ドキュメンタリー映画、阿賀に生きる、日本各地でリバイバル上映中。ぜひみてくださいね。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=c68rDTGNqJ4
http://kasamafilm.com/aga/
第123話 いまを生きろ
「俺はな、自分が50を過ぎてからというもの、50歳以下の人間と話すのがいやになっちゃったくらいなんだよ。視点がまったく違うんだよ。もっと高い丘から広く見渡せるようになるんだよな。」と、ひげをたらしたワイズマン、ジャングルは、話していたことがありました。
昨年末にほかの施設に移っていった患者さんたちが亡くなる、ということが相次ぎ、死ぬまでリハビリテーションをするのが現代の人間なのか?死とはなんだろう?ともんもんと考えさせられることが多かった2月ですが、それは、50を過ぎて(たとえ100まで生きるとしても)誕生よりも、死のほうが近くなり、死を観点に入れながら物事をみることが出来るようになるいうことでしょうか。
フルーツしか食べないと主張するフルーツテリアンのジャングルは、うちの病院では、ひそかに栄養補給されていたのが、ほかの施設ではそれがなくなったがゆえに、突然、とても遠いところに旅立ってしまいました。
アートセラピーグループで、自分のことをなんて紹介する?ジュエリーメーカー?ヒッピー?ときくと、ジャングルは、「俺は自分を、こうだとは規定しない。過去のことは話さないし、未来のことも考えない。今だけさ。」と返事するのでした。
わたしがグループの中の低意識状態の患者さんと、腕を支えて、替え歌を歌いながら、絵を描いているのを見ては、おかしそうに笑っていたジャングルの笑顔が心に残っています。
「生きろ。生きろ。もっと精一杯、いまを生きろ」亡くなっていった人たちから、そう言われているように感じます。
(間美栄子 2013年2月25日 http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef)