読書感想日記

最近読んだ本の感想

戦艦大和ノ最期 吉田満 著(講談社文芸文庫)

2007-07-06 00:40:53 | 歴史物
これから、私の読書感想を記していく。
どちらかというと歴史物が多いと思うが、いろいろな本を読んでみたい。
なお、古本屋や図書館を巡って探した本をじっくり読む上に、あまり筆が進まない性分ではあるが、
日記と題した以上は、なるべく更新していきたい。

まずは、今日読み終えたばかりの本が、この「戦艦大和ノ最期」である。
この本は、以前からずっと読みたいと思っていたが縁がなく、先日、ふらっと立ち寄った図書館で
見つけたときは、図書館という場所を忘れて「あった!」と叫ぶところだった。
私には珍しく、どんどん先を読みたくなり、驚異の速度で読み終えてしまった。
日本の最新技術により作られた超弩級戦艦「大和」は、菊水作戦の一環として、3300名以上の乗員と弾薬を満載、沖縄本島への往路のみの燃料を積んで、敵航空部隊の囮として、果ては敵部隊への砲台となるべく、1機の航空援護機もなく、9隻の護衛艦とともに出撃する。
真珠湾をはじめ、日本の航空部隊が、その技術力で大艦巨砲時代の終わりを世界に見せつけたにもかかわらず、あくまでも戦艦だけで、ましてや精神力によって、数と技術で巻き返してきた敵航空部隊と戦え、とする進歩のない軍上層部は、命令のみ発し、戦いの現場での指揮はしない。
戦争に赴くのが国民としての義務、と自分を無理矢理納得させ、すべてに別れを告げて兵士となった人々は、敵に劣る技術を日々の訓練や精神力で補うも、戦いの最前線で無惨に散って行くのみ。
軍の上層部が作戦中止を決断できないなか、現場指揮官が中止した英断。
以前読んだ「指揮官たちの特攻」(城山三郎著)に勝るとも劣らなかった。
私のささやかな読書歴の中で、堂々のベスト3だ。
戦争の肯定・否定を問わず、無駄に時間を過ごしてしまっている自分の人生を反省させられる作品である。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
   | トップ | 『殺戮にいたる病』 我孫子... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

歴史物」カテゴリの最新記事