
遊ぶように撮る。この果敢な実験性、フットワークの軽さこそソダーバーグだ。“総合格闘技界の女帝ジーナ・カラーノ主演でアクションを撮る”、おそらくはそんなワンアイディアからスタートしたであろう本作にはありとあらゆるセンス・オブ・ワンダーが注ぎ込まれている。時制はシャッフルされ、カメラは1シーンたりとも同じショットを使わないとばかりにトリッキーに動き回る。そして立ちはだかるハリウッド人気スター男優たちをカラーノはフルボッコにしていく。チャニング・テイタム、マイケル・ファスベンダー、ユアン・マクレガーらアクション経験のある彼らでもホンモノには敵わない。おまけにカラーノには振り付けられた殺陣でも大いに魅せる華がある。その後の彼女の活躍はご存知の通り。ワイスピ軍団やX-MENを相手に強烈な存在感を放ってきた。今後は単なるアクション要員の域を超えた活躍を見せてくれるのではないだろうか。
B級プロットをシャンパンカラーのようにゴージャスなライティングで撮り、映画の質を1つも2つも上げてしまうソダーバーグ。『マジック・マイク』といい、この時期の彼には軽妙洒脱な職人技があり、魅せる。
B級プロットをシャンパンカラーのようにゴージャスなライティングで撮り、映画の質を1つも2つも上げてしまうソダーバーグ。『マジック・マイク』といい、この時期の彼には軽妙洒脱な職人技があり、魅せる。
『エージェント・マロリー』11・米
監督 スティーブン・ソダーバーグ
出演 ジーナ・カラーノ、チャニング・テイタム、マイケル・ファスベンダー、ユアン・マクレガー、マイケル・ダグラス、アントニオ・バンデラス、ビル・パクストン