俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

上手な嘘

2014-12-25 10:08:32 | Weblog
 上手な嘘のコツは事実を混ぜることだ。事実を混ぜることによるメリットは2つある。否定しにくくなることと辻褄が合うことだ。
 芸能人のゴシップ記事で総てが嘘であれば堂々と否定できる。ところが隠したい事実が混じっていれば、嘘を否定するために都合の悪い事実を認めねばならなくなる。結局どれが嘘でどれが事実かを告白せざるを得ない羽目に陥る。だから無視するしかなくなる。
 人はバラバラの事象を記憶するのは苦手だ。関係付けることによって長く記憶に留まる。大学生の時に記憶実験の被験者になったことがある。2つずつセットになった単語を何種類も記憶する実験だったが、2つの単語を関係付けると覚え易い。その中に「猫、電車」というセットがあった。私は電車で寝ている猫をイメージして覚えたがある男は電車に轢かれる猫をイメージして覚えた。何らかの因果性があればエピソード記憶になるので覚え易い。これと同じ理由で、本来、関係の無い事柄を強引に結び付ければ印象が強くなり記憶に残る。関連付けるための「繋ぎ」は嘘でも有効だ。
 朝日新聞による「従軍慰安婦の強制連行」は点在する事実を嘘によって繋いだ虚報の典型例だ。慰安婦がいたことやインドネシアでオランダ人に売春を強制したこと、あるいは挺身隊という制度があったことは事実だ。本来、無関係なこれらの事実を嘘によって繋ぎ合わせて「軍部が済州島で少女まで強制徴収して従軍慰安婦にした」という物語をデッチ上げた。部分部分はある程度事実に基づいている。だから実は売春婦だった元慰安婦が名乗り出たり売春の料金表が見つかったりすると朝日新聞は「事実であることが証明された」と狂喜した。しかし証明されたのは点在する事実だけであり、朝日新聞が繋ぎ合わせるために使った嘘は何一つ証明されなかった。それでも事実が混じっているということだけを根拠にして全体の物語の正当性を主張していた。論理以前のレベルだ。詳細に調べればバラバラに存在する事実を嘘で繋ぎ合わせた捏造記事に過ぎなかった。
 上手な嘘は必ず事実を混ぜる。だから一部が事実であっても全体が事実だと考えることは実に軽率なことだ。重要なのはそれらの関連付けが事実かどうかだ。

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