写真は松本市和田の農業法人株式会社フラワー・スピリットでつくられている「ラナンキュラス」という花です。
早春~春の鉢花として出回る球根植物で、紙のように薄い花びらが幾重にも重なった姿が美しい草花です。園芸では秋植え球根として扱います。花色は赤、ピンク、オレンジ、白、黄色など豊富で、大輪種では直径15cmにもなります。秋に芽を出して春に芽を出し、夏は茎葉が枯れて球根の状態で休眠します。
ラナンキュラス(キンポウゲ)属の植物は世界中に500種以上が分布します。園芸でラナンキュラスの名前で出回っているのはそのうちの1種、ラナンキュラス・アシアティクス〔R. asiaticus〕から品種改良されたものです(以下の「種類」で説明)。アシアティクスはヨーロッパ南東部、小アジア、中近東に分布します。 【出典】やさしい園芸
地中海に原種があり十字軍が持ちかえったが極めて改良の難しい花。25度の日が3日続けば枯れてしまう。日本では宮崎県綾農園の草野さんが50年育種して改良を続けてきた。ラナンキュラスが切花として認知されたのはほんの6,7年前。なにわ市場からニューヨークへ輸出されているが、ニューヨークで売れるようになったのはリーマンショック以降、富裕層が目を付けたことがきっかけ。ここから市場へは一本150円で出されたものが、バイヤーは450円で買い、小売値は1000円を超えるといいます。ちなみに最初の写真の白い花は市場へ出すときですでに一本1000円で、小売りでは3000円だそうです。
これまで花は買い手市場でコストを価格に反映させるための供給側の意思統一ができなかった。ここでは花を専門店へもっていき価値を認めてもらっている。ラナンキュラスは、日持ちがよく一月は咲いている、つぼみもしっかり咲く、季節感がある(春しかない)。温度・湿度・水・風・日照等管理は難しい。
これらの花は世界で一番。世界で勝負している。突出したものをつくることは大変だができることだ。アナンキュラスは、メリクロン培養で増やしている。
メリクロンはメリステム・クローンの略。メリステムは成長点の細胞分裂しているところ(分裂組織)。クローンは複製のクローンだ。
けっこう古くからあるバイテク(バイオテクノロジー)技術のひとつで、メリクロンは、蘭の株を増殖するために、研究開発された。蘭はもともと交雑しやすく、同じ花を大量に作ることはできなかったが、このメリクロン培養技術の開発のおかげで、さまざまな種類の蘭を品種として手に入れられるようになったのだ。
やり方としては、0.3ミリくらいの成長点を培地におく。すると成長点はどんどん増殖し、カルスを形成する。ここで、植物ホルモンのオーキシンとサイトカイニの与えるレシピを変えると、カルスの細胞ひとひとつが、根を出し芽を出し、ひとつの新しい木になるのである。【出典】田舎で農業
このメリクロン培養で今年中に100種の品種をつくるという。写真は花が緑で、改良の中で先祖帰りした品種と言われている。