日本のゆくえ

日本の経済と、日本人の精神はどこへ行くのか? 新自由主義社会に反乱を起こし、生き残るためのブログ

誰に増税し、誰に減税するのか?

2008-09-11 05:48:12 | Weblog
総裁選の演説で、与謝野馨が「安定財源は消費税しかない」といって、わざわざフリップを書き直して、自分が目指すのは欧州型であるという説明をしていました。

全く、ふざけています。

実はどのように景気回復と財政再建をさせるかという話しは、「増税か、減税か」だけでは説明が付かないのです。

これは、先日のNHK「日本のこれから-税金」でも、抜けている部分だったのですが、所得層に応じて、又は資産層に応じて、増税と減税を使い分けなければならないのです。

もし消費税について、食料品や安い衣類などはゼロにして、贅沢品には高い課税をかけて、昔の物品税と同じにするなら、累進制も残っていますし僕も反対はしません。

日本の消費税は、欧米のどこもやっていないような一律課税ですから、給料の殆どを使わざるを得ない低所得者ほど課税率が高くなるのです。

所得税にしても、ちょっと前まで75%であった累進課税の最高税率が、先進国でもっとも負担の軽い40%になっています。住民税などは、一昨年に累進制を取っ払って、金持ちも貧乏人も一律10%にしてしまいました。

所得税課税最低限というのがありますが、これも先進国でもっとも低い層にまで課税をさせています。

企業で言えば、法人税は30%なのですが、大企業に有利な開発控除などの枠を大きくして実際には10%程度しか課税していません。

中小企業は、赤字経営の欠損法人が多いので法人税など払っていないではないかといいますが、長年の大不況や、大企業に利益を締め付けられていたのでは課税対象になる利益なんて、出せるはずがないでしょう。

あげくの果てに、企業が支払う消費税の課税最低限は、小泉時代に3000万円から1000万円に引き下げられました。この増税の対象になる売り上げの少ない中小零細は少なくなかったのですが、50万円~150万円の消費税を納めなくてはならなくなったのですが、食うや食わずのところに生活費の何ヶ月分もの所得を失ってしまうので、これほど酷い増税はありませんでした。

相続税と、贈与税の最高課税率は両方ともに、平成15年に70%から50%に引き下げられています。

または、高級酒の酒税を安くして、焼酎や発泡酒の税金は高くしてきました。

さて、一息ついて、以上を鑑みてみましょう。

僕が何度も言うように、自民党には「金持ち減税、貧乏人増税」というハッキリした意志方向性があります。

与謝野の言う、一律に増税して欧州型社会に近づけようなんていうのは嘘っぱちです。取られるだけ取られて、返って来やしませんから。

貧乏人からお金をふんだくって、金持ちの負担を軽くするなんていうのは、再分配を行うべき国家としては最低行為でしょう。

日本経済復活の会にもそういうところがありますが、自民党の総裁選には、誰を対象に増税し、減税するかという視点がまったく欠けています。

9年連続のサラリーマン所得が減少したといっても大企業の人間にはピンと来ないという視点を、大企業以外の大勢は知りません。僕は両方知っていますが、彼らは毎年給与が上がっていましたし、賞与も組合要求の満額に近い金額を得ていました。正にいざなぎ景気を超える史上最高益はこの層だけに来ていたわけで、その間、大企業役員の報酬は2倍になり、株主配当は3倍になっています。

福田首相が経団連にサラリーマンの給料を上げてくれと、頭を下げにいった話しは印象的でしたが、経団連は今後、さらにその層に減税し、中小零細企業に働く者から消費税を増税して取ろうとしています。

「溺れる者は藁をもつかむ」の言葉通り、麻生氏が総裁選に出るので自民党を応援したくなる気持ちも分からないではないですが、経営不振の経営者は最後に頭がおかしくなって、騙されてしまうことが多いのです。僕には、麻生氏を応援してしまう一般の人々もそう見えて仕方有りません。

福田首相じゃないけど、自分自身を客観的に見られなければだめなのです(笑)