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長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ウォーリアー』

2016-09-21 | 映画レビュー(う)

 父親の暴力を逃れ離散した兄と弟が数十年の時を経て総合格闘技“スパルタ”の決勝で再会する…というメロドラマはいつしか個人の愛憎に留まらず、あらゆるの人々の想いを受け継いだ一大イベントへと昇華されていく。脚本も手掛けた監督ギャビン・オコナーはこのスポーツが本来持ち得てきたアンセム感を捉える事に成功している。

見どころが多く、“TVミニシリーズでもイケたのでは”という思いもなくはない。
まるで狂犬のようなトム・ハーディと、質実剛健なジョエル・エドガートンが勝ち上がっていく展開はそれぞれピンで1本作れてしまうようなボリュームだ。格闘技から足を洗って教師生活を送っていたエドガートンが旧友フランク・グリロと組んで復帰を目指すやり取りもすごくいい。こういうトーナメント方式モノのスポーツドラマは毎話、様々な強敵と対峙する連続モノでやってくれても成立するだろう。

本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされたニック・ノルティは2人の父親役で悔恨の念にまみれた憐れな老体を晒して胸を打つ。かつてのタフガイも男の弱さをさらけ出し、改めてそ実力を証明した。

 何のてらいもないオコナーの実直な演出、身体を張ったハーディとエドガートンの熱演によってクライマックスの愛と憎しみ、そして贖罪のスリーパーホールドはやはり涙なくしては見られないのである。



「ウォーリアー」11・米
監督 ギャビン・オコナー
 出演 ジョエル・エドガートン、トム・ハーディ、ニック・ノルティ
 

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