アートセラピストのイギリス便り

アートセラピスト間美栄子のシュタイナー的イギリス生活のあれこれを綴った友人知人宛のメール通信です。

第二十八話. 夜の特別講義

2009-02-11 16:40:29 | イギリスでの暮らし

* 秋も深まってきましたね。ここ数日の霜でAsh(トネリコ)の木は葉っぱをいちどきに落として公園の道につもらせています。
ぷくんと膨らんだスカートのように見える、フーシャは、まだ花を咲かせています。花の季節が半年もあるこの花木はこちらではとてもポピュラーで、うちにも赤、白、ピンクと3本の木があり、毎年たっぷり楽しませてくれています。

第二十八話. 夜の特別講義

ロンドン大学の大学院でアートサイコセラピィを学んだときは、週二日の大学での講義、ブリストルの精神病院での二日間の実習、症例研究の論文書き、さらに必須の自分自身のサイコセラピィ、そして週末のアルバイトと、ぎっしりの一週間で、二年を過ごしました。
毎週毎週、朝五時の長距離バスでロンドンに通うのが、寒くて眠くてつらかった。

シュタイナーハウスの掲示板に、「太極拳のレッスンとの交換で週一泊の宿求む」と広告したところ、ある男の人がそれに応じてくれました。
その人のアパートにはペンダントの明かりはなく、電気スタンド。お茶を沸かす水はお風呂の蛇口から。料理は電気トースターで。どうやってもいけるもんだと、慣れた頃、大学院のクラスメートでハーフ香港人の人が、「わたしの母のところに泊まったら」と言ってくれました。 

訪ねていくと、そこはロンドンの高級住宅地の一角で、家中ふかふかのベージュの絨毯が敷き詰められており、吹き抜けの階段の手すりは金色に輝いています。キッチンは赤で統一されて、テーブルも椅子もカップもお皿もやかんもタオルも、みんな赤。私が泊まらせてもらう部屋は水色でまとめられていて、大きなお風呂もついている。キングサイズベットや豪華な家具。

そのお母さんはクリスチャンで、以来二年間、わたしは真夜中まで続く、神についての特別講義を毎週聴くということになりました。ちなみにこのファミリーは郊外にも家を持っていますが、広いお庭で、門から建物までの道が長かった。この財産は香港人のお父さんが一代で築きあげたものだそうですが、娘もそのお母さんも、それは神から与えられたものとして見ていました。
                     
(間 美栄子 2008年 11月1日 )



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