「懐かない猫を飼う意味があるのか。」
昨日紹介したある記事のコメント欄で大勢を占めた意見です。実際、「猫を飼ってよかったこと」ランキングでは「懐いてくれたこと」が第2位を占めた。(AllAbout、情報元pepy) さて、懐いてくれない猫は一緒に暮らす意味がないのでしょうか。
ちび太とリン
今からちょうど4年前、「ニャン好き恋愛論」という記事を書きました。猫好きさんを(人間の)恋愛感情に合わせて2つのタイプに分類したのです。Aタイプは相手を自分の傍に置きたがる自分本位タイプ(独占欲)。Bタイプは相手が幸せそうなら安心する他者肯定タイプ(敬意)。いかにもAタイプが悪者っぽいけど、聖人君子でもない限り人はもともとAタイプなんです。子供時代の昆虫採取から始まって、とにかく好きなものを自分のものにしたがる。でも、何かのきっかけで命の尊さを認識することで、人はBタイプに代わるのです。
Aタイプの猫好きさんは愛情がとても強く、あれこれと直接面倒みたり注意したりでお金に糸目をつけない人も多い。ただ過干渉になりやすいのが欠点。血統書志向だったりきれいなおべべ着せたり小さなケージに入れたり、美容を気にして食事制限する人はAタイプに多い。一方Bタイプの猫好きさんはトイレ掃除など間接的な面倒はよく見るけど、基本は放任主義。猫の自由を尊重し、愛情は強いけど表現は控えめ。リスク承知で中外飼いする人はこのタイプに多い。実際にはAかBということではなく、中間的な人も多いでしょう。
キーとクウ
問題は猫にとってどうかということだ。日本は欧米と違ってアニマルウェルフェアの意識が低く、"動物福祉後進国"と言われています。(お隣にもっとひどい国があるので目立たないけど。) 猫と暮らしている人にはBタイプも増えつつあるけど、全体としてはまだまだ圧倒的にAタイプが多いのです。Aタイプの傾向が強い人ほど猫にストレスを与えていることは、最早言うまでもないこと。
チキン
さてここで、養老先生の再登場。(過去記事「キジロの異変と養老先生のまる」)
先生曰く。猫なんて何の役にも立たない、手間ひまと迷惑かけるだけの存在なんです。でもそんな猫らしく生きるちっぽけな存在に、人はどれだけ心を癒されていることか。それは結局、役に立つか儲かるかといった存在ばかりが重視される社会で、実際の人間関係の辛さの裏返しなのではないか 。
そうなんです。人が猫に癒されるのは、猫が人に何かをしてくれるからではない。猫が猫らしく生きている姿にこそ人は癒されるのです。まさに、それが猫の天性なのでしょう。
シロキとポニー
しかしその猫が過度に自由を奪われ、ストレスを溜めた状態であるなら、猫の天性を発揮するどころか鳴き続けたり困ったちゃんになってしまう可能性だってある。そんなことになったら当の猫ちゃんはもちろん、癒しを味わえないでいる保護者さんにとっても不幸なことだと思うのです。
懐かなくたって、猫と暮らす意味は大いにあります。猫らしくいるだけで人の心を癒してくれるのだから。ちなみに、冒頭で紹介したランキングアンケート、圧倒的な第1位は「癒される」でした。
ニャー
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