議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

国会事務局-その2

2016-05-23 | 雑感
「議会制民主主義」をつくり上げるために、議会の先人がどのように奔走したのか、書籍を通じて改めてその歴史を辿る中で、多くの気づきや発見に恵まれています。

と同時に、衆議院、参議院ともに国会事務局の果たす役割の大きさについて過去の歴史から認識を深めているところですが、「国会事務局-その1」とは異なり、議会の先人の足跡を辿ってみたいと思います。

今回は、昭和32年11月の参議院事務総長就任挨拶の一端を引用することで、「強い中立」と「弱い中立」について紹介します。

[参議院事務総長就任挨拶(昭和32年11月1日)]

(前略)

由来議院事務の仕事は縁の下の力もちだと言われております。芝居の奈落で舞台を廻す仕事になぞらえた先輩もおります。まことにその通りであります。

桧舞台で主役を演ずるべき職分ではないのであります。私どもは良くこれを理解して参議院が十全の機能を果たし得るよう、また全国民を代表する議員が十分の活動をなし得るよう誠実に脇役の仕事を励むべきであります。

(中略)

また事務局は中立公正でなければならないといわれております。これはまことにその通りであります。いやしくも一党一派に偏するが如きことは断じて戒めねばなりません。ただ私は柔弱なる中立、弱い中立を排し、毅然たる中立、強い中立を旨とするものであります。

何をもって弱い中立といい、何をもって強い中立というか、甲乙両党の鼻息をうかがい、各々主張するところをはかって、常にその中間を辿ろうとするのは弱い中立であります。

こういうことで行動しても一貫した筋が通らず、また同じ事柄に対処する処置が時によって二、三になります。これは取るべき態度ではありません。

常に憲法、国会法、規則等の規定する処に従い、その精神に則って行動するのが真の中立であり強い中立であると信じます。もちろん私どもとしましては政治の動向に注意を怠るべきではなく、十分配慮が必要ではありますが、大筋の考え方としては右に述べた如くでありたいと思います。

願わくは皆さんの御賛同を得て事務局を挙げて、真の中立公正を堅持したいと思います。

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