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アートセラピストのイギリス便り

アートセラピスト間美栄子のシュタイナー的イギリス生活のあれこれを綴った友人知人宛のメール通信です。

第127話 スペイン-カステーリャ地方の旅

2013-12-04 20:31:47 | 海外旅行

 セゴビア

 

いよいよ12月、もう今年もあとひと月ですね。今年はいろいろなところに行きました。特にスペインがわたしにとっては,歴史あり、文化あり、おいしい食べ物があり、かつ暖かいところ、ということで、また何度も訪ねたいところになっています。

11月に旅した、汽車で毎日違う古い都市をめぐるカステーリャの旅は、自分で旅程を立てるのに工夫もしたし、おすすめできるので、旅行記を少し書いてみます。

 

11月1日 マドリッド到着 

ヨーロッパ3大アートギャラリーのひとつである、プラド美術館に直行(夜6時から入館料が無料になるのです)。

耳が聞こえなくなったというスペインの画家ゴヤの描く、暗い背景の中に浮かび上がる人物たちの表情があからさまで、とても現代的に感じられる14枚の連作「黒い絵」の表現力に圧倒される。

マドリッドのへそにあたる、ソルには、みたこともないほどに人の群れが広場や、道路に充満していて、まるで祭りの夜のよう。この、エネルギーの違いをじかに感じるために、旅をするんだなあ。

夕食は、郷土料理のコシィード、をいただく。素焼きの壺にひよこまめ、骨付きの肉、内臓、ソーセージが煮込まれていて、まずお店の人が壺のふたをおさえ、スープを短いパスタの上に注ぎ込む。これはパーフォマンスアートだなあとおもう。

 

11月2日 マドリッドから、ローカル線でアビラヘ。車窓には乾燥した土地がどこまでも続く。アビラは古い城壁がぐるりと旧市街を囲んでいるユネスコ世界遺産のまち。セイントテレザの生まれたまちで、たくさんの教会、修道院がある。

 

  アビラ

セイクレットサイトのマーチングレイが、アビラのカセドラルでエナジースポットを見つけ、感動して涙した、と書いていますがhttp://sacredsites.com/europe/spain/avila.html、わたしは残念ながら感じられなかったのでした。(お昼ご飯に、カウンターたち食い、立ち飲みタパスと赤ワインが150円くらいという安さで、スペインっていいなあ、と感動したけれど。)

 

 

11月3日 アビラからサラマンカへローカル線の旅1時間。ヨーロッパで最も古い大学の町。古い図書館の外壁の数々の美しい細かいレリーフの中から「しゃれこうべの上にのっているアマガエル」を見つけるとよいことがある、といわれているので、やってみた。カセドラルの修復の際、「宇宙飛行士」のレリーフを彫ったというのも、おかしい。

マヨール広場のかべには、歴史的人物の顔がぐるりとほられているけれど、フランコのものだけは、ペンキをかけられたりとバンダリズムが絶えないので、清掃しやすい素材でできているそう。

 

サラマンカ


11月4日 汽車でアビラに戻り、そこからローカルバスで横に移動し、セゴビアへ。

下校する地元の中学生、高校生が、乾燥した大地のなかにぽつりぽつりとある小さな村々へバスから降りて消えていった。スペイン映画「ハモン、ハモン」の舞台の村みたい。




セゴビア

 セゴビアはローマ帝国時代の大きな石を積み上げた水道橋がある町。

仔豚の丸焼きが名物で、なずなが食べたものには、耳にタグがついていた。

 

 

11月5日 マドリッドに急行列車でもどり、汽車を乗り換えトレドへ。トレドはイスラム教、キリスト教、ユダヤ教の3つの文化が共存している、タホ川の流れる丘の上のとりでの町。画家アルグレコが住んでいた。

 

 トレド

 

 

11月6日 スペインでは経済が破綻し、職がなく、マドリッドの繁華街で抗議集会をしているのもみました。ものすごい量のごみが歩道や、広場に散らばっているのは、ストライキのためだそう。

マドリッド、サンミゲル市場の中で、パンに魚介類がのったものや、コロッケなどいろいろなタパとサングリアの夕食。わいわいとした賑わいも楽しい場所。

 

次回のスペインの旅は、南のアルハンブラ宮殿などを訪ねたいと思っています。一緒に行ってみよう、という方、大歓迎です。

 

 

間美栄子 2013年12月1日       http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef


第117話  旅で聞く音楽

2012-09-15 22:23:43 | 海外旅行

 

      フィレンツェ

 

 

* 日本ではまだ残暑が厳しいとのことですが、こちらは日暮れも急に早くなって、もう来るべき冬のことを考え始めている (あたらしいオーバーがほしいな)。

今夏わたしは一度も海に行くチャンスがありませんでした。それでも、FaceBook に、新潟小針浜の海カフェ ネフさんが毎朝の日本海の写真や、美しい夕焼けの写真をポストしてくれるので、それですこしはなぐさめられています。

このおやすみは、ロンドンのなずなの新しいスチューデントハウスに泊めてもらって、ホリディ。テートモダンでムンクの展覧会を見てきます。

 

第117話  旅で聞く音楽

 

なずなと二人、イギリスでの永住権を獲得したお祝いに、パリに行ったのは、4年ほど前。パリで最も古いちいさな教会、サンジェルマンデプレ教会で、ピアノのリサイタルを聞きました。わたしの好きな、ラカンパネラや、ポロネーズを聴きながら、「ビクトリー…」と涙ぐんで感動していたのを思い出します。イギリスにリュックひとつで移住して以来、ずっと、10年間の長期滞在を理由とする、永住権申請を目指して、苦学しながらがんばってきたので、本当にうれしい夜でした。

 

そういえば、移民といえば、ローマのウオルターのホステルから別の場所に案内されるとき、一緒に歩きながら、バングラディシュ人のアシスタントの男の人にいろいろ質問し、教えてもらったのですが、中国人はビジネスビザで、小さなブティックなどの店舗をかまえ、自分たちは、肉体労働などで働いているが、そのビザのために毎年イタリア政府に高額のお金を分割で払っているとのこと。ローマの路上は、それらの移民であふれ、いったいどこの国にいるのか、わからなくなるほどですが、お金のためにビザを大量発行していると、いつか、国が滅びるだろうなあと感じられました。(わたしのように居つく人がいますからね)

 

さてさて、今回のイタリア旅行でも、さまざまな音楽を耳にしましたが、路上で演奏するカルテットをはじめとする音楽家たちのうまさには驚きました。

フィレンツェでは白い大理石のドゥオモと夜空の濃い青の美しいコントラストを眺めながら聞いた、響き渡る「マダムバタフライ」の歌声。

広場で演奏するジプシーバンドの後ろで、小さな男の子が胸の前で両手を忙しく動かしアコーディオンをひいているつもりになっているのは、おかしくて、たまりませんでした。

 

それから、ミケランジェロ広場のフォーク歌手。

フィレンツェの町を一望できる丘の上のミケランジェロ広場はなずなのお気に入りの場所。一昨年の友達とのイタリア旅行で来ていて、わたしが訪れた10日ほど前にも、ボーフレンドと一緒に再訪したばかりで、まるで映画「レイクハウス」みたい、と思ったのですが、なずなは、ここの、同じ場所に座っていたんだなあと思いながら、階段に座り、音楽を聴いていました。

夕日を眺め、聴いたAdele  の「Someone Like you」。おもわず涙がにじみ出てしまいました。旅と夕日と音楽はひとをメランコリックにさせるものですね。

http://www.youtube.com/watch?v=7AW9C3-qWug

 

(間美栄子 2012年9月15日   http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef


第七十五話 距離感覚

2010-11-01 15:15:51 | 海外旅行

*3週間のオーストラリア東海岸滞在、よかったですよー。カラフルな鳥はあざやかな色の花の蜜を吸い、クカバラはおおきな笑い声をたて、「ここはいったいパラダイス!?」

ウーフィングは午前中庭の草取りをして、おいしい自家製の卵のオムレツ、パパイア、グレープフルーツジュースをお昼にいただいたあとは、テラスのカウチでヤシの木を眺めながら風に吹かれてうとうと昼寝。こんな生活が毎日続いたらほんとに天国ですね。

 

第七十五話 距離感覚

 

なずなが12歳になったころ、少し遠い友達のうちでも一人で遊びに行けるよう、地図の読み方を教えました。「マップリーディングは大切なスキルだよ。これでフリーダムがゲットできるからね。」と。

 

それにしてもオーストラリアは想像以上に広かった!地図を読むにしても、縮尺がわかっていないとどれくらいの距離なのか判断することができないわけで、日本やイギリスのような小さな島の距離感覚ではどこにも行くことができないのです。縮尺が違いすぎる!砂漠の真ん中のあの赤い岩の聖地エアーズロックに行きたいなと思っていたのに、飛行機代やツアー代がかなりかかるということが判明。

 

ウーフィングをさせてもらったお宅のジョセフィンの友人アランは一日3000km走ることができ、エアーズロックまで車で3日半でたどりつける、まあ10日みればよいだろう、といってくれましたが、アランの年齢 (80歳)をかんがみ、今回は砂漠行きはあきらめました。

 

イギリスからブリスベンに飛ぶにしても、途中ドバイとブルネイにとまり、なんだか日本行きの直行便の3倍を飛んだ感じで、それをやっちゃうともうほかはどこでも近い、というふうに距離感覚がずいぶん変わったのが今回の旅でした。

 

ギャップイヤーのなずなも、今度はシベリアを鉄道横断をしてそのついでに日本により、アジアを回って、オーストラリアにもまた行く、などといい始めました。わたしもまた「何でも見てやろう」熱に火がついたというわけで、机の上の地球儀をくるくる回しながら、次はどこに行こうか考えているところです。

 

(間美栄子 2010年 111     http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef

 


第四十七話 ベルリン一人旅

2009-08-16 08:17:47 | 海外旅行

(River Avon)

*うちの窓から、帆船がすべるように川をいくのが見えます。ああ、いま満ち潮なんだなと、それだけでなんとなくうれしくなります。
AVON川は、世界でも2,3位と言われる満ち干の差の大きい川で、つまり、泥の川底に水がほとんどないような姿を見ることも多いわけです。それでも飽きることなく、夕飯を食べた後、川を見に出るのが私たちの日々のくらしです。

第四十七話 ベルリン一人旅

ある夏、ブリストル空港からイージージェットという超格安航空会社の飛行機で、ベルリンに一人旅をしたことがありました。

目的は第一次世界大戦、第二次世界大戦の両方を生きた女性彫刻家ケーテ=コルヴィッツの記念館を訪ねるためでした。ケーテの大きな彫刻は母親が子供を守っている姿などが多く、肝っ玉母さんのような強さと暖かさがにじみ出ていますが、ケーテ自身は息子も孫も戦争でなくし、うつ病であったといわれています。アートをすることで自分自身を支えてきた人生でした。

Wim Benders の映画「ベルリン天使の詩」を思い出しながら歩き回り、ベルリンの壁の跡地やユダヤ人博物館など、ベルリンそのものが大きな戦争史博物館のようで、ずいぶん圧倒されてしまいましたが、残念なことに、誰ともそれを分かち合うことができず、川のほとりのレストランなどで屋外のテーブルで語り合う人たちを見ては、一人旅はつまらないと思ったものです。

さらには、郊外にある強制キャンプをたずねた帰り、突然乗り込んできた切符の検閲に捕まってしまいました。持っていた1週間ベルリン乗り放題の切符ではだめで、二駅乗り越ししたということで、犯罪者扱いされ、パスポートを見せろと、さんざん脅され、一万円の罰金を取られ、ドイツ人女性は怖いなーと心に刷り込んでしまいました。(ベルリンでは切符を駅でチェックしないで、こういうふうに外国人を,カモにしているのですよ。)

ハンブルグに、もうひとり、エルンスト・バルラハという、これまたヒューマニティーにあふれた彫刻家の記念館があって、いつか訪ねたいのですが、ドイツ人のヒューマニティーを信じるには、まだすこし回復に時間がいるかもしれません。


(間美栄子 2009年 8月15日)


第四十四話 フィンランドの夏

2009-07-18 18:11:52 | 海外旅行

* 夏至にブリストルの近郊にあるスタンディングストーンにいってきました。庭では、昨年よりさらに伸びたピンクと白のつるバラ、そしてマーガレットが、夢のように咲き乱れています。
7月14日から8月5日まで3週間、なずなと友だちのケイトが二人で日本に遊びに行きます。小針浜のちどり・ネフでお世話になります。もしお暇のある方は、二人に日本文化を紹介してあげてください。よろしく。

第四十四話 フィンランドの夏

長い長い夏休み。一番思い出深い夏休みはフィンランドで過ごした5週間でしょう。

シュタイナーのアートセラピーの学校、ハイバニアで私が四年生のとき一年生だったフィンランド人のアナリーザは、イギリス人は人との距離を遠く保っているのに対して、すごく近いところまでやってくるタイプで、ハーブのきいたニジマスを持って押しかけてきたり、おいしいパスタソースをつくってくれたり。
当時なずながまだ小さかったので、もう寝かせなきゃ、とあせりながらも、よく、いつまでも三人で夜を過ごしていました。

ある夏アナリーザのおまねきで、わたしたちはフィンランドに遊びにいきました。針葉樹の森がどこまでも続き、そこらじゅうに湖が点在しています。その森の中で、ブルーベリーを山ほど摘んで朝ごはんにいただいたり、いつまでも沈まない太陽に向かって湖で泳いだり、サウナに入ったりという、まるで夢の中のような日々をすごさせてもらいました。

ところがこの沈まない太陽がネックで、どうにも夜眠ることができないのです。朝寝坊が続き、頭もぼんやりしてよく考えられない。そうこうしているうちに、行動派のアナリーザは、怠け者の私に堪忍袋の尾が切れて、爆発。
わたしたちの友人関係もそれでおしまいとなってしまいました。

それから数年がたち、ハイバニアを卒業してフィンランドに戻ったアナリーザから、彼女の作った色彩豊かなやさしい影絵のシアターの映像がメールされてきました。時がたって、私も許されたのだといいけれど。

(間美栄子 2009年 7月1日)


第四十一話 地中海クルーズの旅

2009-07-18 18:08:36 | 海外旅行

* ツバメがまた戻ってきて、チーチーとすごい速さで空を飛び回っている、初夏のこの頃です。なずなは今、庭の芝生に寝っころがって試験勉強の真っ最中。この試験の結果で大学の入学応募をするわけですから、重大なのですが、試験勉強は1ヶ月くらいだけ。(日本の大学受験とは大違い。推薦入学みたいなものかな。)イギリスって、なんてのんびりした国なんでしょう。

第四十一話 地中海クルーズの旅

ラファエルハウスのみんなは、軽い知的障害を持っている人たちで、かなり自立し、いろいろなことを自分で選び、決定しているのですが、ホリデーもそれぞれお供を連れて好きなところにいきます。

ある年、私はティナのお供で8日間の地中海クルーズの旅にでました。
地中海とはいっても、イギリスの旅行社が仕立てた豪華客船ツアーで、お客はイギリス人のお年寄りたち、船員はブラジル人でウェイターは中国人、食べ物はアメリカの会社による24時間食べ放題。その上サルサダンスの船上講習会に参加したりで、いったい私たちはどこの国にいるのかしら?という感じ。

スペインのマヨルカから出港し、立ち寄る港もシシリー島、イタリアのナポリ、フランス、スペインのバルセロナ、と毎日違う国、違う言葉。
観光バスで駆け足で、フィレンツェを見、ピサの斜塔の駐車場についたころにはティナは、「もう、一歩も歩けない」とどんなに励ましても、どうしてもピサの斜塔のそばまでいくことはできませんでした。

今思うとあれは、多国籍の船の中にいた時間が多かったのであるから、それを体験したのだな、とわかるのですが、バルセロナもフィレンツェも、もう一回ゆっくり行ってちゃんと滞在してこなくっちゃ。

(間美栄子 2009年 5月15日)