
パートナーの実家が苦手、という人は少なくないと思う。勝手がわからないから居心地はイマイチだし、そんな時に限ってパートナーはリラックスモードで全く気遣ってくれない…これに近しい思いをした事がある人は『レディ・オア・ノット』が楽しめるハズだ。
超大富豪の跡取りアレックスと結婚式を挙げたグレース。新婚初夜、彼女は親族が一堂に会す儀式に招かれる。それは先祖代々の習わしによる“殺人かくれんぼ”だった!
安心してほしい。『レディ・オア・ノット』は一定のスリルはあるし、ジャンル映画らしいサディスティックな描写もあるが、恐怖よりも笑いが勝るブラックコメディだ。花嫁を狙うキチ〇イ一家(でも大富豪)は武器の扱いも覚束なく、方や花嫁は状況を呑み込むやウェディングドレスに黄色のコンバースで走り、戦い、そして終始「ふざけんじゃねーよ!」とブチきれる。グレース役サマラ・ウィービングの威勢の良さがいい。今時の映画には珍しく、喫煙シーンが大事にされており、タバコをカッコよく吸える女優だ(名優ヒューゴー・ウィービングの姪っ子さん!)。
聞けば監督マット・ベティネッリ・オルピンとタイラー・ジレットが本作の企画を持ち込んだのは2016年のアメリカ大統領選挙の時期だという。そういう意味では本作もトランプ時代の格差社会映画なのだ。そんな事はともかく、血しぶきが上がるほど爆笑せずにはいられないクライマックスをお楽しみあれ。
『レディ・オア・ノット』19・米
監督 マット・ベティネッリ・オルピン、タイラー・ジレット
出演 サマラ・ウィービング、アダム・ブロディ、マーク・オブライエン、ヘンリー・ツェーニー、アンディ・マクダウェル