スパイク・リー監督の長編デビュー作。モノクロとカラー、ドキュメンタリーと劇映画といった具合にあらゆる手法とジャンルを自由闊達に往復する作家性が既に確立されているのはもちろん、解放された女性性という今日的なテーマを擁する古びない視点に驚かされる。後にNetflixがTVシリーズとしてリメイクしたのも納得だ。
ヒロイン・ノーラは3人の男と自由気ままにセックスを楽しむが、男たちはそれを良しとしない。男が相手をとっかえひっかえしても”遊び人””プレイボーイ”と大らかに受け入れられるのに対し、女が性に開放的だと途端に”ふしだら”と罪人の烙印を押されてしまう。そして男たちは女を肉体的にも精神的にも所有しようとするが、その本質を愛そうとはしないのだ。1986年時点でこのテーマを掲げてきたリーが挑戦的な作家と受け止められたのも無理はないだろう。時代が追いつくのに30年がかかり、リーは『ブラック・クランズマン』でついに初のオスカーに輝くのである。
『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』86・米
監督 スパイク・リー
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