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長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』

2017-06-01 | 映画レビュー(う)

 2017年、話題作を続々とリリースする事が決まっているNetflixが、ブラピ率いるプランBと組んだ戦争風刺劇。マイケル・ヘイスティングスによるノンフィクション本“The Operators”を『アニマル・キングダム』で脚光を浴びたデヴィッド・ミショッドが監督、脚色した。

米軍を主軸としたアフガニスタン駐留の連合軍に、グレン・マクマホン大将が赴任する。数々の武勲とカリスマ性で軍内でも圧倒的支持を得てきた彼は、この戦争にも“勝ち”に来た。だが、オバマ政権は既にアフガニスタンからの段階的な撤退を表明しており…。

ブッシュもトランプも最悪だが、オバマも大概だった。
アフガニスタンから人的戦力を撤退させても、無人ドローンによる空爆で戦争の機械化を進めただけだ。『ウォー・マシーン』はそんなアメリカの戦争のオートメーション化に皮肉を込めている。終始ヘン顔でガニ股歩きをするブラッド・ピットは奮闘しているが、しかし笑いのキレは悪い。マクマホンらが同盟国を巡る講演ツアーのドンチャン騒ぎは『マッシュ』の破廉恥で不謹慎な笑いからは程遠く(但し、デタラメなベン・キングスレーは死ぬほど可笑しい)、せめてアダム・マッケイくらいのユーモアの持ち主であれば『マネー・ショート』級に化けただろう。批評性はあっても生真面目が過ぎるのだ。講演会場でマクマホンの矛盾を暴くドイツ人議員に扮したティルダ・スウィントンの毅然は見所なのだが(つくづく底知れない演技力を秘めた名女優である)。

 ブラピも製作に徹し、主演は他の誰かに任せたかったのではないか。自分が主演する事で資金を集められる事はわかっているだろうから、このジレンマは歯がゆいはずだ。


『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』17・米
監督 デヴィッド・ミショッド
出演 ブラッド・ピット、ティルダ・スウィントン、エモリー・コーエン、トファー・グレイス

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