長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『マッドマックス2』

2018-04-12 | 映画レビュー(ま)

前作の大ヒットを受けて10倍もの製作費がかけられたシリーズ第2弾。
“マッドマックスと言えば2だろ!”という熱狂的ファンを生み出し、日本では『北斗の拳』を生み出す等、後の近未来SFモノに多大な影響を与えたんだぜヒャッハー!

…とテンションがどうかしてしまうくらいこの映画は振り切れている。砂漠のど真ん中にある油田を狙う無法暴走族軍団は政府も地球自然も壊滅したのになぜかロックンロールを信奉しており、このモヒカン軍団を率いるのがホッケーマスクにボンテージファッションというハード過ぎる出立が俺ジナルなヒューマンガス様、ロックンローラーのアヤトラだ!(アヤトラはイスラム語で最高指導者の意らしい)。

 ヒューマンガスの軍団が油田を取り囲むシーンは前半のハイライトだ。エンパイア誌において“史上最高の悪の手下”と評される副官ウェズがヒャッハーと先陣を切るや、原始人間ギャートルズみたいなガキの投げる鋼鉄ブーメランがウェズの後ろに座る金髪美少年の額にグサっ!あまりに唐突過ぎて思わず吹き出してしまう悪ノリみたいなギャグは後に『怒りのデス・ロード』の火炎放射器ギターで頂点を極める。「要はインパクトなんだよ!」とジョージ・ミラー御大のドヤ顔が目に浮かぶ。

荒ぶるウェズをスリーパーホールドで落としたヒューマンガス様は油田の民に猶予を与え、軍団を引き上げる(このシーンはなぜかYouTube上で人気動画になっている)。ちなみに『マッドマックス』に登場する悪の首領は皆、自前で運転する。ドライビングテクニックこそ“力”なのだ。

 かくして大型トラックを手に入れたマックスらの大逃走劇がクライマックスとなる。陸空あの手この手のカメラワークで車列が駆け抜ける姿は今見ても燃える。前作で「絶対1人くらいスタントマンが死んでる」と都市伝説化したが、ならば今度は2~3人は殺してやろうじゃないかというミラーの狂気と情熱。アクション映画の編集技術は実はこの時点で一度、頂点を極められたと言っても過言ではないかもしれない。そしてそれは『怒りのデス・ロード』で監督夫人マーガレット・シクセルによって新たな次元に至るのである。『マッドマックス2』はまさにアクション映画のアヤトラとして君臨してきたのだ。


『マッドマックス2』81・米
監督 ジョージ・ミラー
出演 メル・ギブソン
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『マッドマックス/サンダード... | トップ | 『マッドマックス』 »

コメントを投稿

映画レビュー(ま)」カテゴリの最新記事