30年ぶりの同窓会というから楽しみにして会場へ向かった。サム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラムら初代『ジュラシック・パーク』メンバーが再集結するというのだ。特に近年、『ビッグ・リトル・ライズ』や『マリッジ・ストーリー』など大活躍のダーンが恐竜相手にキレまくってくれるのか、老いてますますテキトーさに磨きのかかるゴールドブラムが大作でどう遊んでくれるのか楽しみだった。しかし、行ってみれば彼らとお話する機会はほとんど得られなかった。そもそも『ジュラシック・ワールド』に始まる新シリーズの完結編である。MCUとのダブルヘッダーで一気に大ブレイクしたクリス・プラットが面白くて格好良くなきゃいけないが、どうした全く冴えない。前作『炎の王国』のクライマックスを受けて世に放たれた恐竜と人類が共存を模索する、というテーマは異常気象に苦しむ昨今、身に沁みるメッセージだが、いやいやまずは恐竜とアクションが見たいのに誰だよ巨大イナゴなんて持ち込んだヤツは!!
気付けば2時間27分に及ぶこの同窓会は主催者の過度なノスタルジーと見当違いの“出し物”によって大ヒットシリーズを絶滅へと追い込んでいる。コリン・トレボロウは少なくとも『ジュラシック・ワールド』を快作へと仕上げていたが、続く『ザ・ブック・オブ・ヘンリー』が批評、興行ともに壊滅的な結果に終わり、『スター・ウォーズ エピソード9』(後の『スカイウォーカーの夜明け』)から更迭。J・J・エイブラムスが代打を務めた『スカイウォーカーの夜明け』の大惨事は知っての通りで、結局どちらに転んでも破滅は免れなかったというワケか。トレボロウは恥じらうこともなく『ボーン・アルティメイタム』のチェイスシーンを今更拝借し、クライマックスの恐竜プロレスはキャラ付けがないために全くのセッティング不足。『ジュラシック・ワールド』はフロックどころか、ひょっとすると他に立役者がいたのではとすら思いたくなる。
こんな壊滅的状況でも損をしていないのがクレア役のブライス・ダラス・ハワードだ。パラシュートでの自由落下中にプテラノドンに突つかれたり、沼に浸かって恐竜をやり過ごしたりと彼女が酷い目に遭う場面にシリーズ本来のスリルがあったように思う。ハワードは近年、『マンダロリアン』や『ボバ・フェット』で監督としても才能も開花させており絶好調。彼女をメインストリームの主演女優として起用した一点のみにおいて本作を評価したい。
『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』22・米
監督 コリン・トレボロウ
出演 クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ローラ・ダーン、サム・ニール、ジェフ・ゴールドブラム、イザベラ・サーモン、ディワンダ・ワイズ、キャンベル・スコット、ジャスティス・スミス、ダニエラ・ピネダ、オマール・シー
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