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アニメ界の鬼才ブラッド・バード監督の実写映画デビューがフランチャイズ映画『ミッション:インポッシブル/ゴーストプロトコル』だった事を思うと、本作こそ作家性が色濃く出た実質上の実写初作品と言って良いのではないだろうか。ホームグラウンドであるディズニーランドの“トゥモローランド”を基にした夢とロマンがあふれる空想科学冒険モノの“正しさ”は、現実社会がまさにディストピア化している今にこそ相応しい。NY万博から始まる物語はボーイ・ミーツ・ガールであり、「君は誰?」という少年の問いかけに「私は未来よ」と答えるアテナ役ラフィー・キャシディちゃんの微笑に多くの男の子たちが夢を抱いてくれたら嬉しい(僕にとってのアンナ・クラムスキーやナタリー・ポートマンのように)。
しかし、TVドラマ『LOST』や『プロメテウス』でおなじみデイモン・リンデロフの脚本は風呂敷を広げ過ぎで、ブラッド・バードは収拾のために足を引っ張られ気味だ。様々な謎を散りばめながら最後は説明セリフとスケールの小さいアクションに終始してしまうのが勿体ない。リンデロフは連続ドラマのショーランナーには打ってつけだが、2時間の映画脚本にまで同じ方法論を用いてしまっている。
夢を追い続ける者にこそ夢を叶える力があり、世界に必要とされる人間であるというバードのテーマには、ケイシーとフランクの世代間に対する言及がない。大人になること、大人であること。フランクはアテナへの“こじらせ”を乗り越え、現実社会に適応するべきではないのか?ディズニーという一見ユートピアのようでいて徹底的に管理された商業主義にバードの作家性は絡め取られてしまったようだ。“処女作”はそんな歪さばかりが気になってしまう、惜しい1本であった。
しかし、TVドラマ『LOST』や『プロメテウス』でおなじみデイモン・リンデロフの脚本は風呂敷を広げ過ぎで、ブラッド・バードは収拾のために足を引っ張られ気味だ。様々な謎を散りばめながら最後は説明セリフとスケールの小さいアクションに終始してしまうのが勿体ない。リンデロフは連続ドラマのショーランナーには打ってつけだが、2時間の映画脚本にまで同じ方法論を用いてしまっている。
夢を追い続ける者にこそ夢を叶える力があり、世界に必要とされる人間であるというバードのテーマには、ケイシーとフランクの世代間に対する言及がない。大人になること、大人であること。フランクはアテナへの“こじらせ”を乗り越え、現実社会に適応するべきではないのか?ディズニーという一見ユートピアのようでいて徹底的に管理された商業主義にバードの作家性は絡め取られてしまったようだ。“処女作”はそんな歪さばかりが気になってしまう、惜しい1本であった。
『トゥモローランド』15・米
監督 ブラッド・バード
出演 ジョージ・クルーニー、ブリット・ロバートソン、ラフィー・キャシディ、ヒュー・ローリー
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