サンタさんが長男に、伊坂幸太郎と共にプレゼントしてくれた本(岩波新書)を、
私が先に読ませてもらいました。
アウグスティヌスが「心の哲学者」と表現されていることに、
少々違和感を持って読み始めましたが、読み進めば、納得。
私なら「心の神学者」と書いたかもしれませんが、アウグスティヌスは
求道中にもキケロを通して色々な哲学に触れたり、
信仰を持つ直前にはプラトンを読んでおり、
信仰を持ってからも、プラトンとキリスト教信仰の親和性を指摘しているなど、
「哲学者」としての側面を一概に否定できないと思いました。
他方、アウグスティヌスにおいて「心」抜きの信仰はありえず、
アウグスティヌス修道会の紋章が心臓を射抜く愛の矢を描いていることなど、
新たに知りました。
マニ教への対論のため、自由意志を強調したこと、
ドナトュス派への対論のため、冷静な判断の中で毅然とした対応を取ったこと、
ペラギウス主義への対論のためには、かなり細かでしつこい議論を重ねつつ、
神の恩恵なしに人が善意志を獲得できないことを明確に主張したことなど、
神学的な論争点も随分整理できました。
晩年、ヒッポの町が敵に攻め寄せられようとする中、
各地の修道士たちから寄せられる質問上に丁寧に応えており、
「絶対的恩恵の立場に立つと、自由意志が完全に否定されてしあうのではないか
というハドルメトゥムの修道士たちからの批判に対しては、
最初の働きかけは神の活動的恩恵なしには何事もなされえないが、
一旦私たちが意志しはじめると、神の恩恵は協働的に働くと答えている」そうで、
これも新鮮な情報(154頁)。
『三位一体』や『神の国』といった、名前だけは知っている著作も
その背景や主張点のポイントなど、簡潔に紹介されています。
近年のアウグスティヌス研究の諸資料なども紹介されており、
アウグスティヌスの入門書としてはこれ以上のものはないかと思いました。
サンタさんがなぜ長男にこの本をプレゼントをしたのか・・・
いつか明かされる時が来るかも?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます