リッスン・トゥ・ハー

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まぐろ その18(行列編)

2009-01-03 | リッスン・トゥ・ハー
「まぐろ その18(行列編)」


2時間が経過した。
この行列に加わってからすでに2時間が経過した。
未だ一向に目的のらーめんにたどり着けそうな気配がないのは気のせいだろうか。
気のせいではなかった。2時間が経過した。らーめん一杯に二時間の価値があるのだろうか。
行列にはマグロも加わっていた。マグロもやはり同じことを思っていたに違いない。
立っているにもかかわらず、びんぼうゆすりを止めなかった。行列は角を曲がった。これで何角目だろうか、とマグロは考えているのかもしれない。
ところで行列は同じ場所に戻った。マグロは仕方なく3箱目のタバコに火をつけた。らーめん屋などどこにもなかった。というより街など、地面など、キューピーなど、どこにもなかった。最初から、もともと、何もない空間に行列があって、行列にはマグロが加わっていて、元に戻った。当然である円を描いているのだから。マグロであるか人間であるかなんてどう区別してどう見分けて誰にも分からないことであった。書いている本人にも全く分かっていないのだから。そう考えていると、ほうら、湯気が。