アートセラピストのイギリス便り

アートセラピスト間美栄子のシュタイナー的イギリス生活のあれこれを綴った友人知人宛のメール通信です。

第108話 イギリスで食べる和食

2012-03-17 21:39:03 | イギリスでの暮らし

      

                     木の枝にかけられたスイング(ブランコ)

 

*春ですねー。こちらは、世界はスイセンの黄色であふれています。ホーソンの木が白い花を咲かせてまるで桜のように美しい季節です。

わたしもいよいよ今年のガーデニングを開始しました。植物を鉢植えから移植したり、庭木の剪定をしたり。ふと見ると去年植えた宿根草の鉢植えに小さな芽生えが。冬の間枯れたように見えていても、春が来ればまた活動を開始する、植物は強いものですね。

 

第108話 イギリスで食べる和食

 

皆さんは3月11日の震災から一年の日曜日をどうすごされたでしょうか。

わたしは仕事でしたが、暖かい日で、いつもの森の倒木に腰をかけて鳥のさえずりを聞きながらおひるごはんを食べ、命あることに感謝していました。夕食はティクナットハンのトークをYouTubeで聞きながらマインドフルに和食を味わいました。

 日本のことを思うとき、わたしは和食を料理します。去年、原発事故の後は、日本のみんなもヨードを取るために食べているのだろうなあと思いながら、わたしもひじきの煮物やこんぶをたべていました。同じものを食べていると想像するだけでつながっているような気持ちになるのでしょう。

 わたしはあまり凝り性でないので、普段はパスタや、野菜たっぷりラーメンなどを食べていて、和食はお休みのときにゆっくりした気分で作ります。和食といっても、食材はひじき、昆布、わかめの海藻類、小豆などの豆類、ふや、高野豆腐、干ししいたけ。乾物を使っての料理なので、予定をあらかじめ立て、水で戻してというひと手間があるわけですが、イギリスにきてからはじめてふっくりしっとりやわらかな高野豆腐の煮物がこんなにおいしいということを知りました。

 お米はずっとイタリア産短粒玄米を食べています。それが手に入らないときで貧乏学生時代は、スーパーで売っている長粒種の、それも壊れている、とても安いお米を食べていたりしました。「これは日本ではくず米で、おせんべいになっていたりするのかな」と思いながらも、なんにせよ炊き立てはおいしくいただけますし(もう日本のかおり高いご飯の味を忘れたのかも)、長粒種は油がよくあい、チャーハンがとてもおいしいんです。

 漬け物がこんなに懐かしい食べ物になるとは思ってもみませんでしたが、5年前に日本に帰省したとき、なにが食べたいかと聞かれれば、「漬け物!」と自家製の漬け物を、だしてもらっていました。チベット僧の野口法蔵さんの家を訪ね、奥さんがつけたさまざまな漬け物をたっぷり味あわせてもらったときは、ほんとに極楽気分でした。

 ふとしたとき、昔見た映画ガイアシンフォニーの中で、「わたしは面倒くさいという言葉が嫌いなんです」と話しながら丁寧に漬け物をつけていた人を思い出します。

漬け物にこもった愛情は、微生物に伝わって、不思議な深い味に変わっていくのでしょう。

 リリーフランキーさんの「東京タワーオカンと僕と、時々、オトン」では、息子の朝ごはんに、一番おいしいつかり具合の漬け物を出すために目覚ましをかけて夜中につけていたリリーさんのお母さんの姿が描き出されています。

 いつかわたしも、おいしい漬物をつけることが出来るような人間になれるでしょうか。

 

(間美栄子 2012年 3月15日  http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef

 

     ブルーベルも伸びたがっている



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