浮世には 雲居の風に 楽土見て いのちも花と 泣くよあけかな
*お気づきのことと思いますが、この歌には「ウクライナ」の五文字が読み込んであります。
今かの地で起こっている嘆かわしい戦争に心を寄せて詠んだものです。
この悲しい浮世におきましては、遠い空を吹く風に楽土を見て、命も花のように散ってゆくのかと、夜明けに泣いていることですよ。
歌の意はこのくらいのことでしょうか。戦火を逃れて隠れている人々が、死んでゆく人々の運命を思って泣いている図を思い浮かべて詠んだものです。
地上で行われている愚かしい戦争のはるか上では、透明な風が吹いている。そこにいけば何の苦しみもない楽土があるだろうか。命を失った人はそこへいくだろうか。戦火に翻弄されながら人々は自分の魂の行方を迷っている。憎しみ、怒り、悲哀、あらゆる暗い感情が渦を巻き、人間を闇に引き込んでいく。
ミサイルがとびかい、戦車が走る戦場の中で、今まさに苦しんでいる人々を救えるものは何だろう。
戦争は、やってはいけません。決してやってはいけません。どれだけの人が苦しむかわからない。
ただ救いがあるとすれば、人間が戦争を嫌がり、多くの人間が、苦しんでいる人々に手を差し伸べていることです。
泣いている人々の涙を乾かそうと、働いていることです。
そんな人間の姿を、神は雲居からご覧になっている。そして必ず何かをしてくださっている。
この悲しい戦争が、早く終わることを、願ってやみません。