今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

ノラたちとの共存を目指して その8 地域猫問題・続編「殺処分0に向けて」(目標達成のために必要なこと)

2022年11月30日 | シリーズ:ノラたちとの共存を目指して
ようやくここまできました。このシリーズを書き始めたときに予告した当面のゴールです。ポンやソトチビから始めたノラたちとの付き合い。その過酷な生活を知り、どうすれば彼らを救い彼らと共存することができるのか。得た知識から具体的な考え方や行動の道筋を示すことができれば、そう思って始めたこのシリーズ。当面のゴールまでに必要な議論として、その1からその8までを設定したのでした。ただし真のゴールは違います。その後「その10」として追加したように、ノラ猫は人間の「捨て子」と同じで本来あってはならない存在。それが真のゴールです。

その話は今後その9と10で展開することになるのですが、今回は地域猫活動の話。初回記事(その1)以来になる続編です。その1では地域猫活動のコンセプトは認めつつ、現状での効果については懐疑的に書いた。その後の5年近くの間に現場見分を含めた非常に多くの、しかも否定的な考えも含めた様々な情報を得、本シリーズの番外編や場外編その他多くの記事の中でこの問題に触れてきました。そして今は、やはり5年前と同じ認識ですが、より具体的に問題点を把握できたと思っています。

家裏のノラの守り神・みう

地域猫活動は全国殆ど全ての自治体が奨励している活動です。その狙いははっきりしていて、殺処分を減らし最終的にはなくすこと。住民側としてはノラ猫を減らしなくすことが目標です。1999年に横浜市職員の黒澤氏による発案とあるので、まだ比較的新しい取り組みです。現状、この活動に関しては賛否両論ネットに溢れていますが、Wikipedia にその課題がよくまとめられているので参照してみて下さい。

理論的には、この活動は動物愛護の観点からノラ猫を減らす方策として現時点で実行可能な取り組みだと思います。しかし実際には、日本や米国をはじめ海外でもうまくいった報告は大変少ない。なぜうまくいかないのでしょう。これもネットにさんざん出てきますが、Yahoo知恵袋の関連スレッドのアンサーによくまとめたのがいくつかあります。それらも参考にして自分なりにまとめてみると;
1.ある地域で行ってもノラの数が減ったり、"いい餌場"と認識されることで周辺地域から新しいノラがやって来る。(バキュームイフェクト)
2.少しでも罪悪感から逃れようと、地域猫活動の場が猫捨てに狙われ易い。
3.猫が人間を信頼するようになるので、反対意見者や変質者に狙われやすく、猫との信頼関係を保ちにくい。
4.一部ボランティアさんやエサやりさんが猫優先にして住民への配慮に欠け、軋轢を生じる。また、そのことでボラさん同士やエサやりさんとの間でも軋轢が生じ、長期間まとまりを維持することが難しい。

上記のうち、3と4は人間の心がけの問題だ。自治体によっては「近隣住民の理解と合意を前提とする」などとガイドラインに入れていますが、言うまでもなく100%合意など不可能です。自分としては有効得票の25%超えれば進める価値はあるし、50%超えれば結構有望だと思います。また千葉市のように「近隣の方への説明を怠らない」に留めるのも前向きだと思います。実際問題としてこのことは猫のためにも大変重要で、とりわけ数年に及ぶ活動の過程で人の入れ替わりも多いことが想定される中で、行政もボランティアも心しておく必要があります。ちなみに、"猫と人間の信頼関係"というのは大変重要なファクターで、これがないとこの活動は長続きしません。

2については「見回りを強化する」なんて記したサイトが目につくが、そんなことでは甘すぎる。この活動がうまくいかない要因のひとつです。猫捨ては紛れもない法律違反なのだから取り締まるのは警察であり、どんどん起訴して最高刑(罰金100万か1年の懲役刑)にする以外、なくす方法はありません。警察の手が回らないのなら告発を前提とした見回りを行う必要もあるだろうけど、犯罪者を野放しにしないという点で基本的には国家や自治体が考えるべき問題であり、それらを動かす以外に方策はない。その際、地域猫活動に否定的な人たちとの共同もひとつのポイントになるはずです。

いちばん厄介なのが1番目の問題だ。本来この活動は、地続きなところでは一斉にやらないと効果が得難いからです。この活動を始めたらバキュームイフェクトや猫捨てでむしろ増えてしまった、なんてこともあり得るのです。もちろん他所から来るノラをブロックするなんてことはできません。しぶしぶ黙認していた猫嫌いさんにしてみれば冗談じゃない話だ。活動するボラさんたちにとってはここが我慢のしどころです。根気よく説明し、TNRを繰り返すしかないのだと思います。サイトによっては、サクラ耳以外のノラにはご飯をやらないなどと提案しているが、とんでもない話。何のために、誰のためにこの活動をしているのか原点に戻ればわかる話だ。当ブログの別のシリーズにもあるように、餌をやるなと言うくらいなら殺せと言った方がよほどわかり易いし、その人間の立ち位置がわかるというもの。偽善的発言を見抜いて告発することも、この活動には必要なことなのだと思います。

お店のノラの守り神・テン

以上のように、地域猫活動が効果をあげて全国で積極的に取り上げるようになるまではまだまだ時間がかかりそうだ。今、心ある人たちにできることは、周辺のエサやりさんも含めた活動内部の抜群のチームワークを作り上げ、全国の見本となることだと思います。今は残念ながらチーム内の連携はいざ知らず、チーム間の連携は殆どないか、むしろ軋轢の方が多いように見える。自分たちの周辺にいるエサやりさんなどに対して排他的になっていませんか? 自分たちのやり方を押し通そうとしていませんか? 今一度初心に帰り、ノラたちのためにこの活動をしているのだという原点に戻れば、全国のボラさんたちが連携することも夢ではないと思います。

今は空前の猫ブーム。過酷な外で暮らすノラたちをかわいそうと思う人たちも滅茶苦茶に多い。その人たちをまとめ上げ、巨大なムーヴメントを起こすきっかけとなるような何か(誰か)が最も期待されるところです。

店時代のニャー

「ノラたちとの共存を目指して」目次  ※予告編(期日未定)含む
その1  資料編「現状と動向調査」(追記:餌やり、地域猫問題) 2017.2.27
その2  現場編「ノラを守るのに理由は要らない」(報道されたボラさんたち) 2017.5.31
その3  エサやり問題・続編「裁判事例の検証・他」(司法が肯定したもの、否定したもの) 2017.8.31
その4  一服編「ノラだからこそ・・かわいい!」(ニャー&みう+テンちゃんの日常) 2017.11.30
その5  闘魂編「許さない、虐待に不法投棄に暗闇ビジネス」 2018.4.29
その6  原点回帰編「再確認・人間性とは?」(食肉、動物駆除と保護活動) 2018.8.31
その7  形而上学編「ノラの幸せとは」(シャッポやソトチビの行動に想う) 2020.1.31
その8  地域猫問題・続編「殺処分ゼロに向けて」(目的達成のために必要なこと)
その9  理想追求編「殺処分ゼロの先にあるもの」(対等の精神と真の共存)
その10 最終章「共存の終焉」(ノラのいない社会)
番外編
番外編1「罪と罰」(法の実行と刑罰の妥当性) 2019.3.29
番外編2「動物愛護の精神を問う」(餌やり議論の本質) 2019.10.31
番外編3「エサをやるなは殺せと同じ・第3弾(前編)」(特別加入) 2020.6.30
番外編4「エサをやるなは殺せと同じ・第3弾(後編)」(特別加入) 2020.8.31
番外編5「政治とメディア」(ノラたちの未来を決める人たち) 2021.1.31
番外編6「保護に奔走する人たち」(その2とその6の補足)
場外編
場外編1  猫の煩悩とはこれ如何に 2021.7.10
場外編2  続・死刑に処すべし? ~死に体・動物愛護法の復活を期して~ 2021.7.21
場外編3  どうしてこんなに軽いのか <続・続・死刑に処すべし> 2021.11.10
場外編4  メディア批評、の・つもりが・・(国民の鏡としてのメディア) 2021.11.24
場外編5  社会の闇 (残存する「当たり前のように猫を捨てる文化」) 2022.6.29
場外編6  ジレンマ(猫捨てを補完するノラ保護活動)2022.7.31
コメント
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