政府よ、責任を米国に転嫁するな!
イラク戦米空母への給油疑惑、官房長官「事実なら違反」
(2007年9月30日21時27分 読売新聞)
町村官房長官は30日のテレビ朝日の番組で、テロ対策特別措置法に基づきインド洋に派遣された海上自衛隊が補給した燃料が、イラク作戦を目的とした米空母に給油されていたのではないかと指摘されている問題について、「今、改めて日本政府から米政府に事実関係を照会している。もし事実であれば、両国の了解とは違う形で油が使われたということになる」と述べ、事実なら両国の了解や同法の趣旨に反するとの考えを表明した。
そのうえで、「まず実態を調べた上で、改めて考える」とし、疑惑が事実だと判明した場合、再発防止策など新たな対応を検討する意向も示唆した。
この問題は、イラク戦争が始まるひと月前の2003年2月に、海自補給艦「ときわ」が米補給艦を経由してイラクの監視活動などに従事していた米空母キティホークに間接的に給油したとされるものだ。
防衛省では現在、インド洋で海自が行ったすべての給油について、転用の有無を調査している。(後略)
(引用終わり)
町村官房長官のコメントに唖然とさせられる。
政府は、まだ悪あがきを続けるつもりのようだ。
いい加減にしてもらいたい。
前回までのエントリーで、私は、政府は自らのいい加減な答弁によって「給油転用疑惑」を引き起こしたのであって、決して米国からの情報不足や偽情報によって誤った答弁を余儀なくされたわけではないことを繰り返し明らかにしてきた。
したがって、町村官房長官の「今、改めて日本政府から米政府に事実関係を照会している。もし事実であれば、両国の了解とは違う形で油が使われたということになる」とのコメントは笑止千万だ。
彼の言う「両国の了解」や「同法の趣旨」とは何ぞや。
いったい誰が何に違反しているというのか?
「両国の了解」とは、補給活動に当たり両国政府間で交わされた「交換公文」のことを指すのであろう。しかし、この交換公文で合意されたのは、「アメリカ合衆国の軍隊その他これに類する組織以外の者に移転してはならない」という点だけであって、そこには、当然のことながら、アフガニスタンともイラクとも、OEF(不朽の自由作戦)ともOIF(イラクの自由作戦)ともOSW(南部監視作戦)とも書かれていない。アメリカ合衆国の軍隊の中における移転であれば問題ないのである。したがって、米軍は、インド洋で日本の補給艦から給油を受けた米国の補給艦を通じて、ペルシャ湾で作戦行動する米空母に給油したまでだ。そのような可能性の生じることは、日本政府は最初からわかっていたはずだ。
「同法の趣旨」とは、言うまでもなくテロ特措法の趣旨のことである。しかし、こちらにも、イラクとかアフガニスタンとか特定の作戦名などの限定は全くない。とにかく、911米国同時多発テロに関係する国際テロリズムを防止根絶するための国際社会の取り組みに対する支援を目的にしたものであって、アフガニスタンのみならず、イラクやイエメン、さらには、フィリピンやインドネシアに拡散している国際テロリスト掃討作戦にも援用できるような、きわめて大雑把な構成になっているのである。我が国の官僚が考えそうなことではないか。
ところが、イラク戦争に対する国民の評判が余りにも悪いため、政府は、国会答弁を通じてイラク戦争およびその後のイラクでの米軍の作戦に対する補給燃料の転用疑惑を完全に否定してしまったのである。その結果、疑惑が事実であることが判明しつつある今日、辻褄が合わなくなり、窮地に陥っているというわけだ。
自業自得。
繰り返すが、「過ちを改むるに憚ることなかれ」である。
これ以上自縄自縛に陥るよりも、国民に誤った答弁を謝罪した方が潔い。
間違っても、同盟国アメリカに責任転嫁するなどという卑怯な真似はして欲しくない。
(この論点についてのコメントはこれで最後にしたい。ただ、この問題が、テロ特措法をめぐる国会審議の序盤の焦点であることは間違いないであろう。)
(2007年9月30日21時27分 読売新聞)
町村官房長官は30日のテレビ朝日の番組で、テロ対策特別措置法に基づきインド洋に派遣された海上自衛隊が補給した燃料が、イラク作戦を目的とした米空母に給油されていたのではないかと指摘されている問題について、「今、改めて日本政府から米政府に事実関係を照会している。もし事実であれば、両国の了解とは違う形で油が使われたということになる」と述べ、事実なら両国の了解や同法の趣旨に反するとの考えを表明した。
そのうえで、「まず実態を調べた上で、改めて考える」とし、疑惑が事実だと判明した場合、再発防止策など新たな対応を検討する意向も示唆した。
この問題は、イラク戦争が始まるひと月前の2003年2月に、海自補給艦「ときわ」が米補給艦を経由してイラクの監視活動などに従事していた米空母キティホークに間接的に給油したとされるものだ。
防衛省では現在、インド洋で海自が行ったすべての給油について、転用の有無を調査している。(後略)
(引用終わり)
町村官房長官のコメントに唖然とさせられる。
政府は、まだ悪あがきを続けるつもりのようだ。
いい加減にしてもらいたい。
前回までのエントリーで、私は、政府は自らのいい加減な答弁によって「給油転用疑惑」を引き起こしたのであって、決して米国からの情報不足や偽情報によって誤った答弁を余儀なくされたわけではないことを繰り返し明らかにしてきた。
したがって、町村官房長官の「今、改めて日本政府から米政府に事実関係を照会している。もし事実であれば、両国の了解とは違う形で油が使われたということになる」とのコメントは笑止千万だ。
彼の言う「両国の了解」や「同法の趣旨」とは何ぞや。
いったい誰が何に違反しているというのか?
「両国の了解」とは、補給活動に当たり両国政府間で交わされた「交換公文」のことを指すのであろう。しかし、この交換公文で合意されたのは、「アメリカ合衆国の軍隊その他これに類する組織以外の者に移転してはならない」という点だけであって、そこには、当然のことながら、アフガニスタンともイラクとも、OEF(不朽の自由作戦)ともOIF(イラクの自由作戦)ともOSW(南部監視作戦)とも書かれていない。アメリカ合衆国の軍隊の中における移転であれば問題ないのである。したがって、米軍は、インド洋で日本の補給艦から給油を受けた米国の補給艦を通じて、ペルシャ湾で作戦行動する米空母に給油したまでだ。そのような可能性の生じることは、日本政府は最初からわかっていたはずだ。
「同法の趣旨」とは、言うまでもなくテロ特措法の趣旨のことである。しかし、こちらにも、イラクとかアフガニスタンとか特定の作戦名などの限定は全くない。とにかく、911米国同時多発テロに関係する国際テロリズムを防止根絶するための国際社会の取り組みに対する支援を目的にしたものであって、アフガニスタンのみならず、イラクやイエメン、さらには、フィリピンやインドネシアに拡散している国際テロリスト掃討作戦にも援用できるような、きわめて大雑把な構成になっているのである。我が国の官僚が考えそうなことではないか。
ところが、イラク戦争に対する国民の評判が余りにも悪いため、政府は、国会答弁を通じてイラク戦争およびその後のイラクでの米軍の作戦に対する補給燃料の転用疑惑を完全に否定してしまったのである。その結果、疑惑が事実であることが判明しつつある今日、辻褄が合わなくなり、窮地に陥っているというわけだ。
自業自得。
繰り返すが、「過ちを改むるに憚ることなかれ」である。
これ以上自縄自縛に陥るよりも、国民に誤った答弁を謝罪した方が潔い。
間違っても、同盟国アメリカに責任転嫁するなどという卑怯な真似はして欲しくない。
(この論点についてのコメントはこれで最後にしたい。ただ、この問題が、テロ特措法をめぐる国会審議の序盤の焦点であることは間違いないであろう。)