゾホスファチジン酸Lysophosphatidic acid; LPA)という分子を分解して、LPAが枯渇するとすぐに移動を始めてしまうという記事です。論文にはLPAの源としてメラノーマ自身が生成するとあり、メラノーマは自分が作ったLPAを自分でどんどん分解していることになります(In many tumours, including melanoma, expression of autotaxin and thus autocrine production of LPA has been associated with tumour progression [50] )。

研究ではLPAの受容体1-3への結合を競合的に阻害するKi16425という阻害剤等でその影響が確かめられていますが、LPAがカドヘリンのレベルを調節するという報告等もあり、それらの可能性は今回の実験では否定できないと論文にはあります(We do not exclude other mechanisms; it has for example been proposed that LPA regulates cadherin levels [49], which would not be visible in our assays.)

よく転移に関与すると言われるSDF-1は、今回メラノーマの化学走性(chemotaxis)には影響がありませんでした


2014年10月14日

2014-10-16 22:26:55 | 

肝臓の免疫細胞は、脂肪肝疾患と肝臓癌を促進する
Immune cells in liver drive fatty liver disease, liver cancer




脂肪肝は大量のアルコール消費が原因だが、非アルコール性の脂肪肝(non-alcoholic fatty liver disease; NAFLD)は主に脂肪と糖の過剰な消費、そして運動不足と座りがちなライフスタイルによって引き起こされる。

NAFLDが慢性化すると慢性的な炎症反応も起きて、組織の明確な病理学変化を伴う非アルコール性の脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis; NASH)につながる可能性がある。

NAFLDとNASHは、慢性ウイルス感染とともに肝細胞癌(HCC)の最も一般的な原因である。HCCは癌の中でも成長が早く、そしてHCC患者のために効果的な根本治療は存在しない。



脂肪肝、脂肪性肝炎、HCCのような疾患を引き起こすメカニズムは依然として理解されていない。しかし、免疫細胞の特にCD8+T細胞とNKT細胞が重要な役割を演ずるようである。この発見は、ヘルムホルツ・ツェントラム・ミュンヘン・ドイツ環境健康研究センター(Helmholtz Zentrum München - German Research Center for Environmental Health)のMathias Heikenwälder教授たちが率いる科学者チームによってもたらされた。

科学者たちはマウスを使ってメタボリックシンドロームの長期間作用(long-term effects)を調査し、脂肪肝を引き起こす新しいメカニズムと、それがどのように肝臓癌の発症につながるかを解明した。



科学者たちは、代謝のアンバランスが免疫細胞の活性化とその肝臓への移動につながると考えている。

肝臓へ移動した免疫細胞は肝細胞と相互作用して炎症性応答を引き起こし、肝臓組織を損傷して、さらに肝細胞の代謝的な活動を不安定にする。

「初めに、免疫細胞は脂肪肝変性を促進する。特定の免疫細胞によって引き起こされる炎症は脂肪肝の病理の進行を促進し、NASHを発症させる。これらのプロセスは肝細胞変性の基礎であり、それはHCCを引き起こす可能性がある」、Heikenwalder教授は説明する。

「今回の結果は、これら重篤な肝疾患の発症に対するまったく新しい洞察を提供する。今回の知見を基にして、我々はこれらの疾患と戦うための新しくかつ予防的な治療戦略を開発したい。」

その最初の研究が、前臨床モデルにおいてすでに進行中である。

記事供給源:
上記の記事は、ヘルムホルツ・ツェントラム・ミュンヘン・ドイツ環境健康研究所によって提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.肝臓のCD8+T細胞とNKT細胞の代謝的活性化は、肝細胞とのクロストークにより、非アルコール性脂肪性肝炎と肝臓癌を引き起こす。

Cancer Cell、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141014152536.htm

<コメント>
Abstractによると、高脂肪に加えてコリンCholine)が不足した食生活(CD-HFD)を続けていると、NKT細胞が分泌するLIGHT(TNFSF14)が脂肪肝を引き起こし、CD8T細胞とNKT細胞が肝細胞を傷害して炎症が起きるようになります。

LIGHTは肝細胞のLTβRのリガンドであり、LTβRとNF-κBシグナルはNASHから肝細胞癌への移行を促進します


Mallory body(MDB): マロリー小体。アルコール性肝炎で見られる好酸性の封入体で、成分は中間径フィラメント(ケラチン8とケラチン18)など。
肝細胞癌などでも観察される。

他にも、高脂肪食は腸内細菌の構成を変化させ、増加したClostridiumなどのグラム陽性菌が産生する2次胆汁酸(デオキシコール酸)が肝癌の発症を促進するという研究もあります。
http://first.lifesciencedb.jp/archives/7410


2014年9月24日

2014-09-27 16:34:26 | 

スカート・サイズの増大は、閉経後乳癌リスクの33パーセント増加と関連する
Skirt size increase linked to 33 percent greater postmenopausal breast cancer risk



大規模な観察研究によれば、20代中頃から50代中頃の間の10年間でスカート・サイズが上がることは、閉経後の乳癌を発症するリスクの33パーセント増加と関連する。

成人期の全体的な体重増加は乳癌の危険因子であることが知られているが、ウエストの肥厚は特に有害なようである。この研究結果は、胴の中央部(midriff)の膨張を食い止めることの重要性を示す。

学術誌参照:
1.より年老いた女性におけるスカート・サイズと閉経後乳癌リスクの関連:
英国の卵巣癌検診の共同試験(Collaborative Trial)内でのコホート研究。

BMJ Open、2014のDOI:

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140924212027.htm

<コメント>
ブラジャーと乳癌は関連がありませんでしたが、スカートと乳癌は関係があるようです。


2014年9月24日

2014-09-26 11:30:55 | 

細菌の『コミュニケーション・システム』は、癌細胞を停止させて殺す
Bacterial 'communication system' could be used to stop, kill cancer cells, study finds



「感染する間の細菌は分子をリリースして、お互いに『話す』ことが可能だ」、ミズーリ大学コロンビア校獣医学部の比較腫瘍学とエピジェネティクス研究室でアシスタント・リサーチ・プロフェッサーのSenthilクマールは言う。

「リリースされる分子のタイプによって、このシグナルは他の細菌に増殖するか止めるかを命じ、免疫システムを逃れるようにする。

この『拡散の停止』を命じる細菌分子を癌細胞に対して導入すると、癌細胞は拡散を止めて、死に始める。」

「我々は膵臓癌の細胞を使用した。それらはヒトの体内で生じる最も強く悪性で、殺すのが最も難しい癌細胞だからである」、クマールは言う。

学術誌参照:
1.細菌の集団感知(quorum-sensing)の分子、N-3-オキソ-ドデカノイル-L-ホモセリン ラクトン(N-3-Oxo-Dodecanoyl-L-Homoserine Lactone; O-DDHSL)は、ヒト膵癌細胞に細胞毒性を直接引き起こし、細胞運動性を低下させた。

PLoS ONE、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/08/140829083856.htm


※lactone: ラクトン。有機物化合物の1分子内のカルボキシル基と水酸基から水を脱離して生じる環式の分子内エステルの総称

<コメント>
細菌のクオラムセンシング(quorum-sensing)のやり取りに使われる分子は、ヒトの癌細胞にも効果があるという記事です。

免疫や癌細胞への影響についての報告は以前からあるようです。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9423836
>The Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌) quorum-sensing signal molecule N-(3-oxododecanoyl)-L-homoserine lactone has immunomodulatory activity.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15064716
>Bacterial N-acylhomoserine lactone-induced apoptosis in breast carcinoma cells correlated with down-modulation of STAT3.

関連記事にも、緑膿菌のクオラムセンシング分子がIQGAP1を介して上皮の移動を調節したというものがあります。今回の記事でもIQGAP1等のmRNAの上昇を観察しています(タンパク質の発現は変わらず)。

http://www.sciencedaily.com/releases/2012/11/121106114241.htm


2014年4月4日

2014-09-25 09:45:16 | 

遺伝子研究は肝臓疾患の遺伝子を膀胱癌に関連づける
Major genetic study links liver disease gene to bladder cancer



コロラド大学癌センターのダンTheodorescu博士たちは、どの遺伝子が不活性になると膀胱癌を引き起こすかを調べるため、膀胱癌細胞モデルで遺伝子を一つずつオフにした。

沈黙させた遺伝子の大部分は差をもたらさなかった。それらは腫瘍の増殖に機能的に関連がなかった。

しかし、このゲノム全体のshRNAスクリーニングでTheodorescuたちがAGL遺伝子をオフにすると、劇的な結果が生じた。

「マウスモデルに接種された腫瘍で、成長することが可能だったのはAGLが低下した細胞だけだった」、Theodorescuは言う。

他の成長に成功した腫瘍で低下させた遺伝子にはINMT、OSR2、ZBTB4、GPR107等があったが、AGLを減少させた腫瘍は他をはるかに追い越した。



興味深いことに、AGL(Amylo-Alpha-1, 6-Glucosidase, 4-Alpha-Glucanotransferase)遺伝子は、糖原病III型(glycogen storage disease; GSDIII)という遺伝性の肝疾患でも変異する。

GSDIIIにおいてAGLの喪失は効果的にグリコゲンを処理することができない細胞を作り出し、過剰なグリコゲンが肝臓に蓄積する。

膀胱癌のAGL低下とGSDIIIに関するヒントの発見で、TheodorescuはAGLがどのようにして癌成長を引き起こすかという問題に着目した。

研究チームは癌細胞でAGLをオフにすることに反応して変化する全ての遺伝子を分析し、その細胞が酵素SHMT2の産生を増加させることを確認した。

SHMT2(Serine Hydroxymethyltransferase 2)は、細胞がグリコゲンをグリシンに加工できるようにする。TheodorescuはSHMT2が膀胱癌細胞でも増加し、より多くのグリシンの産生につながることを発見した。

先行研究では、グリシンが腫瘍細胞の急速な増殖のために必要とされることが示されていた。したがって、AGLが低下するにつれてグリシン合成は増加し、腫瘍は増殖することがより容易になる。



このメカニズムの臨床的な関連を発見するために、Theodorescuと同僚は、ヒト膀胱癌患者561人のサンプルでAGLとSHMT2の発現を見た。案の定、AGLが低い患者は、AGLが高い患者よりも予後が悪かった。

研究グループはマウス・モデルでも同様の影響を観察した。AGLをサイレンシングすると膀胱癌マウスモデルは細胞の成長が増大し、新しい血管形成の率が約2倍になった。血管形成は新しい腫瘍に栄養分を供給するために使われる。

記事供給源:
上記の記事は、コロラド・デンバー大学によって提示される資料に基づく。

学術誌参照:
1.グリコーゲン蓄積症で失われるグリコーゲン脱分枝酵素の、腫瘍増殖での役割。

JNCI Journal of the National Cancer Institute、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/04/140404221902.htm

<コメント>
膀胱癌と糖原病III型という疾患にはAGLという遺伝子の変異が共通していたという記事です。

癌細胞の急速な増殖にアミノ酸のグリシンが必要なことは以前にも示されています。

http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/c26194076eacee5137fe9259e6baf530

>「癌の代謝の役割に対する関心が大きくなっているが、現在までの多くの研究は1つか2つの非常に特定の経路にのみ焦点を合わせてきた。」、ハーバード医科大学とマサチューセッツ総合病院の教授でシニア著者のVamsi Moothaは言った。

>「我々は先入観のないアプローチをとって、代謝の全てを確かめた。そして、グリシン経路が現れた。」

>細胞外のグリシンだけを除去すると、増殖の早い癌細胞LOX IMVIの増殖は低下したが、増殖の遅いA498では低下しなかった。

>グリシンを合成するSHMT2の活動を停止させて、細胞外のグリシンを除去すると、HeLa細胞の増殖は遅くなった。

2014年9月11日

2014-09-25 06:13:15 | 

Fat遺伝子とミトコンドリア:
驚くべき細胞の連結は、エネルギー・コントロールに新しい光を与える

Fat gene and mitochondria:
Surprising cellular connection sheds new light on energy control



ルーネンフェルト-タネンバウム研究所のヘレン・マクニール博士たちは、ショウジョウバエのfat(ft)遺伝子の突然変異に注目した。この遺伝子によるタンパク質の産物はFatと呼ばれ、細胞膜において細胞間の接着とコミュニケーションを促進する。

fatの突然変異は細胞の過剰な成長と腫瘍につながることがあり、これは部分的にはHippo経路を通じて起きる。Hippo経路は乳癌や肝臓癌、卵巣癌などの癌でしばしば活性化される経路である。

Fatタンパク質は細胞表面で働くと一般的に考えられているが、研究チームはFatタンパク質の一部が切断されてミトコンドリアに届けられることを初めて発見した。

重要なことに、Fatが失われるとミトコンドリアは不安定になり、それはエネルギー産生の喪失につながる。ミトコンドリアが適切に働くのを止めると、細胞には効率的なエネルギー源がもはや存在しない。

細胞は必要とするエネルギーを発生するために解糖系へと切り替える。それはワールブルク効果として知られる。腫瘍細胞の解糖系の効率は、正常な細胞と比較して最高200倍も高い。

記事供給源:
上記の記事は、ルーネンフェルト-タネンバウム研究所によって提示される資料に基づく。

学術誌参照:
1.非定型カドヘリンのFatカドヘリンは、ミトコンドリア機能と代謝性状態を直接調節する。

Cell、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140911163223.htm

<コメント>
ショウジョウバエのFatカドヘリンという巨大な接着分子は、ミトコンドリアの機能を直接調節しているという記事です。Fatカドヘリンの一部は切断されて、電子伝達系の複合体Iの形成と安定化に寄与します。

哺乳類にはFat1Fat2Fat3Fat4が存在していますが、Fatと近いのはFat4です。



2014年9月21日

2014-09-23 11:57:32 | 

癌細胞はエネルギーの必要性を適応させて、疾患を他の臓器に広める
Cancer cells adapt energy needs to spread illness to other organs



癌細胞はなぜ転移するのか?

スパルタを思い出そう。古くからのギリシアの軍人は、遠い場所での戦いに必要となる、適切に準備された特別食を供給された。

新しい研究によれば、転移する癌細胞は同じことをする。

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者は、最初の腫瘍で成長し続ける癌細胞と他の臓器に移動する癌細胞の異なる点を明らかにした。

その2種類の癌細胞は「エネルギーの必要性」が異なっている。



この違いの理由は、細胞の代謝の調節にとって重要な転写活性化補助因子(transcription co-activator)の一つである「PGC-1α」が原因である。

PGC-1αは、癌細胞がどのように独特のエネルギー源を獲得できるかという点に関与すると思われる。この独特のエネルギー源、つまりミトコンドリアは、癌細胞が移動して肉体に癌を蔓延させることを可能にする。

「新しい治療戦略は、癌細胞の代謝だけに存在する独特の脆弱性に集中し始めている。浸潤する癌細胞の代謝的な要求を確定することは、治療的な価値がありえる」、MDアンダーソンの癌生物学助教授で、Nature Cell Biologyの論文の筆頭著者、ヴァレリーLeBleu博士は言う。

「浸潤する癌細胞は他の部位への移行の間、ミトコンドリアに依存することを我々は発見した。」



癌細胞は、新しいミトコンドリアの成長を刺激するためにPGC-1αを使う。ミトコンドリアはATPを作り出す「エネルギー・プラント」であり、このエネルギー「通貨」は細胞が成長するために用いられる。

また、転移する細胞は、酸化的リン酸化として知られているプロセスに関してPGC-1αに依存する。酸化的リン酸化は、癌細胞の移動の間、ATPの産生を急増させる。

もしミトコンドリアはキッチンであるならば、PGC-1αはシェフ、ATPは料理であり、酸化的リン酸化はその重要な材料である。

このミトコンドリア呼吸というプロセスは、癌細胞が敵対的な行程を耐えぬくために必要とするエネルギーを利用することを可能にする。このエネルギーは、癌細胞が腫瘍と正常な組織を通過して、血管から新しい臓器へと侵入する行程に必要である。



換言すれば、いくらかの癌細胞は「自宅」で食べるようにプログラムされ、その他の癌細胞は特別食を食べ、他の部位に移動することが可能になる。

移動する癌細胞が事前に昼食を包むのを止める治療的な方法があるなら、それは、癌細胞の「旅行」をもしかすると終わらせることができるかもしれない。

癌細胞のPGC-1αを抑制することは、これを達成するように思われる。

「最も危険な癌細胞は、効果的に移動して、新しい「家」を発見することができる」、癌生物学の教授、Raghu Kalluri医学博士は言う。

「我々の研究は、乳癌患者の浸潤する癌細胞のPGC-1α発現と、遠隔転移の形成の間に強い相関を明らかにした。」

記事供給源:
上記の記事は、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターによる素材に基づく。

学術誌参照:
1.PGC-1αは、癌細胞においてミトコンドリア生合成と酸化的リン酸化を仲介して転移を促進する。

Nature Cell Biology、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140921144943.htm

<コメント>
癌細胞はブドウ糖と解糖系しか使わないとなぜか信じている人たちがいるようですが、とりあえずミトコンドリアは使えるようです。


2014年9月15日

2014-09-17 08:51:13 | 

再発現したメラノーマの胚性シグナル経路は、異なる受容体を利用する
Re-expression of an embryonic signaling pathway in Melanoma utilizes different receptors



脊椎動物の発達の早い段階では、成長因子のNodalは正常な成熟のために重要であり、Nodalは組織の成長とパターン、そして位置を管理する。

Nodalは胚性幹細胞(embryonic stem cells)の多能性を継続することにおいて重要な役割を果たし、肉体を構成する3つの胚葉(germ layers)のいずれかに分化させる幹細胞の能力にとって必要である。

いくつかの悪性の癌および転移性の癌ではNodalが再発現しており、メラノーマのような腫瘍細胞の自己複製と幹細胞様の特徴の維持において重要な役割を果たすことが判明している。

しかし、メラノーマ細胞によって利用されるNodalシグナル経路の受容体は、大部分は裏付けに乏しく(anecdotal)調査されないままである。



メアリー J.C.ヘンドリクス博士の新しい発見によれば、胚性幹細胞と転移性メラノーマ細胞は「タイプIセリン/トレオニン・キナーゼ受容体」の類似したレパートリーを共有するが、「タイプII受容体」の発現は異なる。

更なる実験で、転移性メラノーマ細胞と胚性幹細胞は、Nodalシグナル伝達に関して異なる受容体を使用することが示された。

ヘンドリクス博士は、次のように指摘する。「Nodalを発現している腫瘍細胞は、従来の治療法にはあまり反応を示さない。これは、最前線の治療に加えて腫瘍内のNodalサブ集団を目標とする組合せのアプローチは、悪性の癌を治療するためのより合理的なアプローチであるという前提を裏づける。」

学術誌参照:
1.悪性のメラノーマと胎児性幹細胞の間のNodalシグナル伝達の相違。

International Journal of Cancer、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140915095901.htm

<コメント>
転移性の悪性メラノーマでは胚性幹細胞と同様のNodalシグナルが発現していて、しかしNodalの受容体の発現は異なっているという記事です。

Abstractによると、タイプIセリン/トレオニンキナーゼ受容体は両者に共通ですが、メラノーマはTGFβ受容体Iと受容体IIのヘテロ二量体を利用し、胚性幹細胞はアクチビン受容体Iと受容体IIを使うとあります。

さらに、メラノーマのTGFβ受容体IIの発現は「血管擬態(vasculogenic mimicry)」を誘導して、血管を新生することなく血液の灌流を可能にしてしまうようです。


2014年9月11日

2014-09-14 18:48:20 | 

メラノーマの進行と関連する遺伝子突然変異
Genetic mutation linked to melanoma progression



転移性のメラノーマでは、BRAFV600Eという遺伝子の突然変異が頻繁に見られる。

ダートマスの研究者の報告によれば、この変異はメラノーマの成長を促進するタンパク質を分泌させるだけでなく、腫瘍の周辺にいる正常な細胞のネットワークを修正して疾患の進行をサポートさせることも可能である。

「本研究は、腫瘍の微細環境に存在する正常な細胞と「トーク」する腫瘍細胞の重要性を裏づける」、ダートマスガイセル医学部のChery A.ホイップル博士は言う。

「腫瘍細胞を目標とした特異的な治療法により分泌タンパク質を低下させることは、腫瘍の悪性の行動を低下させ、疾患進行を阻害することができる。」



早期のメラノーマは治癒するが、後期の垂直増殖期(vertical growth phase; VGP)はしばしば転移性であり、生存期間の中央値は9ヵ月未満である。

このステージへ進行するメラノーマはBRAFV600Eという遺伝子の突然変異としばしば関連する。この変異はメラノーマのおよそ50パーセントで見られる。

このBRAF突然変異は、多くの細胞プロセスに関与する酵素の経路を活性化する。



ダートマスの研究者は遺伝子工学によるメラノーマ細胞系統と異種移植マウスモデルを用いて、BRAFV600Eメラノーマ細胞はいくつかのサイトカインの発現が高いことを発見した。

さらに、マトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP-1)の発現も高かった。MMPは組織の修復と転移を含むさまざまなプロセスと関連する。



また、彼らの研究はBRAFV600EとMMP-1の機械的な(mechanistic)つながりを示唆しており、それはメラノーマ腫瘍を囲んでいる「正常な細胞」のネットワークを変更して、腫瘍の増殖と発達をサポートさせる。

BRAFV600E突然変異を目標とする治療薬のベムラフェニブ(Vemurafenib)は、この相互作用を活性化するために必須であるいくつかのタンパク質の発現を低下させることが可能である。

「腫瘍微細環境(tumor microenvironment; TME)を活性化するために必須であるいくつかのタンパク質の発現をベムラフェニブが低下させることができることを我々のデータが示すと仮定すれば、次の段階はベムラフェニブがTMEを正常化できるか、またはそれが活性化されないようにできるかどうかを問うことだろう」、ホイップルは言った。

記事供給源:
上記の記事は、ノリス・コットン癌センター、ダートマス-ヒッチコック・メディカル・センターにより提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.BRAFV600Eメラノーマ細胞は、ストロマ線維芽細胞を活性化して腫瘍形成能(tumorigenicity)を増強するファクターを分泌する。

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140911124508.htm

<コメント>
Abstractによれば、V600E変異メラノーマはIL-1β、IL-6、IL-8、MMP-1の発現が高く、さらに周囲のストロマ線維芽細胞を活性化してSDF-1とその受容体のCXCR4を発現させるとあります。


2014年8月29日

2014-09-10 08:11:19 | 

癌の『触手』の形成の阻止は、危険な浸潤を止める
Preventing cancer from forming 'tentacles' stops dangerous spread



カナダエドモントンのアルバータ大学のジョン・ルイス博士と、ロンドンのローソン健康研究所の新しい研究は、「浸潤突起(invadopodia)」が癌の浸潤において重要な役割を果たすことを確認した。


癌が浸潤して転移するためには血流かリンパ系に入らなければならない。

しかし、その最終的な「出口」は、転移のプロセスでほとんど理解されていない。



以前、癌細胞は「浸潤突起」を作り出して彼らの環境を作り変えることが示されていたが、癌細胞の血流からの脱出における浸潤突起の重要性は不明だった。

今回の研究ではテストモデルの血流に蛍光で発光する癌細胞を注入して、高解像度の低速度撮影によりこれらの細胞の運命を捕らえた。

その結果、癌細胞が浸潤突起を形成して、血流の外にある周囲の組織に到達することを確認した。彼らは「触手」を形成し、それは腫瘍細胞が臓器に入ることを可能にした。



しかし科学者は、遺伝子変異または薬物治療により、浸潤突起を形成するために必要なファクターを妨害することが可能だった。

学術誌参照:
1.浸潤突起は癌細胞の血管外遊出のために必要であり、転移の治療目標である。

Cell Reports、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/08/140829175428.htm



<コメント>
前回の記事のような血液中を循環する腫瘍細胞(CTC)が、血管外に遊出(extravasation)して転移するためには、コルタクチン(cortactin)やTks4/Tks5による浸潤突起と、MT1-MMP(MMP19)が必要であるという記事です。


2014年8月28日

2014-09-10 06:19:54 | 

血液中を循環する腫瘍細胞クラスターは、単一の腫瘍細胞より転移を引き起こしやすい
Circulating tumor cell clusters more likely to cause metastasis than single cells



マサチューセッツ総合病院(MGH)癌センターの研究によると、循環血液中の腫瘍細胞(CTC)クラスターは2個から50個までの腫瘍細胞のかたまりである。それは一次性の腫瘍と別れて血流で運ばれ、単一のCTCよりもずっと多くの転移を引き起こしそうである。



研究チームは、CTCチップと呼ばれるマイクロ流体装置の2つのバージョンを使用した。それは科学的に分析をしやすい方法で血液サンプルからCTCを捕らえることができる。

そのバージョンの1つ、HBCTCチップは、血液サンプルで非常に希薄なCTCを効果的に捕えることができる。

別のバージョンのCTC-iチップは、以前特定された腫瘍抗原には頼らないCTCを急速に分離することが可能で、HBCTCチップの抗体による捕獲では見落とされたCTCを、遺伝子発現パターンにより捕獲する。



乳癌の動物モデルによる一連の実験で、以下が明らかになった。

・CTCクラスターは、おそらく一次性の腫瘍でお互いに隣接していた細胞で構成される(血流に入った後に増殖した細胞ではない)

・CTCクラスターは、全CTCの2~5パーセントにもかかわらず、移植された乳癌から肺への転移の約半分に寄与した。これは単一のCTCと比較して23倍から50倍の転移能を示す。

・マウスに注入されたCTCクラスターは、単一CTCよりも多く生き残り、そしてクラスターから発達した転移は生存を著しく低下させた。

・CTCクラスターは、単一のCTCよりも急速にマウスの血流から消える。それはおそらく転移を起こした毛細管にはまり込むためだろう。



様々なタイプの進行した転移乳癌の患者から数回にわたって得られた血液サンプルの分析では、患者の35パーセントの血液でCTCクラスターが発見された。そして血液中にCTCクラスターの数が多いほど、生存は著しく低下した。



乳癌患者からの単一CTCおよびクラスターCTCのRNA配列決定では、CTCクラスターで高レベルに発現するいくつかの遺伝子を特定した。

そのうちの1つはプラコグロビン(plakoglobin)というタンパク質で、生存率が低かった患者の一次性腫瘍で過剰発現していた。

プラコグロビンは細胞間接着に関係する2つの重要な構造の成分である。その発現を抑制すると、CTCクラスターは崩壊し、転移の可能性が低下することが判明した。

記事供給源:
上記の記事は、マサチューセッツ総合病院により提供される材料に基づく。

学術誌参照:
1.循環血中の腫瘍細胞クラスターは、乳癌転移のオリゴクローナル(oligoclonal)前駆体である。

※monoclonal / oligoclonal / polyclonal: それぞれモノクローン性(モノクローナル)、オリゴクローン性(オリゴクローナル)、多クローン性(ポリクローナル)。増殖した細胞が由来する細胞数に関して用いられる

Cell、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/08/140828135519.htm



<コメント>
互いに接着してクラスター化した循環血中の腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell; CTC)の転移能は50倍にもなるという記事です。

記事中のCTC-iチップ。


関係ありませんが、今使っている翻訳ソフトの訳がメチャクチャすぎてたまにびっくりします。例えば次の文。

"Circulating tumor cell (CTC) clusters -- clumps of from 2 to 50 tumor cells that break off a primary tumor and are carried through the bloodstream -- that appear to be much more likely to cause metastasis than are single CTCs, according to a study from investigators at the Massachusetts General Hospital (MGH) Cancer Center."

これをそのまま訳させると、

「循環血中の腫瘍細胞(CTC)は、クラスター形成する-2から一次性の腫瘍を離れて切断して、血流 ― マサチューセッツ総合病院(MGH)癌センターの研究者からの研究によって、単一のCTCであるより、ずっと多く転移を引き起こしそうであるように見える ― を通して持たれている50の腫瘍細胞まで凝集する。」

うーん、、文の構造をまったく把握できていません。

パーソナル用とはいえあまりに酷すぎて翻訳ソフトと名乗っていいのかというレベルですが、このソフトは定価が10万円もします。もうちょっと安い方がいいのではと余計な心配をしてしまいます。