(とあるオーガニックガーデンの夕暮れ)
*もう12月ですね。暗くなるのが毎日早まっていく今日この頃、みなさんはどんな気分で過ごしていますか?
私はアートセラピールームで、アドベントの、冬至(クリスマス)に向かってのムードについて話したり、水彩の青で中心が明るく、周辺が暗い絵を描いたりして、この季節を患者さんたちと味わっています。
第五十四話 光を見つめるしごと
先日見たニュースに、23年間もの間、こん睡状態にあると診断されてきた男性が、実は絶えず意識があったという話がありました。医者や周りの人たちの声は全部聞こえていて助けを呼びたいのに体は動かない。恐ろしいことに、このような誤診が世界中に多く存在するのではないかというのです。
私の勤めるリハビリの病院でも、脳卒中や交通事故にあった患者さんたちはみなこのこん睡状態の期間を経てきています。最初はベットに寝たきりだった人が理学療法を受け、体を起こし、車椅子に座れるようになり、立つ練習をし始める。それはまったく奇跡の様でもあります。
脳卒中で、思考は完全にはっきりしているのに体が一切動かず、声も出せない状態を‘Locked in’といいますが、この状態にあるひとりの女性の患者さんは、まぶたの動きでコミュニケーションをします。まぶたを上に上げると‘Yes’ でさげると‘No’。わたしたちセラピストや看護婦さんが文字盤を読み上げて一字づつ、綴っていきます。
アートセラピーの場面でも、絵筆が握られること、絵筆を自分で動かせること、と一見わずかな能力でも貴重となっています。
アートセラピーは紙の上に光を創り出していくことなのだと思っていますが、セラピストは、動かない体の中に閉じ込められた精神の光を信じ、見つめ続ける仕事なのだなと感じるしだいです。
(間美栄子 2009年 12月1日)
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新潟も富山も雪でしょうか。どうぞゆったりとすごしてくださいね。
セラピーを勉強したいそうですが、わたしはシュタイナーのアートセラピーと、アートサイコセラピー(イギリスの国家資格)と両方やってよかったなと思っています。大学院は南ロンドンにあるゴールドスミスでした。
35歳でスタートをして、15年、がんばって勉強してこれてよかったなあとしみじみ思います。
では、また。お元気で。
間美栄子
間美栄子