アートセラピストのイギリス便り

アートセラピスト間美栄子のシュタイナー的イギリス生活のあれこれを綴った友人知人宛のメール通信です。

第105話 音楽とバイオグラフィー

2012-01-31 18:03:31 | バイオグラフィー

 

                 わが家の ファイブ ヒアシンス シスターズ

 

 

 

 

*昨日のお休みには久しぶりにロンドンでなずなと落ち合い、チャイナタウンで肉まんを食べ、映画を見てきました。

(‘We need to talk about Kevin’ http://www.youtube.com/watch?v=ozm-hlPNGX4)

 

冬はやっぱり、ホッカホカの肉まんだー。わたしは中学生、高校生のとき、いつも部活の帰りに肉まんをたべていたので、そういう季節感覚になっています。

日本では雪のようですね。家に閉じこもりがちになりますが、気分転換にまたスカイプではなしましょう。

 

105 音楽とバイオグラフィー

 

BBC3ラジオを聴いていたら、あるリスナーの年配の男の人がこんな話をしてくれました。

 

親父が炭鉱事故で死んでしまって、おふくろは生活費を稼がなくてはと、パブに働きに出るようになったんだ。そこでお客から「ワイヤーレス」-当時ラジオのことをこう呼んだんだがーもらったんだよ。俺はまだ7歳くらいだったが、夜布団の中でこの「ワイヤーレス」のことを考えていて、いてもたってもいられなくなった。それで下に下りていってスイッチをつけてみた。すると、今までに聞いたこともないような美しい調べが「ワイヤーレス」から流れてきたんだ。

 

俺の生活環境にはそんな音楽はまったくなかったからね。7歳の男の子が、夜布団からでてラジオの前に立っている、といえば、パジャマを着て、スリッパを履いて、と思い浮かべるかもしれんが、当時は、シャツはたった一枚、毎週土曜日に洗ったら、それを学校に行くときも、寝るときも、ずっと一週間着ているんだよ。そんな生活だったんだよ。

 

その人はその後も、ずっとこの曲のことを想い続け、大きくなってそれはショパンのノクターンだということを知るのでした。以来熱狂的なクラッシックファンに。一人の人の人生を変えてしまうような力を音楽は持っているのですね。

 

わたし自身は、初めて自分で買ったクラッシックのレコードは、ベートーベンの田園でした。高校生だったわたしは、友達と一緒にロマンロラン「ジャンクリストフ」を読んでは、モデルとなったベートーベンの生涯に熱していたのでした。この音楽がどれほどわたしの想像力をかき立て、理想へと向かわせたかは計り知れません。

 

わたしたちの病院には、ミュージックセラピストがいて、ミニマリーコンシャスステイトの患者さんも、自分の好きな音楽を生演奏で聞くことができます。患者さんの家族にどんな音楽がすきなのか尋ねると、エルビスとかロックとかの答えが返ってきたりもし、そんなロック世代がもう60歳、70歳となっているのだなーと驚いたりします。 

 

(間美栄子 2012年 21  http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef

 

 


The Calendar of the Soul (January 26- February 1)

2012-01-28 00:16:02 | calender of the soul

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

43. Forty-third week (January 26- February 1)

 

In winter’s depths is kindled

True spirit life with glowing warmth;

It gives to world appearance,

Through forces of the heart, the power to be.

Grown strong, the human soul defies

With inner fire the coldness of the world.

 

 

冬の深いところで

ほんとうのひとなるものは

ぬくもりを暖めている

 

心で考えることで

そのぬくもりが姿を与える力となっていく

 

魂の内なる炎を力強く育て

人の魂は挑んでいくのだ

そとの世界のこの冷たさに


The Calendar of the Soul (January 19- 25)

2012-01-19 21:21:50 | calender of the soul

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

42. Forty-second week (January 19- 25)

 

 

In this the shrouding gloom of winter

The soul feels ardently impelled

To manifest its innate strength,

To guide itself to realms of darkness,

Anticipating thus

Through warmth of heart the sense-world’s revelation

 

 

冬の暗がりに囲まれながら

魂は燃えるような勢いで推し進められているのを感じる

 

魂の固有の強さを表現するようにと

自身を闇の領域までもたらすようにと

 

心の暖かさを通し

感覚の世界の黙示を予期している

 


第104話 「聖地」めぐり

2012-01-17 22:58:33 | Sacred places - 世界の聖地

          写真は350歳のYew Tree (Tunbridge Wells)

 

 

*うちのキッチンの窓辺では秋に植えておいたピンクと白とむらさきのヒアシンスが咲きはじめて強い香りを漂わせています。

お昼休みに職場の近くの森にピクニックにいくと、冬は下草のネトルも茂っていなくてどこでも好きに森の中を歩けるので、見つけた倒木をベンチにひなたぼっこ。もう少しすると、ブルー-ベルの芽が出てくるので、このようには歩けなくなるでしょう。冬には冬のよさがありますね。雪国そだちのわたしには、土があらわれているこの地の冬には春の訪れが早くやってくるように感じられます。

104 「聖地」めぐり

 

正月早々なずなと口争いをしてしまい、いかに自分がストレスをためていたかを認識したのですが、それを契機に、「急がなくてもいい」、「形あるものは古くなったり、壊れたりする」、「人は失敗をする」、という3つのことを呪文のように繰り返し唱えてひとつひとつの行為をマインドフルに行うようにこころみています。

                                         

コンピュータを消して、友人が日本から送ってくれた梨木香歩さんの「ピスタチオ」をゆっくり読みました。ライターの主人公の日本での暮らしが描かれている前半と、ウガンダを旅する後半がつながりを持っている、不思議な精神、無意識の世界を描いた小説です。

 

読後、わたしにも、わたしの精神、無意識の旅路があったのだった、と思い出しました。そして今わたしはどこにいるのか、まだ旅の途中なのか、考えてみました。

 

フィンドホーンを皮切りに、Forest of Dean、ウェールズのバイオダイナミックファーム、カンタベリー大聖堂と旅した一番最初の一人旅。

 

友達とレンタカーを借りて回ったコンウォール。アーサー王伝説のティンタジェル、

セントマイケルズマウント。ドーナツ型の岩が立っているMen- an-Tol.

 

さまざまな教会や、動物や植物のエネルギーにあふれた彫刻も目にしました。キルペックチャーチ、ロザリンチャペル、ヨーク大聖堂。

 

ストーンヘンジをはじめとする数々のスタンディングストーン。豊潤を祈願する、チョークの丘に刻まれた巨人の絵。

 

グラストンベリー、バース、いずみ湧き出る数々の聖地。

 

これらの地を訪れ、太陽を拝み、岩に触れ、空気を吸い、水を飲みながら、古代からの人々の「祈り」に思いをはせ、大きな力とつながることができたむかしの人間の素直さを感じていたわたしでした。

 

それから数年がたち、フルタイムで病院勤務になりレポート書きに追われ、家を購入したりしているうちに、心忙しくすごし、そんな「祈り」をわすれてしまっていたようです。

 

3.11、ことに原発事故で、おごり高ぶっていた人間のありさまを知らしめさせられたわたしたちは、いまもう一度、地霊との結びつきを取り戻すことが必要なのかもしれません。「聖地」といわれる土地だけではなく、すべての場所にいきづいている木の霊、水の霊をまた感じ始め、畏れ敬う、そんな時なのかもしれません。

 

14年前わたしがリュックサックひとつで日本をたつとき、携えてきたものに、明治生まれの民俗学者宮本常一さんの一冊の本がありました。この本を今再び手にとってみて、「ああ、わたしは日本の庶民の精神文化に帰っていくたびの途中なのか。」と、悟りました。

 

(間美栄子 2012年 115  http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef

 

上記の聖地の詳細は、25年間世界の聖地を旅している Martin Gray のホームページを。写真が美しい。

http://sacredsites.com/sacred_places/index.html

 

偶然見つけた「レイラインハンター日本の地霊を探訪する」の著者のブログ「祈りの風景」シリーズ、ぜひご覧ください。

http://obtweb.typepad.jp/obt/2011/05/pray.html

                                                                                                               

 


The Calendar of the Soul (January 12- 18)

2012-01-11 20:19:33 | calender of the soul

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

41. Forty-first week (January 12- 18)

 

The soul’s creative might

Strives outward from the heart’s own core

To kindle and inflame god-given powers

In human life to right activity;

The soul thus shapes itself

In human loving and in human working

 

 

魂の創造的な力は

心の核から外に向けて押し出していく

 

神が私に与えた力を炎として燃やすのだ

人間の人生の中で 正しい行為に向けて

 

そして魂はそれ自身形を成していく

ひととして愛すること 人として働くことの 途上で

 


The Calendar of the Soul (January 5- 11)

2012-01-06 20:48:55 | calender of the soul

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

40. Fortieth week (January 5- 11)

 

And when I live in spirit depths

And dwell within my soul’s foundations,

There streams from love-worlds of the heart,

To fill the vain delusion of the self,

The fiery power of the cosmic Word.

 

 

私は いまや スピリットの深みを生きている

私の魂の基盤に たたずんでいるのだ

 

すると 心の愛の世界から流れ出るものがある

 

それは 小さな自身の空虚な迷いを満たす

燃えるような力を持つ 宇宙の言葉

 


第103話 LIFE IS BEAUTIFUL

2012-01-01 23:56:10 | 人生観

       イタリア映画  「Life is beautiful

 

 

 

 

*新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします。今年は辰年ですね。イギリスはロンドンオリンピックでにぎやかな年になるのでしょう。

私の今年の抱負は、お金をためて、まだ行ったことのないローマにアートを見に行くことです。今でも生活するので精一杯ですが、夢や望みは持っていなければ最初からかなうはずもないので、常に101Wishesを更新し、ちいさなWishも書き留めては実現させていこうと思っています。

 

103 LIFE IS BEAUTIFUL

 

サイクリングをしていたり、散歩をしていたりするときいつも、「朝日が向こうの丘の家の窓に光ってきれいだな」とか、「並木を歩いていく親子の姿がだんだん小さくなっていっていいな」とか気づくのですが、これはもしや人間の目はカメラの望遠レンズや接写レンズのように自由にフォーカスを変えられるからなんだな、すごいな、と思ったりします。なぜなら、朝日があたっている丘は素敵だけれど、自分が自転車で走っている谷間は寒くて暗くて、目の前にはコンクリートを作っている工場があったりで、視界の全部が全部きれいなわけではないのですから。

 

イタリア映画「Life is beautiful」 http://www.youtube.com/watch?v=lh44dI5YHdo

は、この美しいもの、楽しいものを見つける生き方をやり遂げた主人公のおかしくも、徹底した姿に圧倒される映画です。監督、主演のロベルトベニーニが演じるイタリア系ユダヤ人のグイドは、婚約者のいる小学校の教師のドーラに出会い恋に落ち、駆け落ちをします。しかし、笑いにあふれた幸せな息子との3人家族の生活も、第二次世界大戦で断ち切られてしまうのです。グイドはナチスの強制ユダヤ人キャンプの中でも、それがまるでゲームでやっているかのようにユーモラスに振舞うのでした。幼い息子はそれを信じ、生き延びることが出来たのでした。

 

アートセラピールームでも毎日のように、「アートセラピーグループにようこそ!ほら、窓を見て、お日様がさしているよ。」と今日が特別な日であるということを強調しているのですが、毎月ついたちはそれがやりやすい。今日から新しい月だよ。と。何か素敵なことが始まるかもしれないという期待。

 

満月の時も特別です。病院の中で閉じこもって日々をすごしている彼らに、外の自然がどんな風に移り変わっているのか報告しているのですが、雨の日も、霜が降りたときも、それを話すことが出来ます。それをするためには、私自身が本当に心からなにかを美しいと思うことができ、「今日は特別な日だ」と信じていなければいけないのですが。

あるときは、わたしにつられて、「Happy Birth Day!」といった患者さんがいて、みんなで大笑いしたのですが、「そうだね、毎日が誰かの誕生日だね。Happy Bithday to Someone!」とやっているわけです。

 

 

(間美栄子 2012年 11  http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef