ムスカリ
*4月となりましたね。日本ではまた新しい始まりを迎えていることでしょう。こちらイギリスでは、どこでも黄色のレンギョウと、薄桃色のもくれんの花が咲いています。4月8日はイースターサンデーです。
わたしの家の庭はさまざまの花木と芝生で、もう出来上がっているガーデンなのですが、今年はつつじを植えたりして、更なる改善を試みています。隣家には竹の鉢植えもあるしで、結構、和風の庭といえるかもしれません。
第109話 多様性を尊重すること
このところ病院では、報告書書きで忙しかったのですが、患者さんのリハビリテーションの進展具合のレポートをそれぞれの部署に書いてもらって、それをまとめるという、リハビリテーションコーディネーターの仕事をしていると、それぞれの個性もさることながら、どうもインド人セラピストたちは、みなぎりぎりになってからレポートを書く傾向があるのではないかときずきました。
私などは、コンピューターやプリンターの調子やネットワークの具合などが悪かったら、ミーティングに間に合わないだろうから、と早めに仕上げておきたい、と思うのに、かれらは、そんなわたしの話には聞く耳は持たないので (普段から他人の話を聞かない傾向がある上、たぶん「Miekoは催促ばかりしてうるさい」と思っている)チームワークってほんとに大変、と思わされてしまいます。インド人の彼らは「火」で日本人のわたしは「水」みたいな、根本的な性質の違いというかんじです。
わたしも実際、5年前に帰省したとき、新幹線がほんの少し遅れただけなのに、まるで新調したばかりのような真っ白な制服を着た車掌さんがわざわざやってきて、ふかぶかとあたまをさげて謝罪している姿を見て、あらためて日本人の几帳面さに驚かされましたけれど。
文化によって、人の考え方や、価値観は、かなり違うものだな、何が正しいとか間違っているとか、ないんだなと、学ばされるのが、外国で暮らす利点かもしれません。
梨木香歩さんの「春になったら苺を摘みに」には、イギリスで梨木さんが下宿していた家の大家さんウエストさんと、その家のさまざまな下宿人たちのことが書かれています。特にアフリカのナイジェリア人の下宿人のお話には、驚かされるほどの考え方の違いが描き出されています。これだけ違う価値観の人たちを受け入れることが出来る大家さんのウエストさんとは、なんとすごいひと。
星野道夫さんの「ノーザンライツ」は、星野さんがアラスカで出会った人たちのことを一人ひとり丁寧に書いたお話です。星野さんは、「人の暮らしの多様性」が一番大事だと書いています。白人でアラスカの原野に暮らす人、イヌイットで近代化の波にさらされている人、それぞれの暮らしに触れながら、どれも否定することなく人の価値観に耳を傾けています。星野さんは「僕と違う価値観で生きている人間を見ることで、僕自身のことがわかる。」といいます。
わたしも日本にいたときは「変人」と思われていましたが、多様性がある社会では、自分自身をもありのままに認めて自然に暮らしていけるので、楽、ということがいえるでしょう。
(間美栄子 2012年 4月1日 http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef)