リッスン・トゥ・ハー

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母とフレンチドレッシングを買いに行く

2006-05-23 | リッスン・トゥ・ハー
まるで魔法みたいに、私の家の冷蔵庫は、中の食材が足りなくなれば自動的に補充される、ものだと幼い頃思ってた。ひとり暮らしはじめ、あれはなんということはない母が買い足しているだけだと気付いた、同時にその母のありがたさに気付いてから間もなく、母は突然亡くなった。私はどちらかと言えば父に似てものぐさな方だから、気づいた時には冷蔵庫が空っぽになっていることが少なくない。今だって、さっぱりしたサラダを朝食に、ゆっくり過ごしたい週末の朝なのに、冷蔵庫の中に何も入ってない。回数こそ少なかったが母はここに来るたびに、かわいそうな冷蔵庫、と食材の入っていない冷蔵庫に同情していた。冷蔵庫に同情するなんてまったく変な人だ。でも、だからこの何も入っていない冷蔵庫を見た時、私は母を思い出す。いてもたってもいられずに食材を買いに行く母を感じた私は、駅前のスーパーに、新鮮な野菜とフレンチドレッシングを買いに行く。