アートセラピストのイギリス便り

アートセラピスト間美栄子のシュタイナー的イギリス生活のあれこれを綴った友人知人宛のメール通信です。

第四十七話 ベルリン一人旅

2009-08-16 08:17:47 | 海外旅行

(River Avon)

*うちの窓から、帆船がすべるように川をいくのが見えます。ああ、いま満ち潮なんだなと、それだけでなんとなくうれしくなります。
AVON川は、世界でも2,3位と言われる満ち干の差の大きい川で、つまり、泥の川底に水がほとんどないような姿を見ることも多いわけです。それでも飽きることなく、夕飯を食べた後、川を見に出るのが私たちの日々のくらしです。

第四十七話 ベルリン一人旅

ある夏、ブリストル空港からイージージェットという超格安航空会社の飛行機で、ベルリンに一人旅をしたことがありました。

目的は第一次世界大戦、第二次世界大戦の両方を生きた女性彫刻家ケーテ=コルヴィッツの記念館を訪ねるためでした。ケーテの大きな彫刻は母親が子供を守っている姿などが多く、肝っ玉母さんのような強さと暖かさがにじみ出ていますが、ケーテ自身は息子も孫も戦争でなくし、うつ病であったといわれています。アートをすることで自分自身を支えてきた人生でした。

Wim Benders の映画「ベルリン天使の詩」を思い出しながら歩き回り、ベルリンの壁の跡地やユダヤ人博物館など、ベルリンそのものが大きな戦争史博物館のようで、ずいぶん圧倒されてしまいましたが、残念なことに、誰ともそれを分かち合うことができず、川のほとりのレストランなどで屋外のテーブルで語り合う人たちを見ては、一人旅はつまらないと思ったものです。

さらには、郊外にある強制キャンプをたずねた帰り、突然乗り込んできた切符の検閲に捕まってしまいました。持っていた1週間ベルリン乗り放題の切符ではだめで、二駅乗り越ししたということで、犯罪者扱いされ、パスポートを見せろと、さんざん脅され、一万円の罰金を取られ、ドイツ人女性は怖いなーと心に刷り込んでしまいました。(ベルリンでは切符を駅でチェックしないで、こういうふうに外国人を,カモにしているのですよ。)

ハンブルグに、もうひとり、エルンスト・バルラハという、これまたヒューマニティーにあふれた彫刻家の記念館があって、いつか訪ねたいのですが、ドイツ人のヒューマニティーを信じるには、まだすこし回復に時間がいるかもしれません。


(間美栄子 2009年 8月15日)


イギリスの四季の写真

2009-08-04 00:32:01 | Messages

               (かしの木)


このブログをごらんの皆さんへ

今までは友人のネフさんがブログ管理をしてくれていたのですが、今度から私が自分ですることになったので、ぼちぼち写真なども入れていきます。
どうぞよろしく。

間美栄子


第四十六話 ガーデナーズキャラバンへの里帰り

2009-08-03 06:41:38 | シュタイナー

* 庭ではいまバッデリアという野生の花木が咲いています。紫色の香りの強い大きな房の花は、蜂をひきつけるので、たくさんの蜂でにぎやかになるところなのですが、どうも今年は蜂が少ないようなかんじ。
農業にも欠かせない蜂たちが、絶滅の危機にあるといわれていますが、何とか、もっと自然環境に心を配り、守っていく方向に行きたいですね。
銀座の屋上で蜂を飼っているという話を耳にしましたが、これも発想の豊かさのなせるわざですね。



第四十六話 ガーデナーズキャラバンへの里帰り

11年前イギリスに来てはじめて住んだのは人智学の村、Forest Row のシュタイナースクールのガーデナーさん用のキャラバンでしたが、いかにも旅を続けているという感じで好きでした。新しく出会い、友達になったいろいろな国の人たちを招いて日本食のパーティをしたり。

当時Forest Rowのエマーソンカレッジにはたくさんの日本人がシュタイナーの哲学、アントロポソフィを学びに来ていました。普段はみんな忙しいけれど、日本に戻る前にはキャラバンに顔を出してくれて、話し込んだりしたのを覚えています。

そんなわたしにとっては原点とも言えるキャラバンに、私となずなはふた夏、里帰りしたことがあります。
ガーデナーさんに就任し私たちの後に入居したドロテアさんというドイツ人女性は音楽をする人で、ちょうど私の住んでいたストラウドでコースに参加するため、お互いの住まいを交換し、その間わたしはマイケルホールのスクールガーデンでアルバイトをすることになったのです。

朝は近くのオーガニックショップにレタスの出荷。夏休みでも無人の野菜売り場に学校の父兄たちが買いに来るので、お店に採りたての野菜をならべます。
ハウスの中のトマトのワキメかき。トマトの青いにおいが体に染み付くよう。バジルの摘み取り、うーんいい香り。なずなも一緒にスィートピーの花束づくり。
ズッキーニが毎日どんどん大きくなっていくのでさばききれず、夢にまでズッキーニが出てきて、うなされましたれど、野菜は食べ放題で、体の色が緑に変わるのではないかとおもうほど。

こんな私のつかのまの理想の暮らしは、もちろんドロテアさんの計画性、維持管理、そして暗くなるまで働く体力、気力があってのことで、わたしは美しく広大な畑にたたずみ、眺めては、ただただ、すごい女性だなと感嘆していました。

(間美栄子 2009年 8月1日)