London徒然草

「ばく」のロンドン日記

霧のロンドン

2005-10-17 | ロンドン暮らし
今朝は霧。文字通り霧のロンドンです。

朝,仕事に行く時も,前が全然見えなくて,運転するのが怖いほど。年に何回かこういう事があります。今は,暖炉を使っている家が少なくなったので,昔に比べれば,霧の回数も劇的に減ったとか。

すっぽりと、柔らかい物に包まれて、くるまれているような不思議な感じ。
外に出ると、霧雨のような、ちいさいちいさい水滴が顔にまとわりついて....。
目をつぶって、鼻から,大きく息を吸いたくなる....。

昨日,義理のお兄さんや,そのガールフレンド、お友達と"ハムステッド"というきれいな町でお食事をしました。といってもピザ屋さんなのですが。総勢11人で相変わらず、大騒ぎだったのですが,その中のファミリー、デイビッド、アンジェラ,その1歳になる息子、マシューは、本当に仲の良い、微笑ましいファミリー。

彼らが先にレストランに着いていたので,しばらく気がつきませんでしたが,デイビットには、左足がありませんでした。

あの,7月の,ロンドンテロのとき、地下鉄に乗っていて,左足を失ったと、聞いて,私は絶句。

左手の指も頭に受けた傷が原因で,中指と薬指に力が入らないと言って,白いテープを巻いていました。
「いつもは座席に座らないのに、あの日だけは座ったんで,命は助かったんだ」と、よかったという、彼の言葉に私はどう返事を返してよいやら。

あれから,たった2ヶ月。彼の生活はどんなに変わってしまった事でしょう。妻に支えられ,車いすに乗り込む彼は,どうどうとしていて,笑顔を絶やさず、温厚な紳士そのもの。赤ワインを結構のペースで飲み,冗談を飛ばし。
うずめく葛藤や絶望が,あったに違いありません。いろいろ気持ちを聞いてみたいと思うし,聞いてはいけない気もするし。

結局何も聞けませんでしたが。

もし、これが,私の夫だったら?

カーテンをあけながら,霧の庭を眺めて、頭はいろいろ考えてしまう朝になりました。