甍(いらか)の波も今いずこ

2022-03-14 08:52:00 | 日記


♬ こいのぼり



陽気も良くなりそぞろ歩きの散歩が気持ちいいです。
ボツボツと桜便りも聞こえてきます。
でもコロナ禍でお花見風景もすっかり様変わりです。

散歩しながら風景を眺めていますと当地は空き地も多く、あちらこちらで
新築住宅の工事風景が眼に入ってきます。
新築住宅を眺めていますと時代の変化を感じます。

最近の家屋は四角の箱のように庇のない家や、極端の窓の少ない家には
ちょっとした驚きを感じます。
昔から住まいというのは日本独特の湿度が高く暑い夏を快適に過ごす
工夫がされてきました。
それが最近は高密閉性の家屋が増えているように感じます。
夏の過ごし方より冬の快適性が重視されているのでしょうか。
「風通し」という言葉も死語になりつつあります。

最近の住宅は夏の暑さを遮る庇も浅くなり、屋根材も金属製が
増えています。
雨風や太陽光への耐久性よりも軽量化、工事のし易さ、コスト重視
になっています。
日本の伝統的に優れた釉薬使用の瓦屋根がめっきり少なくなりました。
釉薬使用の瓦屋根はメンテナンス・フリーです。
陶器の器でも割れない限り永久的に使用可能です。
イニシャルコストや軽量化が耐久性より重要視され、定期的な
メンテ費用は施工時にあまり考慮されないようです。

以前のように瓦職人や土壁による工事は少なくなり、左官やさんなど
専門職もすっかり見かけなくなりました。

甍の波の風景もすっかり唱歌の世界になっています。

写真は東山魁夷画伯の作品(部分)です。