長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『KUBO クボ二本の弦の秘密』

2018-01-10 | 映画レビュー(く)

むかしむかし、ある所にクボという少年がおった。
幼い頃、邪悪な月の帝である祖父に右目を奪われ、今は母と2人、岬の洞穴に暮らしておる。
呆けてしまった母は時折、思い出しては“むかし話”を聞かせてくれた。クボが魔法の三味線をかき鳴らせば、不思議なことに折り紙が形を成し、物語を演じ始めたのです。

ストップモーションアニメスタジオLIKAの新作は日本人にはとりわけノスタルジーをくすぐる作品だ。『ひょっこりひょうたん島』か、『三国志』か。最新CG技術も手伝って織り成されるスーパーパペット時代劇である。三味線の音色に乗って折り紙が動き出す様はまさにストップモーションアニメの魔法であり、スピード感のあるアクションシーンの殺陣に驚かされる。シャーリーズ・セロン(猿役だけど)が刀を持ち、ルーニー・マーラ(妖怪役だけど)とチャンバラなんて多分、もう二度と見られないシーンだぞ!監督のトラビス・ナイトは『トランスフォーマー』シリーズのスピンオフ『バンブルビー』に抜擢。ケレンあるアクション演出に期待が持てる。

 個人的にはLIKAの第1回作品『コララインとボタンの魔女』の異形とも言える怖さが好きなので、本作のジャパンオマージュの衒いのなさはいささか物足りなさを覚えた。1コマ1コマ手作業で人形を動かすストップモーションアニメのある種、狂気的な表現技法が持つ禍々しさは、物語次第でこうも鳴りを潜めるものなのか。


『KUBO クボ二本の弦の秘密』16・米
監督 トラビス・ナイト
出演 アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラ、レイフ・ファインズ
 

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